終局直後
モニタに中村六段が頭を下げる様子が映ると、関係者が対局室へ慌ただしく移動する。インタビューが行われたのち、二人はファンの待つ解説会場へ移動した。
―― 中盤までほとんど時間を使われていなかったですね。
羽生 そうですね、その後にどうするかというのが予想がつかなかったので。
―― 途中、長考された局面(△8五歩……74手目)がありましたが。
羽生 攻めが細いので、気をつけて攻めないといけなかったですね、切れないように。形勢自体は微妙だと思っていました。
―― 勝ちと思われたのはどの辺りですか。
羽生 △5四角と打ったあたりで。
―― これで2連勝、棋聖戦5連覇にあと1勝です。通算獲得タイトル81期もあと1勝と間近に迫っているのですが、次への意気込みをお願いします。
羽生 そうですね、ええ。まあ、変わらずに、一生懸命指せたらいいなと思います。
―― 一局を振り返っていかがでしたか。
中村 ずっと受ける展開だったので、あまり本意の展開ではなかったですね。
―― △3五歩(69手目)に随分考えられたんですが(1時間4分)、その辺りは。
中村 受けを探していたんですが、どう指したらいいかわからなくて、少し苦しいかなと思いました。
―― これで後がない展開ですが、次へ向けての意気込みをお願いします。
中村 そうですね、意識せずに、普段通り指したいと思います。
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