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1分将棋となった羽生棋聖。△4八飛を着手する。ここから羽生棋聖はすべて60秒未満で指し進めなければならない。
(吟)
ひときわ高い駒音で銀を自陣に打ちつけた。「この銀で、またヨリが戻った感じですね」と屋敷九段。
「羽生棋聖の残り6分です」の声にしばしあって△7九銀が着手された。まもなく20時を迎えようとしている。いよいよクライマックスだ。
控室の見解は羽生棋聖優勢。図から▲4六金が着手されたが、△8八馬▲同玉に△6八成桂が厳しいようだ。佐藤(康)九段も阿久津七段も後手優勢と声を揃える。(吟)
19時を回り、施設にもライトが灯された。しかし、まだ陽は落ち切っていない。夏の日の長さを感じさせる。
「(疲労の色が見える検討陣)と書いておいて下さい」と島九段が記者に声を掛けると控室はドッと沸いた。控室では「最後は精神力の勝負」と言われている。
羽生棋聖が△5二金を着手する瞬間。モニターの下が後手の羽生棋聖。
「ここで▲4三歩成でうまく攻め切れるかどうか」(屋敷九段)。7四の馬の利きを生かして△5二金と馬を叱りつける。まだまだ戦いの終わりは見えない。
18時18分頃の局面。「玉がない……」と控室で誰かの声が聞こえる。「これは杉本さんが得意な展開じゃない」と佐藤(義)八段。「終わりなき戦い、判断不能です。後手が少し持ち直しましたかね」と屋敷九段。
▲4四桂△3八馬▲7九飛に△4八歩成とと金を作った羽生棋聖。▲5二桂成と銀を取られると後手は銀損となるが、4八へ作ったと金に本局の命運を賭けたと言っては言いすぎだろうか。
「▲4四桂は△4三銀とすると▲5二歩と打つ狙いです。これは後手がかなり痛そうです。先手が良く見えてきましたね」(屋敷九段)。
何やら楽しそうな豊島六段と佐藤九段。検討の合間に笑顔もこぼれる。
控室の超大型モニター。
控室の人口密度も高くなっている。
ベテランの佐藤義則八段も熱心に検討。将棋界には佐藤姓が多い。四段から九段まで、すべての段位に佐藤姓が居る(六段のみ2名、すべて答えられる方はかなりの棋界通と言えそうだ)。