渡辺竜王がどうやってもダメという不利な局面から、玉を這いずり回ってしのぎ切ったというのは、前々期(19期)の竜王戦第3局(長崎県西海対局、最終盤△7九角の絶妙手で有名)を思い出させるような光景です。 実力と共に、運も味方に付けた、渡辺竜王の執念を見ました。
図の△8九飛に対し、東京で検討していた宮田五段が勝ち筋を発見していました。△8九飛に本譜は▲3八金でしたが、代えて▲4七飛△2八玉▲3八金△1九玉▲1七飛△1八香▲2七飛△9九飛成▲9八桂△1七桂▲3九金(参考A図)。
参考A図は後手玉の受けが難しく、先手玉に詰みはありません。すなわち先手勝勢。
ただ参考A図から△2八香!▲同飛△2九角(参考B図)という凄まじい粘りもあり、形勢は別にして長い戦いが続くかもしれません。
(烏@東京)
渡辺竜王が放った△8九飛。全国各地から「後手玉は詰まないのか!」の声が聞こえてきそうです。
19時10分現在、現地控え室も東京検討陣も詰みを発見できていないとのことです。
東京・将棋会館の大盤解説場は大入り。仕事が終わって駆けつけたお客様向けに、もう一度初手から解説していきます。
東京の検討陣はどんどん増えてくる。棋譜中継が羽生名人の手のふるえを伝えているが、「羽生さん、ふるえるのは早かったんじゃない?」の声も。業界的に、羽生名人は勝ちを確信したときに手がふるえるといわれているが…
東京の検討陣は、ここから△5四金▲5二銀△3三玉▲5四金△同歩▲1七桂といった順を検討しています。が、後手玉は簡単には寄らないようです。と言っているところに△5七桂成が伝えられ、一同はどよめいています。
東京・将棋会館では、中村修九段と矢内理絵子女流名人が大盤解説を行っています。17時に開始されたため、解説はまだ駒がぶつかったあたりでした。
「後手は△2八飛のように攻防の手が必要になってきます。単に攻めだけ、守りだけではいけません。先手が一番怖いのは、後手から攻めを見せられて対応しているうちに、自分の攻めが切らされてしまう、という展開です。現在の状況は先手がよいとはいえ、まだまだ勝ち切るのは大変です」
(夕方に入り、雨が強まってきました)
(大盤解説会には大勢の将棋ファンが来場し、立ち見も出ています。解説会と温泉入浴を楽しめます)
(菊池温泉は源泉掛け流し。市内のあちこちに温泉が湧き出る)