カテゴリ「第31期竜王戦七番勝負第4局」の記事 Feed

2018年11月23日 (金)

見どころ解説
(立会人による見どころ解説。しかし「このふたりに丸投げされても」ということで)

見どころ解説
(早々に壇上に呼び出された村田智穂女流二段)


村田女流二段「明日の見どころですが、谷川先生はこれまでの流れをどのようにご覧になっていますか?」

谷川九段「将棋界は、このところ角換わりが大流行で、竜王戦も今まで3局そうなのですが、羽生竜王のほうは割と相手との対話といいますか、あまり無理なことはしない棋風だと思ったのですが、どうも今期の竜王戦は違いますね。傍目から見るとやや無理気味ではないかという攻めを押し通して第1局、第2局などは勝っているわけで、このシリーズは通算タイトル100期もかかっていますので、戦って『攻めて勝ち取るんだ』という強い意志を感じます。広瀬八段の立場で見ると羽生竜王にずいぶん攻め込まれて、第3局も苦しい将棋だったと思うのですが、彼は終盤の名手でもあるので、一方的に攻められているようでもどこか狙っていて、最後の最後で逆転の一手を指して1勝を返したと。なので第3局は広瀬八段にとって大きな勝利だったと思います」

稲葉八段「開幕前は勢いのある挑戦者が有利かなと思ったのですが、始まってみると羽生竜王が2連勝で、そのまま一気にいくのかなと思ったら第3局で広瀬八段が苦しそうな将棋を最後に逆転して。最近の広瀬八段は、少し苦しい中でもうまく辛抱して、最後に逆転に結びつけているのが高勝率の要因かなと思います。明日もどうなるか、なかなか両者、粘り強いので大熱戦になると思います」

村田女流二段「明日の戦型予想はいかがでしょうか?」

谷川九段「そうですねえ、また角換わりになるのかなという感じがしますね。広瀬八段にとっては第4局が先手番なので、1勝2敗とは言ってもリードされている意識はないと思います。主導権が握れる先手番で勝てば五分になるわけですから」

稲葉八段「羽生竜王は同じ戦型を続けるのを、あまり好きではないように思うのですが、後手番で変化するのも難しいので、やはり角換わりが本命ではありますね」

広瀬章人八段

■広瀬章人八段の決意表明■

「本日はお忙しい中、こんなにも大勢の方にご来場いただきまして、誠にありがとうございます。このような盛大な前夜祭を主催していただいております読売新聞社さま、今期から特別協賛していただいている野村ホールディングスさま、協賛していただいている東急グループさま、明治さま、そしてこの地元・福知山市でご尽力いただいた皆さまに厚く御礼を申し上げます。この前夜祭の会場に来てからは、本当に皆さまの熱気と言いますか、将棋熱が高まっているのを感じ取ることができました。この七番勝負は第1局から日本の文化、歴史を重んじる対局場が続いておりまして、この第4局の福知山城は、有名な戦国武将である明智光秀公が築城されたと聞いております。やはり戦国武将の方は強い意志と勇気を持って、その時代を生き抜いてこられたと思いますので、私自身もそういった戦国武将の方々を少しでも見習って、明日の第4局は強い気持ちを持って戦いに臨めたらと思っています。七番勝負も中盤に差し掛かりまして、現在は1勝2敗とスコアでは負けているのですが、明日の第4局を勝てば2勝2敗になってシリーズも盛り上がってくると思うので、精一杯、できる限りの力を出して、皆様にいい将棋をお見せできればと思います」

羽生善治竜王

■羽生善治竜王の決意表明■

「竜王戦福知山対局を、このように盛大に開催していただきまして、誠にありがとうございます。私は今回福知山に来るのは初めてで、京都府の北部のほうに訪れたことがなかったので、今回このような機会をいただいて、とても嬉しく思っております。午後に電車で移動してきたのですが、ちょうどその車中で明日の対局場である福知山城の姿が見えまして『ああ、ここで対局するんだな』と思いを新たにしたところです。そのときに『ここのお城はどうやって登っていくのかな?』と疑問だったのですが、結構坂がありまして、お城ですから見晴らしがいい場所であると同時に、なかなか崩れにくいところに立地しているんだなと、その歴史に思いを馳せたりもしました。将棋の世界は、いまのルールになってすでに400年の歴史があるのですが、江戸時代は『御城将棋』というお城で対局を披露することが、いちばん大きな出来事として残されてきました。そういう意味では現代でも、このような形でお城で対局できるのは、伝統を継承していくという点で意義深いことだと思っています。ちょうどいま3連休中で行楽日和ではあるのですが、大変に素晴らしい場所を提供していただきましたので、将棋の魅力を伝えられる2日間になるように、自分なりに力を尽くしていきたいと思っています」

