棋士デビューから約5年。斎藤慎太郎という若者は、タイトル戦という名の戦場に舞い降りた。本局はその初陣となる対局。改めて斎藤にスポットを当てた。
(対局開始前、目を閉じ、静かにその時を待っていた)
(斎藤に立ちはだかるのは、王者、羽生善治棋聖)
(見上げるその先に映るものは、果たしてなんだろうか)
(手を組む姿はいつもどおりの斎藤だった)
(盤側に置かれたポロラルフローレンのハンカチ)
(薄黄緑色の和服に映える、青色の信玄袋)
(長い足を包み込んだ袴。好きな色だという青系で固め込んだ)
(この戦いを終えたあと、そこに何が待っているだろうか)
(若き勇者がいま、舵を切った)
(潤)