前夜祭(7)

(立会人による見どころ解説。しかし「このふたりに丸投げされても」ということで)
村田女流二段「明日の見どころですが、谷川先生はこれまでの流れをどのようにご覧になっていますか?」
谷川九段「将棋界は、このところ角換わりが大流行で、竜王戦も今まで3局そうなのですが、羽生竜王のほうは割と相手との対話といいますか、あまり無理なことはしない棋風だと思ったのですが、どうも今期の竜王戦は違いますね。傍目から見るとやや無理気味ではないかという攻めを押し通して第1局、第2局などは勝っているわけで、このシリーズは通算タイトル100期もかかっていますので、戦って『攻めて勝ち取るんだ』という強い意志を感じます。広瀬八段の立場で見ると羽生竜王にずいぶん攻め込まれて、第3局も苦しい将棋だったと思うのですが、彼は終盤の名手でもあるので、一方的に攻められているようでもどこか狙っていて、最後の最後で逆転の一手を指して1勝を返したと。なので第3局は広瀬八段にとって大きな勝利だったと思います」
稲葉八段「開幕前は勢いのある挑戦者が有利かなと思ったのですが、始まってみると羽生竜王が2連勝で、そのまま一気にいくのかなと思ったら第3局で広瀬八段が苦しそうな将棋を最後に逆転して。最近の広瀬八段は、少し苦しい中でもうまく辛抱して、最後に逆転に結びつけているのが高勝率の要因かなと思います。明日もどうなるか、なかなか両者、粘り強いので大熱戦になると思います」
村田女流二段「明日の戦型予想はいかがでしょうか?」
谷川九段「そうですねえ、また角換わりになるのかなという感じがしますね。広瀬八段にとっては第4局が先手番なので、1勝2敗とは言ってもリードされている意識はないと思います。主導権が握れる先手番で勝てば五分になるわけですから」
稲葉八段「羽生竜王は同じ戦型を続けるのを、あまり好きではないように思うのですが、後手番で変化するのも難しいので、やはり角換わりが本命ではありますね」
前夜祭(6)
■広瀬章人八段の決意表明■
「本日はお忙しい中、こんなにも大勢の方にご来場いただきまして、誠にありがとうございます。このような盛大な前夜祭を主催していただいております読売新聞社さま、今期から特別協賛していただいている野村ホールディングスさま、協賛していただいている東急グループさま、明治さま、そしてこの地元・福知山市でご尽力いただいた皆さまに厚く御礼を申し上げます。この前夜祭の会場に来てからは、本当に皆さまの熱気と言いますか、将棋熱が高まっているのを感じ取ることができました。この七番勝負は第1局から日本の文化、歴史を重んじる対局場が続いておりまして、この第4局の福知山城は、有名な戦国武将である明智光秀公が築城されたと聞いております。やはり戦国武将の方は強い意志と勇気を持って、その時代を生き抜いてこられたと思いますので、私自身もそういった戦国武将の方々を少しでも見習って、明日の第4局は強い気持ちを持って戦いに臨めたらと思っています。七番勝負も中盤に差し掛かりまして、現在は1勝2敗とスコアでは負けているのですが、明日の第4局を勝てば2勝2敗になってシリーズも盛り上がってくると思うので、精一杯、できる限りの力を出して、皆様にいい将棋をお見せできればと思います」
■羽生善治竜王の決意表明■
「竜王戦福知山対局を、このように盛大に開催していただきまして、誠にありがとうございます。私は今回福知山に来るのは初めてで、京都府の北部のほうに訪れたことがなかったので、今回このような機会をいただいて、とても嬉しく思っております。午後に電車で移動してきたのですが、ちょうどその車中で明日の対局場である福知山城の姿が見えまして『ああ、ここで対局するんだな』と思いを新たにしたところです。そのときに『ここのお城はどうやって登っていくのかな?』と疑問だったのですが、結構坂がありまして、お城ですから見晴らしがいい場所であると同時に、なかなか崩れにくいところに立地しているんだなと、その歴史に思いを馳せたりもしました。将棋の世界は、いまのルールになってすでに400年の歴史があるのですが、江戸時代は『御城将棋』というお城で対局を披露することが、いちばん大きな出来事として残されてきました。そういう意味では現代でも、このような形でお城で対局できるのは、伝統を継承していくという点で意義深いことだと思っています。ちょうどいま3連休中で行楽日和ではあるのですが、大変に素晴らしい場所を提供していただきましたので、将棋の魅力を伝えられる2日間になるように、自分なりに力を尽くしていきたいと思っています」



















