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2023年4月

2023年4月24日 (月)

五番勝負日程

【第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負 日程】
第1局  6月5日(土) ベトナム・ダナン「ダナン三日月」
第2局  6月23日(金)兵庫県洲本市 「ホテルニューアワジ」
第3局  7月3日(月)静岡県沼津市 「沼津御用邸東附属邸第1学問所」
第4局  7月18日(火)新潟県新潟市 「高志の宿 高島屋」
第5局  8月1日(火)愛知県名古屋市 「亀岳林 万松寺」

以上で本局の中継は終了です。ご観戦ありがとうございました。

(睡蓮)

囲み取材

感想戦終了後、佐々木七段は報道陣による囲み取材に応じました。

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――挑戦が決まった感想を改めて教えてください。

佐々木 タイトル戦に出たいというのはプロになってからずっと思っていたので、そのチャンスがもらえるということ、そして藤井棋聖と指せることがうれしいですね。

――実力からするともっと早くに挑戦していてもおかしくなかったと思いますが、ご自身としても「ようやく」という感じでしょうか。

佐々木 いえ、タイトルホルダーやA級の方と比べると実力が劣っている部分は指していて実感しますし、戦法のレパートリーですとか、まだまだ課題も多いので。今回は、振り駒も含めて運がよかったなと感じます。

――藤井棋聖の印象はいかがですか。

最新形に精通していて、中終盤の読みの速度・精度がとても高いです。見ている分には楽しいんですけど、指していると、凌駕されているなと思うことが多いです。

――藤井棋聖との対戦成績は2勝2敗で、開幕局は一昨年の銀河戦以来の対局になります。

佐々木 藤井棋聖に勝ったのは藤井棋聖がタイトルを取る前で、いまはもう、その頃とは別人のような内容の将棋です。厳しい戦いになるのは重々承知ですが、それでも食らいついていきたいと思います。

――和服は何着かお持ちなのでしょうか。

佐々木 いえ、一着も持っていません。

――開幕局はベトナムでの海外対局です。

佐々木 ベトナム対局ということは、噂では聞いていました。海外対局は本当にありがたい機会ですし、現地の方々に知ってもらう機会なので、いろいろと不安はありますけど、初めてのタイトル戦を楽しみながら、いい将棋を指したいです。

――師匠の深浦康市九段にはこれから報告されると思いますが、どのように伝えられますか。

佐々木 普段から将棋の成績について報告することはあまりないので、フリークラスの権利を取ったとき以来の報告になると思います。師匠はタイトル戦を熟知しているので、いろいろとアドバイスを聞いて、勉強させてもらいたいと思います。

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――今日の対局に勝って、15連勝となりました。好調の要因は何ですか。

佐々木 特に何かを変えたわけではないんですが、周りからは眼鏡をかけた辺りから強くなったといわれていて。タネも仕掛けもない眼鏡なんですけど、盤がよく見えるようになったのがよかったのかもしれません。

――車の免許を取ったのもいい影響になりましたか。

佐々木 ドライブの練習も兼ねて、いろいろと一人旅をして、いい気分転換になっています。オン・オフの切り替えができているのかなと思います。

――パスポートの有効期限は大丈夫ですか。

佐々木 棋王戦の挑戦者決定二番勝負で負けてからブラジルにいったのが2019年なので、まだ大丈夫だと思います。

――今回の挑戦者決定戦に向けて、深浦九段からアドバイスはありましたか。

佐々木 いや、まったくなかったですね。最近は対局について何かいわれることはありません。でも、3月に師弟で九州を巡ったんですけど、そのときは一緒にいる時間がとても長かったので、得るものがあったのかなと感じます。

――藤井棋聖を相手にどのように戦うかということもイメージしながら、日々の研究をされているのでしょうか。

佐々木 いえ、それはないですね。目の前の一局の相手は毎回違うので、その相手にあわせて戦型選択もしています。今度の棋聖戦五番勝負は、これから先後ともにしっかりと対策を立てていくつもりです。

