一夜明けて
五番勝負終幕から一夜明けて、改めて藤井棋聖にインタビューが行われました。
【主催紙インタビュー】
――一夜明けまして、改めて初防衛についてのお気持ちと、昨年初タイトルを獲得されたときとの違いについてもお願いします
藤井「昨年の棋聖戦はタイトル戦自体、初めての経験で、なかなか実感が湧かないところもありました。今回は防衛戦ということで、タイトルの重みを感じながらの戦いだったので、その中で結果を出せたのは大きかったと思います」
――(今朝の会見で)「初心」と色紙に書かれましたが、どのようなお気持ちで揮毫されたのでしょうか。
藤井「今回防衛することができましたが、そういった結果に満足することなく、初心に戻って前を向いていきたいという気持ちを込めました」
――第3局を終えた昨夜は、ぐっすり眠れましたか
藤井「昨日は12時頃に寝て、7時頃に起きたので、普段と同じように7時間くらい寝ることができました」
――昨夜の対局のことは考えられたのでしょうか
藤井「終盤が難しかったので、その辺りのことは少し考えていました」
【各社インタビュー】
――以前、相対的に強くなるのではなく、絶対的になりたいとインタビューでおっしゃっていました。藤井棋聖にとって強さとは、どのようなものを指すのですか
藤井「ほかの方との比較ではなくて、それぞれの局面において、より最善に近づいていきたいという気持ちがあります」
――昨夜、あるいは今朝、師匠(杉本昌隆八段)やご家族には何かお話しされたのでしょうか
藤井「こちらからは連絡していないのですが、師匠からは「おめでとう」と連絡をいただきました」
――各社の取材で、師匠が(先に九段昇段を決めたことについて)「ずるい」とおっしゃっていました。そのことについては、いかがでしょうか
藤井「(将棋界では)師匠以上の活躍をするのが「恩返し」といわれるので、今回こういった結果を出せたことは、いい報告になるのかなと思います」
――和服での対局はなれましたか。また、和服のこだわりはありますか。
藤井「回数も増えて、なれてきたところはあると思います。着付けについては今後、覚えていければと思っています。タイトル戦となると、和服は注目していただけるポイントかなと思っているので、ある程度、自分の個性を出していければと考えています」
――冒頭のインタビューで「タイトルの重みを感じながらの戦い」という表現がありましたが、それはいい意味で作用するのか、それともマイナスになるのか、その辺りについては
藤井「そういった気持ちがプレッシャーになってしまうとよくないと思いますが、今回の棋聖戦に関しては、ほどよい緊張感の中で戦うことができたのかなと思います」
――コロナ対策をしながらのタイトル戦で、ファンとの接触の機会が少ない状態が続いています。そのことについてと、感染対策をしなくてもよい時期がきたら、こんなふうにしていきたい、という思いがあったら教えてください
藤井「昨年からタイトル戦の前夜祭なども難しい状況になり、ファンの方に楽しんでいただく機会が減ってしまったことは残念に思っています。その中で、インターネットの中継というのが非常に充実してきている状況もあるので、いままでと違った形で楽しんでいただく機会は増えてきたのかなと思っています。今まで自分は前夜祭などのイベントは経験があまりないので、そういったものが開催できることを心待ちにしています」
以上で、第92期棋聖戦五番勝負の中継を終わります。ご観戦ありがとうございました。
(玉響)















棋聖戦第3局は19時14分、藤井棋聖が勝ち、防衛を決めました。消費時間は、▲渡辺3時間59分、△藤井3時間59分(持ち時間は各4時間)。藤井は2連覇を達成。18歳11ヵ月でのタイトル防衛、九段昇段(タイトル3期獲得による)は最年少記録です。
時刻は間もなく19時。この局面で渡辺名人も一分将棋に突入しました。すでに詰む、詰まないの際どい場面ですが、まだ勝負のゆくえは分からない激戦です。
図は17時41分頃の局面。後手よしが控室の見解でしたが、この△4五歩で千日手の可能性がささやかれています。すなわち、▲4四桂△同角▲2一飛成△2二金▲1一竜と進み、以下△2三金▲1二竜△2二金▲1一竜△2三金を繰り返していくと千日手になります。控室の検討では、△4五歩に代えて△2五銀打が本命でした。


(謁見所)










