2011年10月25日 (火)

Twitter解説より(35手目)

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【糸谷哲郎五段のTwitter解説より】
「▲4八飛は▲4五歩よりも相手の動きを見て指そうとする意味を込めた手です。後手に単純なプラスの手は少ないので、動きを見てマイナスにしようということだと思います。
具体的には、▲4五歩だと△6四角や△4二銀といった手がすぐではないにせよ指しやすくなる(プラスの意味を持ちやすくなる)のですが、▲4八飛の場合はまだプラスかマイナスか分かりにくいのです。
後手がどのような手待ちをしようとも、▲4八飛と回らない展開は△6五歩と取った場合の角換わりでは少ないです。その点から言っても、▲4八飛は価値の高い手待ちといえると思います。他の手待ちには▲8八玉などが考えられましたが、玉が角筋に入りやすい・銀をぶつけたときに割り打ちが残る、などの理由で避けられたのでしょうか。
後手は△6三金や△6二飛、△7四歩などが考えられます。先手はそこでもまだ▲8八玉と態度を決めずに指していく方針かもしれません。最近だと▲8八玉から▲9八香~▲9九玉~▲8八金のような構想も珍しくないのではないでしょうか。お互い待機し合うと▲2五桂が残っている分、先手の方が自由度は高いです。角換わりの▲2五桂が残る将棋ですと、△2二玉は角筋に入りやすいのでマイナスになることが多いです。
というわけで、後手はできれば3一玉型を維持したままで戦いたいですね。この辺りのお互いの手潰しはこういう形の醍醐味と感じます。仕掛けたときには厳密にはもうどちらかが有利なことが多いので、お互い慎重にならざるを得ないのではないでしょうか。このような形では後手は千日手を狙う駒組みを作ることが多いです。△4二銀と引いて▲2五桂を避ける筋も手損とはいえどこかであるかもしれません。一時間半でここまで進むのは中々に早い進行ですね。一方、ここからは一転して遅い進行になると予想します」

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(Twitter解説の糸谷哲郎五段。写真は10月2日、「関西将棋の日」にて久保利明棋王・王将との席上対局に臨んだ際のもの)

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(2006年。少し遠くから)