▲5四銀と早く出ていれば
「▲5四銀と早く出ていれば」
近藤正七段のつぶやきです。55手目▲6八銀に代えて▲5四銀の変化はまだ難しそうでした。実戦は飛車を失った後の61手目に▲5四銀。62手目△2八飛の王手桂取りで、その差はさらに広がります。

(牛蒡)
「▲5四銀と早く出ていれば」
近藤正七段のつぶやきです。55手目▲6八銀に代えて▲5四銀の変化はまだ難しそうでした。実戦は飛車を失った後の61手目に▲5四銀。62手目△2八飛の王手桂取りで、その差はさらに広がります。

(牛蒡)
図で検討陣の予想は、△5三銀の受けの手。しかし、藤井棋聖が指したのは強く△8七と。よさを求めて踏み込みました。継ぎ盤は▲8七同金△9九香成▲5四銀△5三香▲同銀成△同銀▲5六香で止まりました。▲5六香の局面は後手が歩切れです。▲5三香成△同玉を許してもしのげる、という読みなのでしょうか。
そんな疑問をよそに、実戦は予想外の方向に進みます。△8七と▲同金△9九香成に▲6八銀としました。最後の銀上がりが意外な手。
島九段は「私の目には△3五歩で詰んでいるように見えるのですが」と驚いています。「詰んでいる」とは玉ではなく3六飛のこと。△3五歩に(1)▲同飛は△3三香、(2)▲2六飛は△2五香で飛車を取られます。服部七段には用意の策があるのか。それとも事件発生で形勢が大きく動いたのか。検討陣と関係者はざわつき始めました。
▲6六歩(1図)の狙いが分かりました。△8七歩には▲6五歩△同銀▲9三歩成△8四飛▲8三角△6四飛▲6一角成△同玉▲5五金(変化図)があったようです。
変化図になれば先手よし。検討陣がこの変化を知った直後、藤井棋聖は△8七歩ではなく△9二歩と受けました。一見すると屈服した手のようですが、危ない変化を消して冷静な手です。控室では「さすが」と声が上がりました。
1図から△9二歩▲5六銀△5四歩が実戦の進行で2図。3六飛は先手の負担でもあるため、すぐに△1四角はあまり指したくありませんが、2図から▲4五銀△5三銀▲3四銀△同金▲同飛なら△2五角の王手飛車取りがピッタリです。後手が指しやすい状況が続いているようです。