――今日の対局は相掛かりでもかなり珍しい形でしたが、温めていた秘策だったのでしょうか。

佐々木 いえ、二日前ぐらいに準備してという感じで。最近はあんまり、何か作戦を温めるということはありません。一回やったら対策をされるので、使えるうちに使うという感じです。

――開幕まではどのように過ごされますか。

佐々木 まずはフルセットを目指して、しっかり準備していきます。

――今回の決勝トーナメントでは、大橋貴洸七段、糸谷哲郎八段、渡辺明名人、永瀬王座と、強敵を連破されました。勝ち抜くことができた要因はどのように考えていますか。

佐々木 相手は全員居飛車党でしたが、全局こちらが先手番で、主導権を握る形を目指しやすかったのは大きかったです。あとは、集中して一局一局臨めたのがよかったと思います。

――勝ち進む中で、挑戦できるかも、という気持ちがちらついたのはいつ頃でしたか。

佐々木 そういう雑念があるといい成績を残したことないので。自分の実力を精一杯出そうという思いでした。

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――プロ入り後、フリークラスを突破して順位戦に参加し、他棋戦でも活躍され、棋士としての7年間の歩みの末にタイトル挑戦にたどりつきました。そのことについての感慨を聞かせていただけますか。

佐々木 特にはないんですけど、周りが上がっていく中で自分が取り残されないように、前年よりもいい成績を残せるようにという思いでやっていました。今回、昨年はベスト4で敗れた棋聖戦で挑戦権を獲得できてうれしいです。

――2019年に棋王戦の挑戦者決定二番勝負で敗れたときの「挑戦者にふさわしくなかった」という言葉が印象に残っています。今日の対局は、そのときの自分といまの自分は違うという感覚を持って臨むことができたのでしょうか。

佐々木 「ふさわしくなかった」という発言は負けてやさぐれていただけでしょうけど、あのときよりは着実に進化できていると思います。この調子を維持したうえで、万全の態勢で五番勝負を迎えたいです。

――開幕局の舞台はベトナムということですが、佐々木七段は過去にブラジルにいかれたり、普段とは違う環境にも積極的に入っていく方という印象です。初めてのタイトル戦の対局をベトナムという異国で指すということについては、どのように感じていますか。

佐々木 海外旅行はブラジルにいった1回だけで、そのときは友人にコーディネートしてもらったところが多かったんですけど。海外対局も初めてですし、和服を着ての対局も初めてなので、その点はしっかり準備していきたいと思います。

――3月に師弟で九州を巡ったというお話がありましたが、その中で応援の声をもらうこともあったと思います。そういった声に支えられた部分はありますか。

佐々木 そうですね。そのときには棋聖戦でベスト4に入っていたので、直接、言葉をかけていただきました。昨日も将棋イベントがあったんですが、いろんな方に「挑戦してください」といっていただいて、改めてモチベーションが上がりました。

――イベントの日程は対局よりもずっと前に決まっていたのだと思いますが、イベントの次の日に対局という点はどのように感じていましたか。

佐々木 準決勝で勝ったのは先週の20日で、イベントが23日だったので、急にイベントを欠席するのでは迷惑をかけてしまいます。それでも休んで挑戦の確率を少しでも上げるという選択もあって、師匠の立場からすると休んでほしい思っていたかもしれませんが、自分はしっかりとイベントもやりきって、悔いのない状態で対局を頑張ろうと思いました。イベントはほかの棋士たちと対局するという内容で、これも研究会の一つと思いながら、いい集中力で臨めました。

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(睡蓮)

感想戦

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終局直後

Dsc_32181 (佐々木七段は大一番で快勝。同時に自身の連勝記録を15に伸ばした)

Dsc_32211 (永瀬王座。2期連続の棋聖挑戦は実現しなかった)

