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2017年5月31日 (水)

前夜祭(3)

10_4(井口文彦・産経新聞大阪編集局長)

「今年もですね、いよいよこの季節がやってまいりました。棋聖戦であります。本日もこんな多くの方に足を運んでいただいて、大変うれしく思っております。私自身は昨年に続き2度目の前夜祭への参加なんですけれども、やはり素晴らしいですね、ホテルニューアワジ。これから海の幸とお酒が運ばれてくるんですけど、これが本当に美味しいんですよ。ぜひ堪能していただければ。明日からの熾烈な戦いを繰り広げられる羽生さんも斎藤さんをはじめ、皆さんゆっくりリラックスされて、お楽しみいただければと願っております。
さて、今回の棋聖戦ですけれども、最大の焦点は羽生棋聖が10連覇なるかどうかというところであります。そこに立ちはだかるのが大期待の若手、『西の王子』という異名もある斎藤七段であります。イケメンであります。人だかりがすごいんですね。一昨年、昨年と20代の若い挑戦者が続いております。羽生さんもまだまだ若い者には負けられん、と気合満々でいらっしゃることと思います。将棋界に長らく君臨されている絶対王者と若き挑戦者、手に汗にぎる名勝負を切に願っております。
ときにですね、今年は『3月のライオン』という映画が上映されております。神木隆之介さんが主演なさっていて、大変若い方に人気な映画だとうかがっております。将棋というもの、そしてプロ棋士の魅力が広く伝わって、大変よいことだなとうれしく思っております。映画の中では将棋に懸ける若者の人間的な成長であるとか、一方で絶対王者の過酷なまでの孤独感、そういったものが立体的に描かれていて、感動的な物語になっております。それを拝見しまして、羽生さんにしても斎藤さんにしても、語られていない苦労や孤独に打ち勝って、いまこの席にいらっしゃるのではないかと推察しております。改めましてこのお二方に深く敬意を表したいと思っております。明日からぜひ頑張ってください。
産経新聞グループではですね、ほかのタイトル戦にはない付加価値の高いツアーを販売しております。東京や埼玉といった関東からご参加いただいた方もいらっしゃるということで、大変ありがたく思っております。将棋界、棋聖戦を盛り上げていくためにもですね、ぜひお誘い合わせの上でよろしくお願いいたします。
今日は緊迫の勝負の前にですね、ひと時ではありますけど美味しい料理に舌鼓を打っていただき、せっかくの機会ですので羽生さん、斎藤さんと語り合う時間を楽しんでいただければ、これほどの喜びはございません」

12_2 (井上慶太・日本将棋連盟常務理事)

「最近では自分が対局するよりあいさつすることばかりが増えて、でも今日は普段のタイトル戦と雰囲気が違うといいますか、ひと言でいうと女性が大変多いなと。私目当てでないことは重々承知しておりますけど、非常にうれしいなと思っております。
第88期棋聖戦五番勝負第1局ですけれども、またこの季節が来たなという風に思います。本当に淡路島の恒例行事といいますか、棋聖戦が開幕するなぁという思いになります。今期の棋聖戦はですね、羽生棋聖が10連覇なるか、そしてタイトル戦初登場で初獲得なるかという斎藤七段の対決です。羽生さんは通算15期を獲得されていまして、今期防衛されますと大山名人、中原名人に並ぶ16期となります。また全タイトルですと現在97期獲得されて、今回の棋聖戦、そのあとに控えております王位戦と王座戦のすべてを防衛されますと、通算100期の大台になりますね。100になったら、何かしら連盟も考えなアカンのちゃうかなぁと思うんですけども。
一方で斎藤さんは関西所属の、いまいちばん勢いのある若手といいますか、関西は最近ずっとタイトル挑戦を続けております。久保さん、千田さん、稲葉君、そして今回は斎藤慎太郎七段ということで非常に活躍しております。イケメンで、なおかつ謙虚で、温厚な性格で、非の打ちどころのない青年なんですね。今回、棋聖戦の観戦ツアーというのが新たに開設されましたけれども、斎藤人気という……いや、羽生さんの人気もあると思うんですけど、いやスミマセン。あのー、やっぱりね、斎藤さんは独身ですからね。
羽生さんの前期棋聖戦は永瀬さんの戦いで、出だしが1勝2敗で危ういと思うところもあったんですけど、カド番になられてから底力を出されて、防衛されました。やはりまだまだ若手には負けられないと今回も思われているのでは、と思います。非常に注目の一戦で、大変な熱戦になると私は確信しております。おふたりの健闘をお祈りしております」

13_2 (愉快な挨拶に満面の笑みを浮かべる羽生棋聖)

14 (斎藤七段は遠慮気味に微笑んでいた)

(書き起こし:虹記者。写真:潤)

(潤)

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