(開会のご挨拶は産経新聞社東京本社 沢辺隆雄 編集局文化部長)
「今回の対戦は多くのファンが注目しています。明日行われる将棋フェスティバルには150人を超える方が申し込まれ、キャンセル待ちが出るほどだと聞いています。また、大盤解説会も定員をはるかに超えていると聞いています。
産経新聞は昨日で創刊80年を迎えました。そのようなときに今回の対局が開催されてうれしく思います」
(日本将棋連盟理事 杉本昌隆七段が挨拶)
「産経新聞は創刊80年ということで、来年は将棋界でいえば盤寿にあたります。大変おめでたい。産経新聞社が発行している『正論』も今年40周年とのことで節目の年ですね。
前期の防衛でタイトル獲得通算81期となった羽生棋聖と竜王9連覇に加えて、棋王と王将を獲得された渡辺竜王の明日の対局は目を離せません。
毎年フォレスタで対局が行われていますが、大変すばらしい場所です。フォレスタの小野社長は県代表になったこともあるアマ強豪です。私も中学生のころに指した記憶があります」
「今年も棋聖戦開催ありがとうございます。昨年の前夜祭で羽生棋聖がリラックスされている様子だったのでたずねたら、「オンとオフをきちっとしています」とのことでした。自分はオフのことが多いので、勝負事の類は勝てないのかと思いました。
文化振興財団主催のフェスティバルを開催いたします。プロと将棋ができるのはいい機会。来年以降もフォレスタでゆったりした時間を楽しめればと思います」
(書き起こし・銀杏、撮影・吟)
【羽生善治三冠】
――今日の対局を振り返っていかがですか。
「途中までは反対を持って指したことはあった形ですが、結構険しい変化がたくさんあってよくわからないまま指していました」
―― ▲7一歩成(39手目)は新手だったみたいです。
「そうですね、早めに捨てておかないと危ない変化もあるんじゃないかなと思いました。意味としては同じなのですけどね。昼休で8五桂がなかなか取り切れないので、つまらない将棋にしたかなと思っていました」
―― 作った馬(51手目▲7四角成)が大きいように思えました。
「思ったよりは手ができなかったですね。もうちょっと8五桂が簡単に取れるんじゃないかと思っていましたが、△6六歩を突かれて(56手目)自信がなくなりました」
――勝ちを意識したのは?
「▲8三歩成(95手目)で飛車を取れる形になったところです」
【渡辺明竜王】
――本局を振り返って。
「中盤で冴えない感じになってしまって、その後はダメになってしまいましたね」
――具体的にはどの辺りでしょう。
「△6六歩(72手目)~△5五桂(76手目)と6七を攻めていったんですが、案外入玉含みになってよくなかったです」
――8五桂の存在はプレッシャーになったのでは。
「結局取られるのでちょっと……。取られる間に馬を作り合う展開にしたかったんですが、その後の攻めが淡泊でした」
(翔)
(終局直後)
(先勝した羽生善治棋聖。終始むずかしい表情でインタビューに答えた)
(敗れた渡辺明竜王。ゆっくりと言葉を紡ぎだした)
(翔)
棋聖戦第1局▲羽生善治棋聖-△渡辺明竜王は111手までで羽生棋聖が勝ちました。終局時刻は18時6分。消費時間は▲羽生3時間32分、△渡辺3時間37分。第2局は6月22日(土)に愛知県豊田市「ホテルフォレスタ」にて行われます。