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2009年7月17日 (金)

【梅田望夫最終局観戦記】 (3) 時速40手の研究のぶつかりあい

 両者、ものすごいスピードで手を進めている。

 勝又さんによれば、この将棋は、去年8月の渡辺高橋戦を踏まえ、元祖8五飛戦法の中座七段が改良を加えて指した、今年2月20日の飯島中座戦(竜王戦)とまったく同じ展開で43手目(▲6五角成)まで進んでいる。

 「両者、この将棋の先の先まで研究していますよ。木村さんは馬を作って指せると見ている。羽生さんは先手の▲2八銀が悪い形だから指せると考えている。研究のぶつかりあいになりましたね。」

 と勝又さんは言うが、まさに(2)コンピュータに不向きな将棋」で紹介した渡辺さんの述懐通りの展開になっている。

 コンピュータの課題は、この43手目まで来られるかどうかなのだと、勝又さんは言う。この「時速40手で進む展開」の裏には百科事典並みの変化があり、それを全部コンピュータに正しく入れるのは無理だから(結論が日々変わるから。最近は定跡に依存しようとするソフトが負けやすい状況とのこと)、この局面に来るまでに、トッププロによる落とし穴にコンピュータがはまってしまう可能性が非常に強いのだそうだ。でも逆に、特に玉が薄い将棋で、中盤までコンピュータが互角で追随する能力を持てば、さらに一段、コンピュータの強さがアップするのだそうだ。

 「このあと、△7一の飛車の使い道がわかれば、そこからは、コンピュータも読みやすくなりますよ」と勝又さんは言う。

 44手目の△7三銀が指されたところで、木村さんが長考に入り、そして指した45手目▲8五歩で、前例のない未踏領域に入った。

 そして勝又さんは今、GPSの金子さんに電話して、羽生さんの「次の一手」(46手目)をGPSならどう指すかを調べてほしい、と言っている。

 

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