2018年11月23日 (金)

前夜祭(7)

見どころ解説
(立会人による見どころ解説。しかし「このふたりに丸投げされても」ということで)

見どころ解説
(早々に壇上に呼び出された村田智穂女流二段)


村田女流二段「明日の見どころですが、谷川先生はこれまでの流れをどのようにご覧になっていますか?」

谷川九段「将棋界は、このところ角換わりが大流行で、竜王戦も今まで3局そうなのですが、羽生竜王のほうは割と相手との対話といいますか、あまり無理なことはしない棋風だと思ったのですが、どうも今期の竜王戦は違いますね。傍目から見るとやや無理気味ではないかという攻めを押し通して第1局、第2局などは勝っているわけで、このシリーズは通算タイトル100期もかかっていますので、戦って『攻めて勝ち取るんだ』という強い意志を感じます。広瀬八段の立場で見ると羽生竜王にずいぶん攻め込まれて、第3局も苦しい将棋だったと思うのですが、彼は終盤の名手でもあるので、一方的に攻められているようでもどこか狙っていて、最後の最後で逆転の一手を指して1勝を返したと。なので第3局は広瀬八段にとって大きな勝利だったと思います」

稲葉八段「開幕前は勢いのある挑戦者が有利かなと思ったのですが、始まってみると羽生竜王が2連勝で、そのまま一気にいくのかなと思ったら第3局で広瀬八段が苦しそうな将棋を最後に逆転して。最近の広瀬八段は、少し苦しい中でもうまく辛抱して、最後に逆転に結びつけているのが高勝率の要因かなと思います。明日もどうなるか、なかなか両者、粘り強いので大熱戦になると思います」

村田女流二段「明日の戦型予想はいかがでしょうか?」

谷川九段「そうですねえ、また角換わりになるのかなという感じがしますね。広瀬八段にとっては第4局が先手番なので、1勝2敗とは言ってもリードされている意識はないと思います。主導権が握れる先手番で勝てば五分になるわけですから」

稲葉八段「羽生竜王は同じ戦型を続けるのを、あまり好きではないように思うのですが、後手番で変化するのも難しいので、やはり角換わりが本命ではありますね」