Dsc_32311_2 (165手目▲4三馬までで終局)

Dsc_32331 (主催紙からのインタビューに応じる)

◆佐々木七段の談話

――先手番で相掛かりになりました。序盤は考えてきた構想通りだったのでしょうか。

佐々木 そうですね。実戦では使ったことがなく、研究レベルでしかやったことがない将棋だったので、不安が結構ありました。そんなにうまくいっている感じはしなかったですけど、持ちこたえることができたかなという感じです。

――本局を総括してください。

佐々木 お互いにあまりいい形とはいえない中で、仕掛けのタイミングも難しくて、駒組みの構想も分かりませんでした。手厚くなってきてからは勝ちやすい将棋になって、絶対に落とさないようにと心掛けました。

――タイトル初挑戦が決まりました。

佐々木 これまではチャンスもあった中で挑戦できなかったのでうれしいですし、藤井棋聖と指せる機会なので、思いきりぶつかっていきたいなと思います。

――五番勝負に向けての抱負をお願いします。

佐々木 いろいろと課題が多いので、それをクリアしながら、熱戦を繰り広げられるように頑張りたいです。

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◆永瀬王座の談話

――本局を振り返ってください。

永瀬 お昼休憩のところはかなり手が広いと思ったので、そこでどうやって指すかが難しかったです。

――2期連続での挑戦はかないませんでした。

永瀬 本局は早い段階でバランスを崩してしまって、チャンスはなかったかなと思います。

(睡蓮)

佐々木大地七段がタイトル初挑戦

Kisei202304240101165▲佐々木大地七段-△永瀬拓矢王座戦は、佐々木七段が勝ちました。終局時刻は19時58分。消費時間は▲佐々木3時間44分、△永瀬3時間59分。
佐々木七段は初のタイトル挑戦を決めました。五番勝負の第1局は6月5日(月)にベトナム・ダナン「ダナン三日月」で行われます。

(紋蛇)

永瀬王座が一分将棋に

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19時15分、図の△7九銀不成に3分使い、永瀬王座が一分将棋に入りました。佐々木七段は27分を残しています。

Dsc_31691 (永瀬王座。最後まで勝負を捨てずに指し続ける)

(睡蓮)

佐々木七段勝勢

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図は19時頃の局面です。永瀬王座の時間切迫もあり、どんどん指し手が進んでいます。▲7二角は、6一飛と4五銀の両取り。佐々木七段が順調に歩みを進めており、勝勢といってよさそうです。

Dsc_31122 (佐々木七段。タイトル初挑戦が見えてきた)

Dsc_31872 (永瀬王座は苦しい状況)

(睡蓮)

佐々木七段が優位に立つ

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図は18時25分頃の局面です。互いに残り時間が少なくなり、指し手のペースがかなり上がっています。佐々木七段が調子よく攻め手を繰り出しており、リードを拡大している印象です。

Dsc_32041 (駒の働きでまさる佐々木七段。歩得も大きい)

(睡蓮)

戦いが本格化

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図は17時40分頃の局面です。そこここで歩がぶつかり、戦いが本格化しています。このまま流れはさらに激しくなっていくことが予想されます。形勢はやはり佐々木七段が少しよさそうですが、永瀬王座にもまだまだチャンスはありそうです。

Dsc_30661 (永瀬王座)

(睡蓮)

佐々木七段、長考での一手

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図は17時頃の局面。佐々木七段が50分の長考で▲5五歩と突いたところです。対して△5五同歩なら後手の2二角の脅威が弱まるので、そこで▲2五歩と合わせるつもりでしょうか。先手としては、▲5五歩を突かないですぐに▲2五歩といくのも有力そうでした。

実戦は永瀬王座は素直に△5五同歩とはせず、△3三角と2四の地点を受けながら壁角の形を解消しました。

Dsc_31241 (佐々木七段。攻めを急がずに一呼吸置いた)

(睡蓮)

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