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第93期棋聖戦五番勝負第1局

2022年6月 3日 (金)

歩得か好形か

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「(1)▲6六角△7三桂に▲7八銀と上がっておくぐらいですか。以下△3三桂▲2八飛に、ちょっと怖いですけど△5四歩と突いてから銀を進出していく感じだと思います。後手の囲いはこのままかもしれませんね、△3一玉と引いても得かどうか分かりません。現局面は、どちらかといえば2歩得の先手を持って考えてみたいです。あと、(2)▲6四同角△同歩▲8五飛という筋も考えられはします。ただ(1)▲6六角のほうだと思います」(井上九段)

Img_4957_2(序中盤のやりとりについて見解を述べる井上九段)

(虹)

対戦成績

Taisen2
両者の対戦は過去に10局で、藤井聡棋聖7勝、永瀬王座3勝。藤井聡棋聖のほうが勝ち越していますが、直近は永瀬王座が2連勝中です。矢倉を除いたあらゆる相居飛車が指されており、永瀬王座が振り飛車を採用することも。

棋聖戦での対戦は1度だけあり、第91期の挑戦者決定戦でぶつかっています。
それが両者の初対戦でもありました。

【第91期ヒューリック杯棋聖戦挑戦者決定戦 ▲永瀬拓矢二冠-△藤井聡太七段戦(肩書は当時)】
http://live.shogi.or.jp/kisei/kifu/91/kisei202006040101.html

(虹)

両者の棋聖戦

Img_4870藤井聡棋聖の棋聖戦成績は23勝3敗。第91期に渡辺明棋聖から3勝1敗で奪取。これが初めて獲得したタイトルであり、当時は17歳11ヵ月でした(タイトル獲得最年少記録)。第92期にはダイレクトリマッチとなる渡辺明名人の挑戦を3勝0敗で退け、初防衛を果たしました。本シリーズには3連覇が懸かっています。

【藤井聡太棋聖、8冠ロードへ弾みつくか ヒューリック杯棋聖戦6月3日開幕|産経新聞】
https://www.sankei.com/article/20220527-IT5KAMLHMFJBFAZSNN43EEMME4/

【第92期ヒューリック杯棋聖戦を振り返る 藤井聡太棋聖ロングインタビュー|SankeiNews】
https://www.youtube.com/watch?v=jwptMQp_sBo

Img_4752永瀬王座の棋聖戦成績は35勝13敗。第87期には五番勝負の舞台に上がりましたが、羽生善治棋聖にフルセットの末に敗れています。また第91・92期には連続で挑戦者決定戦まで勝ち上がり、今期はその挑戦者決定戦も制しました。自身2度目となる五番勝負に臨みます。

【ヒューリック杯 棋聖戦挑戦者は永瀬王座|産経新聞】
https://www.sankei.com/article/20220425-6BLABDKQA5J67AWM43JQ2NCJLI/

【ヒューリック杯 棋聖戦挑戦者は永瀬王座|SankeiNews】
https://www.youtube.com/watch?v=SUrlWrCuOn4

【第93期棋聖戦 永瀬拓矢王座 しがみつき、勝負する形に|SankeiNews】
https://www.youtube.com/watch?v=elPFjG3cSig

(虹)

午前のおやつ

10時、両対局者におやつが用意されました。注文は、藤井聡棋聖が「なるとオレンジ」と「アイスコーヒー」、永瀬王座が「アイスコーヒー」と「ホットコーヒー」。ドリンク類は対局室に、そのほかは対局者用控室にそれぞれ運ばれます。
また、永瀬王座も「なるとオレンジ」を注文していますが、こちらは10時ではなく昼食時に添えられます。

Img_4931(「なるとオレンジ」は、淡路島特産のなるとオレンジをババロアとゼリーで仕上げたスイーツ)

Img_4923(藤井聡棋聖の注文)

Img_4942(永瀬王座の注文)

(虹)

対局開始前後の様子

Img_4723(8時39分、いつもどおり早い時間に永瀬王座は入室。駒を置くために折田四段が移動中)

Img_4775(8時47分、藤井聡棋聖が入室。濃紺の羽織に深緑の袴)

Img_4795(やや間を置いて、駒箱に手を伸ばす)

Img_4847(折田四段による振り駒。歩が3枚出て藤井聡棋聖の先手となった)

Img_4885(初手▲2六歩)

Img_4894(2手目△8四歩。相掛かりの将棋となった)

(虹)

戦型は相掛かりに

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戦型は相掛かりとなり、永瀬王座が着手した図の局面は前例がありません。このあと数手進むと、井上九段からは「見たことがない展開。最近はこうですか、勉強になりました」との見立て。これは藤井聡棋聖の対応を見ての声です。

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Img_4834(永瀬王座が早くも研究手を出したか。控室ではその応手にも注目された)

(虹)

対局開始

Img_4814(振り駒で先手番となった藤井聡太棋聖)

Img_4804(永瀬拓矢王座)

Img_4845(対局開始前の様子)

【棋聖戦第1局、藤井棋聖の先手で始まる|産経新聞】
https://www.sankei.com/article/20220603-S2KO4PIBURJU7LRXURL2IR7DDY/

【棋聖戦第1局始まる 藤井3連覇か永瀬初奪取か|SankeiNews】
https://www.youtube.com/watch?v=Ko8goVRQtF0

(虹)

対局日スケジュール

Img_4705(今朝の眺め)

Img_4689(夜景ver.)

