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2016年11月 8日 (火)

女将に聞く

滝の湯の女将、山口隆子さんにタイトル戦の思い出について聞きました。滝の湯で初めて開催されたタイトル戦は、1984年11月14・15日に行われた第23期十段戦七番勝負第3局。中原誠十段に米長邦雄王将が挑むシリーズでした(肩書は当時)。

「初めてのことで何もわからなかったのですが、読売新聞の山田さん(当時の将棋担当は山田史生記者)につきっきりで教えてもらいました。米長さんは迎えを断られたのですが、到着が遅い。心配して3人くらいで表に立っていると、後ろから『いらっしゃいませ』と声がしまして。米長さんでした。裏口から入ってこられたのですが、この裏口は途中で社員食堂を通ります。あとで従業員に聞くと、米長さんが突然現れて『おいしそうだなー』といいながら食堂を通っていったそうです」

羽生善治三冠の初タイトル戦は、1989年の第2期竜王戦七番勝負。その第2局が滝の湯で行われました。羽生六段(当時)は和服を着るのが第1局以来2回目だったにもかかわらず、着付けを頼む前にある程度、自分で和服を着ていたそうです。山口さんは「知識の吸収力がすごい。棋士の方は『浅く広く』ではなく、『深く広く』なのだなと感じました」と羽生三冠の印象を語りました。

渡辺明竜王が初めて竜王を獲得したのは2004年のこと。「就位式で奥さまに抱かれている赤ちゃんを見て、まだ20歳なのにすごくしっかりされている方、と思いました」と山口さん。

これまでのタイトル戦で印象的だった一局については、「ひとつひとつ思い出がありますが」と前置きしたうえで、1994年の第7期竜王戦七番勝負第6局、羽生六冠誕生の一局を挙げました。これは「竜王の間」の改装後に初めて行われた対局です。

山口さんは最後に「たくさんの方に支えられて、いまがあります」と頭を下げました。当時の記憶を懐かしそうに語る山口さんの、柔らかい笑顔が印象に残っています。

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