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2009年7月17日 (金)

【梅田望夫最終局観戦記】 (2) コンピュータに不向きな将棋

振り駒の結果、最終局は先手木村挑戦者、後手羽生棋聖に決まった。

午前9時の対局開始から、二人はほぼノータイムで、横歩取りの将棋へと進んでいった。

 「コンピュータに不向きな将棋になりましたね。」

 と勝又さんが言う。

 「手の狙いがちょっと目にわかりにくい将棋は、コンピュータには難しいんです。先手・木村さんは5八玉と3八金の形で、8七歩を打たずに頑張るぞという意志を示して、後手の8五飛を拒否したんですが、それで羽生さんは8四飛から2四飛とした。羽生さんのほうは、先手に2八銀という悪い形を強要するために、2四飛から8四飛に戻して二手損をしているわけです。たとえば「5八玉と3八金」の狙いの意味がわかるのは相当先ですね。「8四飛から2四飛」の効果、つまり先手の壁銀が先手にとってマイナスになるかどうかは、コンピュータ的には相当先にならないとわからない。つまり、相手の手を拒否する狙いの効果がずっと先に出るような将棋って、コンピュータには読みにくいんですね。」

 「いま31手目の状況は、去年の8月29日に行われた渡辺高橋戦(B1順位戦)と同じですよ。その翌日の渡辺ブログにきっと出ているよ、見てください。」

 と勝又さんは記憶を発掘する。まったくそのとおり。下記の渡辺ブログをご参照ください。

http://blog.goo.ne.jp/kishi-akira/e/166b17eb133372594cc43f546af5f1db

『馬が出来るので優勢かと思いましたが自分は壁銀(▲2八銀)後手は歩を3枚も持っているので、難解な形勢でした。』

 とある。たしかに、かなり先の局面で、馬ができるプラスと壁銀のマイナスが相殺されて、結局難解な形勢だと、渡辺さんはブログで書いているわけである。こういうことがコンピュータにはわからないということらしい。

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