(インタビューを受ける永瀬六段)
―――本局を振り返っていかがでしたか。
永瀬「難しい局面からすぐ悪くしてしまいました。そのあと、△4三歩(60手目)と受けて、悪いなりに勝負かと思いました。そのあと好転したように見えましたが、また悪くしてしまいました。最後はたまたま自玉が不詰めだったので幸いしました」
―――羽生棋聖への挑戦が決まりました。
永瀬「挑決は3回目だったので、そろそろチャンスがあればいいなと思っていたので、結果が出てよかったです」
―――羽生棋聖に3戦負けなしですが、対策はあるのですか。
永瀬「いつも教わるつもりで指しているのがたまたま結果に出たのだと思います」
―――五番勝負への抱負をお願いします。
永瀬「そうですね。羽生先生に教わるのは1年間の目標なので、それができてよかったなと思います」
―――2004年奨励会入会組(永瀬拓矢六段のほか、菅井竜也七段、澤田真吾六段、斎藤慎太郎六段、佐々木勇気五段、竹内雄悟四段、石井健太郎四段、三枚堂達也四段がいる)では最初のタイトル戦登場です。
永瀬「今日もですが、内容が悪いことも多いので、内容をよくして結果が出ればよりよいなと。まずは自力をつけたいです」
―――タイトル戦は和服を着られると思いますが。
永瀬「和服はまだ何も持っていないのでこれから考えます」
(敗れた村山七段)
―――今日を振り返っていかがですか。
村山「途中よくなったかなと思った局面はありましたが、△4三歩と打たれたところはまた難しくなったかなと。桂をさばいたあたりはまたよくなったように思いました。ですが、最後はすっぽ抜けてしまいました。何かあったかもしれませんがそこは残念です」
―――2年ぶりの挑戦者決定戦でした。
村山「今回こそは、と思っていたのですが、残念です」
(銀杏)
△6七金(投了図)に村山七段が投了。永瀬六段が挑戦権を獲得しました。投了図以下は▲6七同飛△同歩成▲同飛成△7九飛▲8八玉△7八金▲同竜△同飛成▲同玉△5八飛が一例で、清算して先手玉は詰みです。
図は107手目▲3二同銀成の局面。村山七段が3二の歩を取ったところです。▲6六飛成では△7四桂が厳しいため、適当な受けが難しい局面でした。
村山七段は最後の突進で詰みを狙います。しかし、後手玉は詰まないが控室の結論です。後手勝勢と見られています。
(銀杏)
手数が100手になり大詰めを迎えつつあります。図は△6六桂と打ったところ。▲2六桂なら△6五桂と打って受けなしに追い込めます。
そこで示されているのは▲8四馬。▲6二飛の筋を作りながら馬を自陣に利かして頑張ろうという手です。先手は1七飛の横利きが通っているのも大きいです。時刻は19時30分を過ぎましたが、形勢はまだはっきりしていません。
村山七段は考慮中に残り10分を切り、▲5一馬と攻め味を見せながら▲6二飛の筋を作りました。▲8四馬よりも守りが薄いのがどう影響するか。永瀬六段は残り5分です。
(銀杏)
図は89手目▲7六同銀の局面。残り時間は▲村山24分、△永瀬20分。
ここで△6八飛成▲同金△同角成と踏み込むのは、先手玉が詰めろではないので怖いところです。永瀬六段は△6二飛▲5一馬△8四桂。▲6二馬なら△7六桂から攻めていけます。これは先手の馬が急所から遠ざかっているので、後手が勝てそうです。第1図で△6八飛成と突っ込むよりもすぐれています。
後手有望と見られていますが、村山七段は△8四桂に▲7七歩の受けて反撃の機会を待ちます。
(銀杏)