両対局者退場
(決意表明のあと、両対局者は明日に備えて会場をあとにした)

記念品贈呈
(両対局者に記念品の贈呈)

記念品贈呈
(贈呈者は大学生の池田達哉さんと、高校生の徳田晧介さん)

記念品贈呈

由良川扇子
(記念品は由良川扇子。福知山の伝統技術が施された逸品)

花束贈呈
(続いて花束の贈呈)

花束贈呈
(芦田実里さん、山部咲笑さんから両対局者に手渡された)

谷川浩司九段
(谷川浩司九段)

稲葉陽八段
(立会人・新聞解説の稲葉陽八段)

長沼洋七段
(現地大盤解説を務める長沼洋七段)

中村亮介六段
(同じく現地大盤解説担当の中村亮介六段)

藤井女流2級と村田女流二段
(聞き手を務める藤井奈々女流2級と村田智穂女流二段)

高野秀行六段
(観戦記を務める高野秀行六段)

主催者挨拶

■溝口烈・読売新聞大阪本社代表取締役社長■

「明日からの2日間、歴史ある福知山城で、将棋界最高棋戦の竜王戦が開催できてうれしく思います。竜王アカデミーや大盤解説、パブリックビューイングなどで、超一流の対局の空気を様々な形で福知山の皆さまに体感していただくことで、将棋ファンがさらに増えて欲しいと思います。同時に、全国の将棋ファンが、手に汗を握って楽しんでいただける戦いを期待しています」

主催者挨拶

■井上慶太・日本将棋連盟常務理事■

「福知山市では初めてとなるタイトル戦開催。検分で参った福知山城で、たくさんの子どもさんから『福知山へようこそ』と、歓迎のあいさつをいただき、大変感動しました。羽生竜王は今期防衛されるとタイトル通算100期獲得で前人未到の大記録となります。挑む広瀬挑戦者は今期絶好調。まさに最強の挑戦者です。この第4局が今後の流れを引き寄せる重要な一戦になると思っています」

主催者挨拶
(続いて福知山市長の挨拶。最初に両対局者に深々と一礼)

主催者挨拶

■大橋一夫・福知山市長■

「タイトル戦の勝敗を左右する大一番を福知山の一市民として楽しみにしています。福知山城は明智光秀が築き、別名臥龍城(がりゅうじょう)といわれています。2020年の大河ドラマ『麒麟がくる』の主役が、明智光秀であることも発表されました。明智光秀ゆかりの、そして市民の皆さんの思いがこもった福知山城での開催は、本市にとってもこの上ない喜びであり、誇りです。今回の第4局が後に名勝負といわれる戦いになることを、期待しています」

乾杯
(長谷幹雄・長谷本社代表取締役会長による乾杯の音頭)

乾杯
(乾杯!)


(挨拶文書き起こし:武蔵記者/写真:夏芽)

福知山城内の対局室に着き、盤駒の検分が行われました。

検分

羽生竜王
(羽生善治竜王)

広瀬八段
(広瀬章人八段)

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(立会人の谷川浩司九段と記録係の井田明宏三段)

検分

検分終了
(特に大きな問題点はなく、検分は5分ほどで終了した)

16時過ぎ、対局者を始めとする関係者一行は、対局場の福知山城に到着しました。

握手
(握手を交わしての記念撮影)

太鼓橋

広瀬八段と羽生竜王
(福知山城の広場の前では)

歓迎
(地元の子どもたちが大きな声で「福知山へようこそ!」と歓迎)

羽生竜王

広瀬八段

記念撮影
(みんなで一緒に記念撮影)