カテゴリ「第24期竜王戦七番勝負第4局」の記事
2011年11月24日 (木)
穴原温泉の紅葉
対局地になっている穴原温泉は、奥州三名湯のひとつ飯坂温泉のすぐ北に位置していることから、「奥飯坂」とも呼ばれる。吉川屋は摺上川と片倉山に面し、秋にはきれいな紅葉が見られる。西を見れば、吾妻連峰の色づいた山々。また車で1時間ほどのところには紅葉の名所「磐梯吾妻スカイライン」が通っている。磐梯吾妻スカイラインは昭和34年開通、平均標高1350メートルのパノラマコース。吾妻八景をはじめとした絶景が広がっている。残念ながら、現在は冬期通行止。周囲の景色をを見ると、抜けるような青空とのコントラストが鮮やかだ。日差しは穏やかでいい天気……と言いたくなるが、パラパラと冷たい雨が降っている。渓谷ならではの天気、といったところだろうか。
最善形を探して
外では風が吹き、色づいた木の葉が太陽の光で輝きながら舞っている。パラパラと天気雨が降り、控え室の外、すぐ近くに虹ができた。局面は互いに玉を囲い終え、攻めの形を探る段階に入っている。丸山九段は、6筋にあった飛車をひとつ右、5筋に動かした。解説の稲葉五段は、「初めて見ました。これはすごい手ですね」と驚く。この形では、互いに「戦いになったときに自分だけがいい形でありたい」という思惑がはたらく。その結果、飛車のポジションを変えるパス合戦になることが多い。
11時、渡辺竜王が△9二飛を着手。後手はスキのない陣形で待ち、仕掛けがなければ成功というスタンスだ。局面打開の義務は先手にある。島九段は「駒はぶつかってないけど、もう戦っている感じがしますね」と話した。