下の午後8時12分の記事「宮田五段の発見した寄せ」の順は感想戦では出ませんでした。感想戦終了後、手順を聞いて寄りなのでは?と感心した桐山九段が打ち上げの席で羽生名人に尋ねました。羽生名人は△2八香▲同飛△2九角(参考図)までスラスラ進め「簡単ではないですよ。勝ちとまではいえないような」。続けて「たぶん▲3八金打としますが、△同角成▲同飛△2七金▲2八角△同金▲同飛△2九角は参考図と同じ局面ですよね。千日手になるかもしれません。ですから感想戦の手順が正しいのではないでしょうか」と笑顔で解説してくれました。また参考図に到る手順で「△1七桂より△3七桂のほうが角の王手を消してよさそうです」と指摘してくれました。
すごい将棋でした。将棋は奥が深いと改めて感じさせられました。
竜をタダで取らせて、それで難しいというのは驚きでしたし、寄せてみろの△8九飛(図)もすごかったですね。感想戦で時間をかけて検討されましたが、図から▲4七飛と引いていれば寄せがあったようです。手順は長いのですが図から▲4七飛△2八玉▲3八金△1九玉▲1七飛△1八香▲2八金打△9九飛成▲9八桂△2六桂▲2七飛△3八桂成▲同銀△3九金▲5九歩△同龍▲4九桂(参考1図)。
▲5九歩△同龍を入れないで▲4九桂は合駒がなくなり△9八竜▲同玉△9六香で危険。参考1図で先手は歩切れなので△2四香と打ちたいのですが桂が利いています。すべての配置がピッタリにできているんです。参考1図から△同龍▲同銀△1七桂に▲3八飛(参考2図)と打って一手一手です。
しかし▲4七飛は読み切らないと入玉されてしまうので実に指しにくい順でした。
羽生先生に明快な勝ちがあったわけではなく、ずっとギリギリの勝負だったので逆転とは言いにくいですね。
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(感想戦を見つめる山崎七段)
感想戦は1時間40分ほど。21時ころに終了しました。
1時間24分の考慮の末、渡辺竜王が△9五歩と仕掛けました。深浦王位は「山崎さんと△9五歩▲同歩△9七歩▲6七金右△4五桂の先を検討しました。第一感▲5六歩と突いて△9五香▲5五歩△9八歩成▲同香△同香成と進みますが後手の攻め駒が多すぎて銀1枚くらい取っても猛攻は続きそうです。後手陣に反撃するには本隊の飛車を取るのがよさそうですが、総合的な判断が必要な局面といえます。小駒を取っても波状攻撃が続くので。それにしても渡辺竜王は慎重すぎる気がします。1日目にどんどん進んだ第3局の残像が残っているのかもしれません。そのときは1日目で悪い手を指してしまいましたから。ちょっと前までは手得の後手もちと思っていたのですが、▲7五歩が手厚い手で何ともいえなくなりました」と解説してくれました。ここまでの消費時間は羽生名人4時間22分、渡辺竜王5時間37分です。
現地の大盤解説会場は午前中から100人以上のお客さんが訪れています。席は250以上と余裕はありますが、これからまだまだお客さんが増えそうです。
控え室での二次会で、桐山九段ら関係者十数名は人気サスペンスドラマ「相棒」(21時~)を楽しみました。
架空のタイトル戦「龍馬戦」第7局前夜に起こる事件ということで、日本将棋連盟が協力。竜王戦というタイトル名も登場し、金井恒太四段と伊藤真吾四段がさりげなく出演しました。
「三段リーグがどうのこうのってホテルの廊下で話しているお客さんがいてびっくりしましたよ(笑)」と記録係の船江三段も途中から現れ、控え室でドラマを楽しみました。
午後の大盤解説会で次の一手クイズを出したのですが、30分くらい当たりがなくて・・・(苦笑)。それくらい1日目は意表の展開でした。
特に驚いたのは、4五の銀を5六~6七と「二段引き」したところです。指されてみればなるほどで、局面が落ち着けば手損は響かないということなのですね。いまの形勢は難しいですが、後手は自分から手を作っていかなければなりません。ただ、先手も攻めを呼び込んでいるので怖いところではあります。
封じ手予想は、△5五銀左と中央に進出する手です。でも、深浦王位予想の△9五歩もだんだん魅力的に思えてきました(笑)。
あすは再開後すぐに決戦の火ぶたが切って落とされると思うので、朝から見逃せない展開です。渡辺竜王の攻めに羽生名人の受け、とはっきりしているので、激しい攻防が見所ですね。
渡辺竜王は鍋焼きうどん、羽生名人は天ざるを注文しました。渡辺竜王は羽生名人の注文内容を確認してから、注文しました。
渡辺竜王はアイスコーヒー、羽生名人はホットコーヒーを注文しました。

(現地入りした関係者が壇上へ。左からネット中継担当の早水千紗女流二段、衛星放送解説の深浦康市王位、立会人の桐山清澄九段、渡辺明竜王、羽生善治名人、解説の山崎隆之七段、記録係の船江恒平三段、衛星放送聞き手の中倉宏美女流初段)
両対局者の話
渡辺竜王「竜王戦での熊本は第18期以来です。同じように第4局で、そのときは3連勝で気分よく迎えられたのですが、本局は厳しい立場です」
羽生名人「熊本には何度か来ていますが菊池市は初めて。空港から近くに、こんなに自然が美しく景色のよいところがあるとは知りませんでした」
両対局者が一足先に退場したあと、展望座談会が行われました。
立会人・桐山九段「第4局の立会人のお話をいただいたときは、こんなに緊迫した状況で迎えるとは思いませんでした。渡辺さんに一番返してほしい気もしますし、歴史的瞬間を見たい気もします」
解説・山崎七段「戦型は相矢倉だと思います。じっくりした戦いにしたいと言っていましたから、ねじり合いになるでしょう」
衛星放送解説・深浦王位「桐山先生が言われたとおり、渡辺竜王が意地を見せられるかどうか。渡辺竜王がこのまま押し切られて自信をなくしてしまったら、次は山崎時代かもしれません」
山崎七段「え…」。
検分のあとに、両対局者はNHKのインタビューを受けました。
渡辺竜王「ここまでいい将棋を指せていません。自分のせいで将棋ファンをがっかりさせてしまっています。第3局は時間も余してしまいました。本局はそうならないように、なんとかいい将棋を指せるように頑張りたい。最後になるかもしれないので悔いのないように指したいです」
羽生名人「10月にシリーズが始まって3局。自分ではいい感じできていると思います。力を入れすぎず、自然体で戦うことを強く心がけています。(あと1勝で永世竜王ですが、に)まだ対局も始まっていませんので何とも言えないですが…。緊迫感を、集中するためのよい方向に持っていけたら、と思います。自分の持っている力を振りしぼって、中身の濃い将棋を指したいですね」