カテゴリ「第30期竜王戦七番勝負第5局」の記事 Feed

2017年12月 6日 (水)

歴史的な記録を打ち立てた対局から一夜明けて、あらためて羽生竜王へのインタビューが行われました。羽生竜王は今回のタイトル獲得について「夢なんじゃないかと思ったが、新聞記事を見て、本当だったんだなという実感が湧いているところ」とコメント。また、藤井聡太四段とタイトル戦で対局してみたいか尋ねられると、「将棋界の歴史を見ると、これだけ年齢が離れているとすれ違ってしまうケースが多い。私自身が頑張りきることができれば、実現できるのではないか」と話しました。

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以上で第30期竜王戦七番勝負の中継を終了します。来期の戦いにもご期待ください。ご観戦、ありがとうございました。

2017年12月 5日 (火)

感想戦終了後、薩摩伝承館で記者会見が開かれました。

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――永世七冠を達成したいまの気持ちは?
羽生 ひとつの大きな偉業を達成できて、非常にうれしい気持ちがあります。竜王戦は何度もシリーズで負けてきたこともあり、非常に充実感があります。
――永世七冠には2008年と2010年の2回挑戦して、特に2008年は惜しい結果でした。今期は気合の入ったシリーズだったのではないですか。
羽生 今期の竜王戦に関しては本戦トーナメントからかなり苦しい将棋も多かった。挑戦者になれたのは非常に幸運だったと思いました。1回のチャンスを生かしきらないと、次がないかもしれませんし、自分にとって今回が最後かもしれないという気持ちで臨みました。

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――4勝1敗でした。シリーズを総括していかがでしょうか。
羽生 渡辺さんとはかなり対局をしてきていますが、2日制のシリーズでは勝ったことがなくて。今回は挑戦者らしくシリーズを通じて積極的に前に進んでいく気持ちでいました。うまくいかないケースがあったとしても、そういった姿勢で臨んでいくのがいちばん悔いが残らないのではないかと思っていました。
――内容的には納得のいく形でしたでしょうか。
羽生 細かいミスはあったと思いますが、現状の力は出しきれたと思います。
――プレッシャーの大きさはいかがでしたか。
羽生 ずっと有利だったとしても1手のミスで逆転してしまうのが将棋です。最初から最後までテンションを保って集中していくことを考えていました。
――今回の勝因は?
羽生 自分なりに思いきった手が指せたということが、今回いい結果につながったのかなと思います。
――今シリーズで最も印象に残っている一手を教えてください。
羽生 そうですね。第4局の△6六飛(76手目)は苦労したので、いちばん印象に残っています。

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――99期のタイトル獲得で思い出に残っているシリーズはありますか。
羽生 竜王戦に関していえば、最初に出た第2期と、2008年に最終局までいったシリーズの2つが印象に残っています。
――夢の大台のタイトル獲得100期に向けての抱負は。
羽生 最近は非常にたくさんの強い若手棋士たちが台頭してきていて、自分自身もけっこう厳しい状況にあると思っています。タイトル戦の舞台に出るからには、自分なりにいいコンディションを作って頑張っていけたらいいなと思います。
――25歳の七冠同時制覇と47歳の永世七冠、達成感はどう違いますか。
羽生 違いとしては歳月の長さということでしょうか。25歳のときは10年、いまは30年が過ぎて、その積み重ねの中でたどり着けたという意味で感慨深いです。

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――10代、20代の若手棋士は羽生さんが七冠を達成してから生まれた世代でもあります。七冠当時、現在の将棋界を想像されていましたか。
羽生 10年ひと昔という言葉がありますけど、やっぱり現状は隔世の感があって、全く想像できなかったです。ただ、非常に若くて強い棋士の人たちがたくさん出てきて、それが将棋界において大きな活気を生んだという面があると思います。また、さまざまな形で取り上げていただく機会が増えたこともあって、相乗効果で今日があるのかなと思っています。ただ、この先も同じようにいけるかどうかは、まだ分からないことなので、このいい気運みたいなものをきちんとした流れに持っていってほしいと思います。
――現在47歳ですが、体力面で以前との違いを感じることはありますか。
羽生 実感として一局の対局をすることに関しては、あまり大きな違いはありません。ですが1年間でたくさんの局数をこなしていって、全般的に長いスパンで保てるかという点では難しくなってくるのかなと思っています。
――永世七冠を達成しましたが、今後は何を目指して戦いますか。
羽生 もちろん記録を目指していくというのもあります。ですが、将棋そのものを本質的にどこまで分かっているのかといわれたら、まだまだよく分かっていないのが実状です。これから自分自身が強くなれるか分からないけど、そういう姿勢というか気持ちを持って次に進んでいけたらと思います。

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(共同記者会見から抜粋。書き起こし=琵琶、写真=文)

終局後すぐに、報道陣が対局室に詰めかけます。代表で、主催の読売新聞からインタビューが行われました。

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■羽生善治新竜王
――率直な感想をお願いします。
羽生 シリーズが終わったので、ホッとしたというところはあります。実感はまだ。終わったばかりなので。
――タイトル獲得数が99期となり、100期が近づいてきました。
羽生 次のタイトル戦がいつになるか分からないので、自分なりにいい状態で次のシリーズを迎えられたらいいなと思います。

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■渡辺明前竜王
――一局を振り返っていかがでしたか。
渡辺 仕掛けを与えてしまったので、その時点で作戦が破綻しているような気がしていました。
――七番勝負を振り返ってみて、いかがでしょうか。
渡辺 本局も含めて内容が悪すぎました。

(代表インタビューから抜粋。書き起こし=琵琶、写真=文)

20171205bこの局面で渡辺竜王が投了しました。終局時刻は16時23分。消費時間は▲羽生6時間45分、△渡辺6時間50分。羽生棋聖は通算7期目の竜王位を獲得、永世竜王の有資格者となりました。また、前人未到の永世七冠も達成しました。

羽生棋聖の厳しい攻めが続いています。大盤解説会では、おやつの時間にあわせて解説者にも対局者と同じケーキが出され、感想を挟みつつ解説が進みました。控室では関係者にすすめられて、室田女流二段が同じケーキを食べていました。

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15時ごろ、おやつが運ばれました。渡辺竜王はタルトフレーズ、ホットコーヒー。羽生棋聖は「マロニエ」、ホットコーヒー。「マロニエ」はサツマイモとクリ、チョコ、ババロアが使われたケーキです。

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羽生棋聖の攻めと、渡辺竜王の防戦が続いています。控室には佐々木大地四段が訪れて、継ぎ盤を囲みました。検討では後手に思わしい変化が出ず、形勢は渡辺竜王が苦しいと見られています。

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