記者会見
17時からは記者会見が開かれました。
――4月の下旬に棋聖の挑戦権を獲得した。これまでの1ヶ月間をどのように過ごしてきたか。
初めの1、2週間は和服やスーツを作ったりとか、対局以外のことをこなす時間も多かったんですけれども、対局が近づくにつれて徐々に藤井棋聖の対策を立てる時間をかなり重視するような生活になっていきました。
――藤井棋聖はどんな対戦相手だと思うか。
棋譜を見ていても全くスキが見当たらないといいますか、最強の相手といいますか、そういった印象があります。自分がいかにその相手に対してバランスを崩さずに食らいついていけるかが、かなりポイントになるかなとは思っています。
――抱負について。
先ほど検分で藤井棋聖と盤を挟む瞬間がありまして、やはり画面越しではない直接の雰囲気というものを少し感じ取ることができました。徐々に自分としても戦う気持ちが高まってきたところであります。明日は自分の出せる力を精一杯出して、全力でぶつかりたいなと思っています。
――棋聖は、師匠の米長邦雄永世棋聖の初タイトル。どんな気持ちか。
師匠にとって棋聖戦はゆかりのあるタイトルです。明日は師匠の和服をいただいたものを着用する予定で、師匠のパワーを少しは感じられたらよいかなとは思っています。
――歴史的な建造物、金谷ホテルでの対局となる。印象はどうか。
金谷ホテルさんは挑戦が決まった瞬間から来られることをすごく楽しみにしておりました。実際に部屋にうかがうと、とても1人で泊まるのがもったいないぐらいの素晴らしい部屋でした。こうした歴史的な空間で将棋を指せるということは、すごく棋士冥利に尽きるなと感じる次第です。また、日光全体の街並みもすごく自然が豊かでした。最近、家でパソコンを触る時間が多くて、ちょっと疲れたところにいい気分転換ができたかなとは思います。
――振り飛車にファンの方々が期待している。藤井棋聖にとっても振り飛車党との対戦は非常に珍しい。自分の武器をどういう風に盤上に表現していくのか。
これが武器というのもなかなか難しいんですけども、うーん……。序盤の戦略であったり、終盤の粘り強さみたいなものは持ち味かなとは思っていて。そういった自分の持ち味みたいなものが発揮できる展開になれば面白いかなとは思っています。
――先日まで名人戦七番勝負が行われていた。棋聖戦五番勝負を迎えるに当たってのコンディションはどうか。
比較的、日を置かずに迎えるということにはなりました。体調としても問題なく臨めそうだなと思っています。
――挑戦者の杉本和陽六段は、菅井竜也八段に続いて久しぶりの振り飛車党とのタイトル戦。振り飛車党との対戦、杉本六段の印象について。
振り飛車党とのタイトル戦はかなり久しぶりのことになります。杉本六段との対局も久しぶりで、新鮮なシリーズになるのかなと思っています。
――今期の五番勝負の抱負について。
対抗形の展開がメインになるかなと思っています。どういうふうに序盤戦、中盤戦が進んでいくかは、やってみないとわからないところもあると思うので、その中でしっかりと読みを入れてよい手を見つけられるように頑張っていきたいです。
――歴史的な建造物、金谷ホテルでの対局となる。印象はどうか。
非常に歴史のあるホテルということで、今回うかがうことを楽しみにしていました。雰囲気も素晴らしくて、対局に集中して臨めそうだなと感じています。
――棋聖戦の賞金額が上がったことについて。
驚きの気持ちもあったんですけども、本当にすごくありがたい、このことだと感じています。また、対局者としてより一層気持ちが引き締まるところもあるのかなと思っています。ただ、対局に臨む上では自然体が一番いいのかなと思っているので、明日からそういう気持ちで一生懸命頑張りたいなと思っています。
(書き起こし=紋蛇、写真=玉響)