終局直後インタビュー
(棋聖位5連覇で永世称号を獲得した藤井聡太棋聖)
□藤井棋聖のインタビュー
――▲5六銀から▲6六歩、▲6五歩(27手目から31手目)と進んだ序盤の進行について。
手が広い局面でした。まずは7三の銀を活用できるかが、こちらにとって最初のポイントだと思っていました。
――△4四角(52手目)は、どのような考えで打たれたか。
馬を作られるのが価値が高く、動いていかなければいけない形かと思って、本譜の進行でどうかなと思っていました。
――終盤、勝勢と判断したのは。
△2四玉(92手目)まで逃げ出せて、玉の安全がひとまず確保できたのかなと。
――一局を振り返って。
△2二銀(26手目)と上がったのですが、戦いになるとあまりよくない形なので、そのあたりの判断が難しいと思いながら指していました。
――5連破を達成して、永世称号最年少での資格を得た。
初めてタイトルを取ることができた棋戦でもありますし、思い出も多いので棋聖戦で永世称号を取れたのはうれしく思います。
――永世称号を獲得し、歴代の偉大なる棋士に名を連ねた。
もちろん光栄なことで、同時に今後の活躍が問われるのかなと思います。
(敗れた山崎隆之八段)
■山崎八段のインタビュー
――序盤の立ち回り、作戦について。
力戦的な形で動きましたが、いちばん嫌な順を指されました。苦しかなと思っていましたが、どうやって自分なりに難しいと思う順を模索して戦いました。しかし、さすがの指し回しで、チャンスが回ってこなかったという印象です。
――序盤の▲5六銀について。
代えて▲3七桂と跳ねるのが推奨されているのは調べていたのですが、▲5六銀はうまくいけば主導権を取りやすいので、やってみたい作戦でした。ただ、本譜のように居玉で動かれるのが最も嫌でした。
――△4四角と打たれたあたりの局面について。
△7七歩に▲8八金で頑張れるかと思っていたのですが、読み負けてしまっていました。ほかに代わる手も難しかったように思いますし、それは実力なので仕方がないです。△4四角からの攻めは、予想以上に厳しかったです。
――今シリーズを振り返って。
1、2局目は慎重になり過ぎて、やりたい手を指せず差が開いて負けました。3局目は自分なりのベストを尽くそうと思っていました。自分なりに集中して踏ん張って指しましたが、力戦の将棋で読み負けていて完敗でした。
――15年ぶりのタイトル戦を終えた、いまの心境は。
タイトル戦に出られることは幸せなことで、3局を通して素晴らしい対局場で指させていただいて、ありがたいと感謝しています。藤井棋聖と3局指してもっと強くなっておいて、挑戦したかったです。もっと強ければ、楽しさはもっと無限にあっただろうなと感じます。改めてそういう気持ちにさせていただいたタイトル戦でした。
(多くの報道陣が詰めかけた)
(武蔵)