2012年6月の記事

2012年6月29日 (金)

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20時少し前。消費時間は▲大石2時間58分、△永瀬4時間20分。
この△9六歩を▲同香なら、△8五歩と突く手がありそうだ。以下▲同銀は△8四歩で銀が助からないし、▲9五銀には△8四桂がある。
ただこの歩を放置しても、すぐに何か起こるわけではない。長い将棋になりそうだ。(棋譜コメント110手目より)

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この局面で夕食休憩に入りました。ここまでの消費時間は▲大石2時間24分、△永瀬4時間7分。食事の注文は、永瀬五段がうな重、肝吸(ふじもと)。大石四段は注文なし。
永瀬五段は残り53分。検討陣は△9七歩から香頭を連打する筋を予想していました。

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ここは▲3四歩と▲3六飛が有力なようです。控え室では▲3六飛△1九角成▲3四歩△3五歩▲同飛△4六馬▲3三歩成△3五馬▲2二と△同香▲3三歩で先手優勢かと見られていたのですが、しばらくして▲3六飛には△2八角成▲3四歩△2七馬と、歩を渡さずに進める順が見つかりました。
普通は後手がまずそうな局面ですが、永瀬五段はこういう展開で力を発揮するタイプです。同じ(振り飛車)チームの一員として、頑張ってもらいたいですね。(中継室を訪れた戸辺誠六段)

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永瀬は堂々と△3二金。これで受け止められるという感覚が永瀬将棋の真骨頂。部分的には▲1二歩と垂らせば受けがない。ただ垂らした瞬間は非常に重いので、後手から反撃する順がありそうだ。
対局立会いの伊藤能六段は「すごいですね。並の人は後手を持ちたくないと思いますが……仮に後手の手番なら、という感じです。筋は▲4五歩です。△同歩は▲4四歩、△同桂は▲2五飛と走れます。もちろん▲1二歩も有力でしょう。以下△4三角と打って、▲同馬△同金▲2三歩成△同飛▲3二角△3四角が一例です」(58手目棋譜コメントより)

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8二の玉を9二へ。この手は駒組みを進めるというより、相手に手を渡す意味合いが強い。先手陣は金銀を穴熊に寄せていけばどんどん堅くなるが、右辺には隙ができやすくなる。永瀬はそこを叩こうとしている。(棋譜コメント42手目より)

以下、▲6八金右△8二玉▲6七銀△9二玉と進む。

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永瀬は自分から打開するつもりはなさそうだ。千日手にするかどうかは大石次第。うまく戦いに持ちこんでしまえば、穴熊の堅さを存分に発揮することができる。(棋譜コメント46手目より)

そして大石は▲1四歩△同歩▲2四歩と打開。

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1筋に続いて2筋も突き捨てる。△同歩には▲1四香と捨てて▲1二角のような感じだろうか。ともあれ、千日手の懸念は薄れた。
15時半前、▲2四歩までの消費時間は▲大石1時間27分、△永瀬2時間41分。(棋譜コメント49手目より)

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14時過ぎ、永瀬は35分の考慮で△4四歩と突いた。この手までの消費時間は▲大石39分、△永瀬2時間18分。
△4四歩は陣形にふくらみを持たせる手。△4四銀を急がなかったのは、△4四歩との比較を考えていたからなのだろう。

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