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第81期棋聖戦五番勝負第3局

2010年6月26日 (土)

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指し手が当たらない? 謎は深まるばかり

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図は羽生棋聖が敵陣に角を打ち込んだ局面。控え室ではまったく予想されていなかった手で、すぐにその真意をはかるべく検討が開始された。先ほどから予想する指し手が当たらず、誰もが「難しい」と首をひねる。「一手指す方がよく見える」とは棋譜解説チャットの中座七段。指導対局を終えた棋士が控え室に戻り、検討は熱を帯びてきた。

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(中村九段(左)、室田女流初段(右))

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(北浜七段(右)。室田女流初段と盤を挟む)

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(梅田さん(右)は片上六段(左)に解説を受けている)

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午後のおやつ

15時に対局者に出されるおやつは、羽生棋聖が「フルーツ盛り合わせ、ホットレモンティー」。深浦王位は「フルーツ盛り合わせ、アイスコーヒー」。

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ホテル内ギャラリー (1)

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指導対局

1階では指導対局が行われている。これも「ふれあい将棋フェスティバル」の企画だ。指導対局を務める棋士は杉本七段、村田顕四段、澤田四段、鈴木女流初段、室田女流初段、関西奨励会の竹内貴浩三段。会場はプロ棋士を一目見よう、将棋を教えてもらおうと大盛況。子どもたちが憧れの眼差しで棋士を見つめていた。

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(杉本七段)

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(村田顕四段)

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(澤田四段)

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(鈴木女流初段)

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(室田女流初段)

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(竹内三段)

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将棋大会

「第6回ふれあい将棋フェスティバル」の一環で、子どもたちを対象にした将棋大会が2階で行われていた。静まり返った会場に駒音が響く。どの選手も真剣な表情だ。

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13時30分の控え室

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(青野九段、中村九段、北浜七段の検討風景。深浦王位の攻めは検討陣の意表を突いた)

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(継ぎ盤を動かす北浜七段)

(銀杏)

13時、対局再開

定刻の13時になったが、羽生棋聖の姿が見えない。記録係の菊地三段が「深浦先生、1時間と24分使われました」と告げる。深浦王位は「はい」と答えると、再開後の一手を着手。その直後、羽生棋聖が入室した。「指されました」の声に「はい」と答え着座。すぐに盤面に没頭し始めた。

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(深浦王位)

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(再開後すぐに着手した)

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(定刻を過ぎてから、羽生棋聖が入室)

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1手損角換わりの基礎知識――「手損」と「形の得」の拮抗

本局は「1手損角換わり」と呼ばれる戦型に進行した。
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図は後手から角交換した局面。後手は△8八角成で1手使い、先手は図から▲8八同銀で角を取り返しつつ銀を動かせる。つまり、後手は自分から角交換すると手損になる。これが「1手損角換わり」の名前の由来だ。将棋は1手1手交代で指すゲーム。たくさん指せれば有利になると考えるのが普通だろう。だが、この場合は「形の得」という概念が絡み、手損の評価を複雑なものにしている。
下の図を見てほしい。
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1手損角換わりから「腰掛け銀」という形に進んだ局面。普通の角換わりであれば、後手は△8五歩と突いているところ。ところが1手損のため、図では△8五歩が入っていない。これはマイナスでしかないのだろうか? 実は、この△8五歩を「保留」することで、後手は△8五桂と跳ねる余地ができている。これは反撃としては相当に効果的だ。さらに、図で過去に「指せない手」であった△4三金右や△2二玉を可能にしてもいるのだ! つまり、後手は△8五歩を保留することで、「手損」を「形の得」として生かしているのである。
「手損する」という常識破りの工夫によって、普通の角換わりとは異なるまったく新しい世界が開けた。この戦型には、まだ多くの可能性、未発見の課題が埋もれている。新鮮な、未知の局面に出会える――それがこの戦型が、トッププロをも魅了する理由なのだろう。

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休憩時の対局室

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(羽生棋聖の玉。駒は児玉龍兒作、書体は「鵞堂(がどう)」)

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(深浦王位の玉)

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