前夜祭(2)
本日はお招きにあずかりまして、誠にありがとうございます。歴史のある、全国の皆さまが期待している、第86期棋聖戦第4局の対局が、ここ新潟市西蒲区内の岩室温泉高島屋様で行われることに対しまして、主催者の産経新聞社様、ご尽力いただきました皆さま方に心より感謝を申し上げます。また、羽生棋聖、豊島七段におかれましては、ようこそ岩室温泉にお越しいただきました。心から歓迎申し上げます。
ここ高島屋で棋聖戦が行われましたのが、昭和58年、第42期の棋聖戦でございました。それから今回が19回目でございます。今後ともこの高島屋さんで、20回、30回と続けていって欲しいと期待しているところでございます。
さて、新潟市西蒲区といいますと、平成17年に政令指定都市に指定されました。その中で旧岩室村、巻町、西川町、潟東村、中之口村と5つの町村が合併されました。その中で旧巻町は、タイトル戦でよく使われる、中原十六世名人も好んで使われる、あの駒の「菱湖」書体で知られる、巻菱湖が生まれたところでございます。巻菱湖は1000年に一度と言われる書家でございまして、幕末の三筆と呼ばれました。旧巻町にあります鎧潟(よろいがた)、これが干拓されて水田になっておりますが、巻菱湖はこの水田が非常に好きだったといいましょうか、忘れがたいものだったそうです。その鎧潟は菱(ヒシ)の産地の湖でした。それで巻菱湖の本名は池田右内とおっしゃるそうですが、お名前を越後の国ということで「巻」、それから鎧潟ということで、菱の湖と書いて「巻菱湖」と名乗りました。
西蒲区でずっと棋聖戦が行われている。そして、同じ西蒲区が書家として、名駒の書体として有名な巻菱湖の出身地。目に見えないご縁を感じているところであります。現在、旧巻町の有志の方が、巻菱湖をしのぶ将棋大会を8月23日に行うことになっております。巻菱湖を後世の若い人たちに、こういう立派な書道家がいたということと、その書体を残していきたい、そういう取り組みを現在しているところであります。
明日の第4局が歴史に残る名勝負でありますとともに、開催にご尽力いただきました皆さま、今日ご参集いただきました皆々様のご健勝とご活躍を心よりご祈念いたしまして歓迎のご挨拶とさせていただきます。本日はありがとうございました。
燕市は1961年から日本将棋連盟の会長を務められた、故・原田泰夫九段の出身地でございます。そういったご縁もありまして、燕市は原田先生がご存命のときから、燕市の名誉市民として、いろいろ市勢の発展にご尽力をいただいた、という関係がございます。そういったこともあり、将棋が非常に盛んな土地柄でもあります。
さらには、この高島屋の女将が燕市出身ということもございまして、私が今回初めてお呼びいただいたのではないかなと、公式上は思っておりますが、実は私が大の将棋ファンでございまして、この間、高島屋の女将にお会いした時に、実は私将棋のファンで、とお話をしたところ、くればいいさ、といった裏話があって参加させていただいたということでございます。毎日のように日本将棋連盟のホームページを見て、どういった対局があったかなどをチェックしている人間でございます。
いずれにいたしましても、羽生棋聖と豊島七段の対局が明日行われるということで、この第4局が今年度の将棋大賞の名局賞にあたるような勝負になりますように、皆さんとともに期待したいと思っております。
もうひとつだけ、燕市は金属食器、洋食器で有名な土地柄でございます。いろいろな宴会で使うような、金属で作ったビールが美味しくなるカップであったり、お酒がまろやかになるぐい飲みで乾杯をしようということを提唱させていただいておりまして、今日も高島屋さんで金属の酒器をご用意いただいておりますので、乾杯のときには是非お試しください。
(牛蒡)