前夜祭(2)
【対局者決意表明】
藤井聡太棋聖。
「私がこちらで対局をさせていただくのは昨年に続いて2回目になります。岩室温泉の黒湯が有名とのことで、初めて入ってその色に驚いたんですが、素晴らしいお湯で、また料理もとても美味しくて、すごくリラックスかつ集中して対局に臨めたことを覚えています。先ほど燕市の市長さまから包丁をいただきまして、ありがとうございます。私はちょっと料理はできないんですけど、明日はこの包丁のようなキレのある将棋を見せられるように(会場拍手)、ここまでの第3局までの流れを踏まえつつ、名局の宿にふさわしい熱戦にできるよう全力を尽くしたいと思います」
挑戦者・佐々木大地七段。
「早い段階で産経新聞社の方から『4局目の高島屋の女将が待っているよ』とプレッシャーをかけられていましたので、本日伺えてとても嬉しく思っています。新潟は好きな町のひとつでして、自宅で料理をしてご飯を食べるときはコシヒカリのブランドを好むことが多いです。今回カド番となりましたけど、あまり気にすると手が伸びなくなってしまうので、やはり熱戦にするためにも自分の力を精一杯出し切らないといけないなと感じています」
【乾杯】
高島悟・岩室温泉自治会長。
「岩室温泉は今年で開湯310年になりました。明日の名勝負と皆さんの健康を祈念しまして乾杯とさせていただきます。では、乾杯!」
【両対局者退場】
【対局のみどころ】
正立会人・屋敷伸之九段。
「明日は佐々木七段の先手番ということで、巻き返しなるかというところですね。2局目の佐々木七段がかなりうまく指し回していたんですが、藤井棋聖の追い込みも素晴らしくて、女将さんも気を揉んでいたと思います。私も新潟が遠くなったかなと思っていたんですが、最後に佐々木七段が渾身の一手を放って、そこからは順調にいけば佐々木七段が勝ちそうだなと見ていました。観戦しているファンの方も楽しめたのではないかと思います。ここまでの3局とも名局で、明日の第4局もかなり熱戦が期待されます」
常務理事・森下卓九段(向かって右)
「佐々木七段は私の弟弟子の深浦康市九段の弟子ということで、私にとっては甥弟子にあたります。2局目で▲5五角という歴史に残る名手を指せる力がありますので、実力としては引けを取らないと思っています。決して藤井棋聖に負けてほしいと思ってはいないですが、ぜひフルセットを見てみたいなと。穿った見方をしますと、そうなったときの藤井棋聖の戦いぶりも見てみたいと思っています。公平な目は屋敷九段と佐藤七段にお任せしまして、ちょっとだけ甥弟子を、ちょっとだけ贔屓させていただけたらと思っています」
副立会人兼大盤解説会解説・佐藤紳哉七段(向かって右)
「今日高島屋さんに初めて来まして、もう早速お風呂を入らせていただき、日本酒もいただいて本当に楽しませていただきました。僕も第4局があるかちょっと心配していたんですけど、大地君頑張ってくれました。戦型予想は佐々木七段の得意戦法が相掛かりなので、そこは間違いないのかなと。大地君は受け将棋なんですよ。相掛かりから攻めると見せかけて相手の無理攻めを誘ったり、相手が受けすぎると手厚い良い陣形を組むので、序盤すごくうまいんですよね。なので自信持ってぶつけるのではないかと思います。恐らくここにいるみんなは相掛かり予想だと思います。違う人いないですよね?」
大盤解説会聞き手・宮宗紫野女流二段(向かって左)
記録係・古屋匠初段(向かって右)。
「私も相掛かりが本命だと思うんですが、ちょっと裏をかいて角換わりもないことはないのかなと。私自身、藤井先生が先手で角換わりをやられて何を指すか気になっていることもあります。3%くらいあるかなと思っています」
【閉会の挨拶】
古田眞之・高志の宿 高島屋代表取締役会長。
「今回の対局が、名局となることを期待して御礼の挨拶とさせていただきます。本日は本当にありがとうございました」
(八雲、書き起こし=生姜)