朝に降っていた雨はあがり、気温が高く蒸し暑い天気に。蝉の声を耳に道を歩くと、色とりどりの花が目に入った。草木の香りが濃く立ち込める中、200メートルほどで「霊雁の湯源泉」に到着した。岩室温泉は1713年に開湯、今年は三百周年を迎える。
・「霊雁の湯」伝説
正徳三年(1713)元旦より村の庄屋高島庄右衛門は三日三晩同じ夢を見た。白髪の老人が枕頭に立ち、「村はずれの老松の下の岩石の間に霊泉があり、これを浴すれば諸病和らぐ。」と告げた。庄屋は霊夢に見た村はずれの一体を探すと、一羽の傷ついた雁が泉流に浴して傷を癒していた。この傷ついた雁によって発見されたと伝承され、岩室温泉は「霊雁の湯」と呼ばれている。
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羽生棋聖が後手番での対局といえば第2局の相横歩取りに驚かされたが、本局はごく普通の横歩取りに進んでいる。横歩取りは先手が1歩得できる代わりに、飛車の位置を立て直すために手数を要するので駒組みで立ち遅れる。最近は先手が横歩を取った飛車をそのままに攻めの形を構築する「青野流」も流行しているが、渡辺竜王はオーソドックスな形に構えた。
△9四歩(図)はやや珍しい手。優先順位が高い囲いの整備よりも先に端を突いたが、この手にはどんな意味があるのだろうか。ニコニコ生放送の勝又六段は「最近では同じ局面でこちらの端歩を突くのは記憶にないです。この棋聖戦五番勝負のシリーズでは、羽生棋聖が何か工夫の一手を用意している印象を受けます」と話している。
(控室で継ぎ盤を囲む棋士=左から三浦八段、青野九段、屋敷九段。検討されているのは第3局の内容)
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