おはようございます、第1局のスケジュールは下記のとおりです。

09:00 対局開始
10:00 午前のおやつ
12:00 昼食休憩
13:00 対局再開
15:00 午後のおやつ

【フォト特集 「いい将棋にできれば」藤井棋聖、開幕式で抱負|産経新聞】
https://www.sankei.com/article/20220602-PG3IBPN6BFOX7POKSAUTI2R7FY/

【藤井棋聖「永瀬王座に教えていただいた」 棋聖戦開幕式|産経新聞】
https://www.sankei.com/article/20220602-VHD7W2JH5BOY3CN67GUWXOIILQ/

【藤井棋聖と永瀬王座が棋聖戦会場を検分 3日開幕へ|SankeiNews】
https://www.youtube.com/watch?v=jbs5_JhskFA

再掲:配信メディア

(虹)

2022年6月 2日 (木)

開幕式(3)

【見どころ紹介】

Img_4585(両対局者が退場し、現地棋士による第1局の見どころ紹介に移った。右から小林健二九段、井上慶太九段、東和男八段、折田翔吾四段)

小林 明日は本当に素晴らしいふたりの対局で、私は引退してさっぱり将棋が分からないので、現役の方にお願いしたいのですが。

井上 いちばんの現役は折田さんですが。おふたりは、藤井棋聖が四段になったころから研究会をされているということで。さすがに、いまはしていないのかな?

小林 コロナ禍のときにネットでやっていたという話なので、手の内は分かっているでしょうね。

井上 明日は折田さんが振り駒をされるのかな?

折田 はい、そうです。

小林 これは責任重大ですね。

井上 東先生、どちらが先手になると思いますか?

東  それは分からない(笑)。対戦成績は藤井棋聖の7勝3敗ということでしたが、直近は永瀬王座が2連勝していて、その戦型が雁木と相掛かりでしたから、そのどちらかを持ってくるのかなと。

小林 どちらも振り飛車にしないで、相居飛車になりますかね。

Img_4591(立会人の小林健九段)

Img_4593(井上九段。今度は日本将棋連盟常務理事としてではなく、棋士として意見を交わす)

井上 言えるのは「簡単には終わらない」ということでしょうか。手数で言えば100手以内で終わることはないんじゃないかなあ。折田さん、戦型予想はどうですか?

折田 藤井棋聖が先手ですと、最近相掛かりをよく指されていますが、個人的には雁木は見たい、という気持ちはあります。

井上 永瀬王座が先手だと?

折田 予想としては、雁木にしておこうと思います。

小林 雁木は昭和の古い時代からある戦法だったんですよ。ただ、我々が若手のころは矢倉が全盛だったので。

東  (雁木は)消極的戦法と言われていました。

小林 ところが最近、AIの進化で雁木という戦法が見直されたんですよね。だから昔の雁木とはちょっと違います。

井上 確かに、永瀬王座はたまに用いられるイメージがあるので、先手になれば1局目に持ってくる可能性はありますか。

Img_4618(産経新聞観戦記を執筆する東八段)

Img_4622(記録係の折田四段)

東  ふたりの対戦では2局、永瀬王座の振り飛車がありますね。

井上 永瀬王座は戦略家なので、ひょっとしたら。デビュー当時の永瀬王座は振り飛車党でしたからね。三間飛車が多くて。

東  井上先生、代表して戦型予想を。

井上 私は、どちらが先手になっても角換わりにしておきましょうか。東先生は?

東  相掛かりですかねえ。藤井棋聖は盤上探究型で真理を追求するタイプですが、永瀬王座はちょっと勝負にこだわるような、安全な道を選ぶことも多いので、どちらが先手になるかで戦いの内容が変わると思います。

小林 じゃあ、私は大体、大穴狙いなので相矢倉でいこうと思います。では明日、楽しみにしてください。本日はどうもありがとうございました。

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本日のブログ更新は以上となります。
対局は3日(金)9時から開始します。どうぞお楽しみに。

(書き起こし:夏芽、撮影:虹)

開幕式(2)

【決意表明】

Img_4566(藤井聡太棋聖)
「淡路島に訪れるのは前期の第2局に続いて2度目となります。名産のたまねぎや、新鮮な魚介類など、本当に料理が美味しいところという印象があり、今回も楽しみにしております。対局室からの海の眺めも素晴らしく、またここで対局できるということをうれしく思っています。永瀬王座には、私が四段の頃から練習将棋で教えていただいており、こういった大きな舞台で戦えるのがとても楽しみです。全力を尽くしてよい将棋にできればと思っています。どうぞよろしくお願いします」

Img_4578(挑戦者の永瀬拓矢王座)
「こちらのホテルニューアワジさんに伺うのは2度目となります。1回目は、私が初のタイトル戦に出場した1局目でした。その相手は羽生先生(善治棋聖、現九段)で、千日手の末に勝つことができました。藤井棋聖との初のタイトル戦をホテルニューアワジさんで対局できることに、とてもご縁を感じています。部屋からの景色も素晴らしく、それに相応しい将棋を指さなければいけないと思っています。明日からどうぞよろしくお願いします」

Img_4540(決意表明の前には、ホテルニューアワジのスタッフによる花束贈呈も行われた)

(虹)

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