18時より、京都ホテルオークラで前夜祭が行われました。
(開場直後の前夜祭会場。多くのファン、来賓、報道関係者が訪れた)
(渡辺明竜王と丸山忠久九段が入場)
谷川浩司・日本将棋連盟会長
「皆様こんばんは。読売新聞社様より先にご挨拶させていただくご無礼をお許しいただきたいと思います。今回、七番勝負直前に対局者が変更となりました。このことで主催の読売新聞社様、また第1局、素晴らしい対局場をご提供いただきました天龍寺様を始め、ご尽力をいただきました皆様方、将棋ファンの皆様方にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。対局者のおふたりは準備期間もなく七番勝負開始ということになりましたが、2ヵ月の長丁場です。持ち時間も8時間ありますので、ぜひ素晴らしいシリーズにしていただきたいと思っております。
改めまして本日は第29期竜王戦第1局、天龍寺対局の前夜祭にお越しいただき、ありがとうございます。読売新聞社様には竜王戦29期、九段戦、十段戦の頃から長く将棋界にご尽力いただいており、厚く御礼を申し上げます。また今回、天龍寺様には本当にお世話になりました。重ねて御礼を申し上げます。
80年前の天龍寺対局のことを少しご紹介させていただきます。昭和12(1937)年のことですが、15年以上に渡りまして公の場で対局をしていなかった阪田三吉先生(没後、贈名人・王将)を、読売新聞社が粘り強く説得をしまして、当時の若手棋士との二番勝負が企画されることになりました。それが木村義雄八段(後の十四世名人)との『南禅寺の対局』、そしてその1ヵ月後の花田長太郎八段(没後、九段)との『天龍寺の対局』になります。持ち時間30時間、約1週間の対局でした。結果は木村八段、花田八段の勝ち。天龍寺の対局で、当時66歳の阪田三吉先生が持ち時間30時間のうち、29時間を使われたというのは驚きました。お三方にとっては、非常に覚悟を決めての対局で、若いふたりにとっては負けられない勝負だったと思いますし、阪田先生にとっては、15年以上のブランクを抱え、非常に不安のある中での対局だったと思います。この2局が、現代の将棋にとって大きな意味のある勝負だったと思っております。
明日から竜王戦が始まりますけれども、ぜひ後世に残る素晴らしい棋譜、素晴らしいシリーズにしていただきたいと思っております」
杉山美邦・読売新聞大阪本社代表取締役社長
「皆様こんばんは。本日は第29期竜王戦第1局の前夜祭にお越しいただき、誠にありがとうございます。この竜王戦は1988年の第1期以来、将棋界最高のタイトル戦として、トップ棋士が名勝負を繰り広げてまいりました。今期は、ここにおられる渡辺明竜王と丸山忠久九段の激突であります。大変みなさん楽しみにされているかと思います。この名勝負、どういう展開になるか、新聞等でいろいろ報じていきたいと思っております。
さらに今回、天龍寺様には素晴らしい舞台を提供していただき、厚く御礼を申し上げます。先ほど谷川会長から、およそ80年前の『天龍寺の対局』について言及がありましたが、1937年、大阪のトップ棋士阪田三吉、関東のトップ棋士花田長太郎、これを7日間に渡る熱戦を繰り広げたということで、当時の読売新聞を読みますと『不朽の名棋譜成る』という見出しが残っております。当時としては大変注目された名勝負、将棋が世間一般に注目される先駆けとなった名勝負だったと思います。
明日午前9時に天龍寺で対局が始まります。渡辺さん、丸山さんには名勝負を繰り広げられるよう期待しております。いろんな棋士に登場していただいて、いろんな企画を計画しておりますので、ぜひそちらもお楽しみいただきたいと思います。
最後になりますが、最高の舞台を提供していただきます天龍寺様、地元の京都市、共催の日本将棋連盟、連盟支部の方々、対局を支えていただいた皆様、本当に厚く御礼を申し上げるとともに、明日以降の戦いでお二方が名勝負を繰り広げられるよう祈念いたします」