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第81期棋聖戦五番勝負第3局

2010年6月26日 (土)

深浦王位、残り持ち時間15分

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17時45分すぎ、菊地三段が「残り15分です」と告げる。深浦王位はしきりに扇子で風を送っている。

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立会人・中村修九段

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(静かにモニターに映る進行を見守る、立会人の中村修九段)

(銀杏)

ついに検討打ち切り

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図は羽生棋聖が▲6三金と打ち、詰めろをかけた局面(▲5二金打△3一玉▲4一飛まで)。図で△4二金と受けるのは、▲3四歩が好手で参ってしまう。銀が動けば▲2二歩成が挟撃形でほとんど受けなしだ。控え室ではついに検討が打ち切られた。深浦王位は図の局面で15分以上考えている。

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(村田班も検討打ち切り。村田顕四段(左)、澤田四段(右))

(文)

先手勝勢?

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図は深浦王位が金を投入して受けた局面。粘りの一手だ。控え室では「後手玉をどう寄せるか」と、さまざまな手段を検討している。ただ、駒を渡して先手玉が危険になる変化もあり、羽生棋聖にとっては良いながらも油断できない局面と言えそうだ。伊藤能五段は、今期の挑戦者決定戦の観戦記で、深浦王位について「しつこい攻めと容易に土俵を割らない粘り強さが特徴。攻防ともに“鳥もちのような”粘着質と恐れられている(6/14産経新聞)」と書いている。深浦王位の本領がここから見られるか。

(文)

次の一手の正解発表、抽選

大盤解説会では次の一手が出題されていた。下図が問題の局面。
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控え室では「▲同歩と▲その他で候補を出すということでしょうか」「これは正解者がたくさん出そうですね」「▲同歩と▲7三馬と▲その他でどうか」「それだと▲同歩以外は万馬券ですね」と意見が飛び交っていた問題だったが……。

さて、解説会場では正解発表と抽選が行われていた。解説・聞き手は青野九段・室田女流初段のコンビに交代している。最後の色紙を手にした青野九段、「あ、これはいい色紙ですよ」と絶賛。貴重な賞品を手にした参加者は顔をほころばせていた。

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(正解者の抽選を行う室田女流初段(左)、青野九段(右))

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検討の様子

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鈴木女流初段が「ここ(上図)で△1四歩と突くと?」と尋ねると、北浜七段が「はー……落ち着いてますねえ」と言いつつ▲5四歩を示す。鈴木女流初段、しばらく考えて「先生、なにかないですか」と杉本七段にパスを出す。杉本七段、首をひねりつつ△6一桂。

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(鈴木女流初段の「終盤はもう全部わかってらっしゃるんですよね、先生方?」という問いに、杉本七段と北浜七段は顔を見合わせた)

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先手よしか

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図は16時半ごろの盤面。羽生棋聖に▲7三馬と飛車取りに迫られ、深浦王位が飛車を4二に逃げた局面だ。棋譜中継のコメントでは、「先手がいいような気がしてきました。先手玉が寄せられてしまう気がしないです」(北浜七段)「私もそのような気がします」(青野九段)「先手がいいと思います。▲2三歩はめちゃくちゃに利いています」(澤田四段)と、先手持ちの意見が多い。2三の垂れ歩が大きいようだ。深浦王位は△8二飛(68手目)が疑問手だったのではないか、との可能性が指摘されている。

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大盤解説会、始まる

15時半より大盤解説会がスタート。解説は杉本七段、聞き手は鈴木女流初段だ。

鈴木「今日は指導将棋をしたんですが、ちびっこたちに全部負けてしまいました」
杉本「私も1、2局勝っただけであとは全部負けてしまいました。いや、強いですねえ。愛知からもプロ棋士が増えるかもしれないですね」
鈴木「一緒に指導対局をしていた澤田さんは三重出身なんですよね。今期は4勝2敗と好調です。強いですね!」
杉本「ええ。私も1回負けていますし(注:▲杉本△澤田戦、2009、王位戦予選)」
鈴木「あー……言わせちゃいましたね」

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(会場は満員!)

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(聞き手の鈴木女流初段)

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(「行きのバスで、深浦王位がとても気さくに話してくださったんです」と鈴木女流初段。杉本七段(右)は「それは相手が環那ちゃんだからでしょうね」と返す)

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(一方そのころの澤田四段(左)。右は竹内三段)

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15時45分の控え室

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(立会人の中村九段、副立会人の北浜七段、室田女流初段が検討している)

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(片上六段、村田四段、澤田四段、竹内貴浩三段がモニターを見ながら検討している)

(銀杏)

先手持ちか後手持ちか

モニタの前に集まった片上六段、村田顕四段、澤田四段、竹内三段。それぞれ「どちら持ちですか」と尋ねると、意見は2対2に割れた。「先手持ち」は、村田顕四段と竹内三段。「後手持ち」は片上六段と澤田四段だ。片上六段に意見を聞くまでは少数派だった澤田四段、「ぼくの感覚がおかしいわけじゃなかったんですね。ありがとうございます」とぺこり。片上六段は「うん、返答に困るね」と素っ気ない。

15時半現在、局面はプロ間でも意見が分かれる難所を迎えている。

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(モニタの前で意見を交わす竹内三段(左)、村田顕四段(右))

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(北浜七段(左)、杉本七段(右))

(文)

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