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2009年6月 9日 (火)

【梅田望夫観戦記】 (7) 揺れ動く局面、割れる大局観、そして膠着状態か

 藤井九段と飯塚六段は大盤解説で「先手の模様がいい」と断言して控え室に戻ってきた。

 ここまでここで報告してきた、深浦王位と、自宅からメール参加の渡辺竜王の後手良しという大局観と真っ向からぶつかっている。「勝敗は置いておくとして、模様だけなら先手がいいですね。でも、穴熊は勝敗にこだわる戦型だからね」「渡辺君は穴熊が本当に好きなんだねえ」「羽生さんはここは難しいと思ってました、ってあとで絶対に言うよ」とは、藤井九段。

 そして、「後手がいいって、具体的に何がいいのか言ってくださいよ」と藤井九段が言い、深浦王位、青野九段を交えて、羽生棋聖が穴熊を完成させた64手目の局面から、検討に熱が入ってきた。


 羽生さんの言葉

 『でも、将棋の局面というのは、つねに揺れ動き続けているようなものなんですよ。或るプロ棋士に訊いてこっちが良いと言っても、違うプロ棋士は自信がない、と言う。タイトル戦に限らず、大部分の対局は、その微妙なギリギリのところで、ずっとずっと揺れ動き続けているものです。』(「シリコンバレーから将棋を観る」第七章)

 が頭によみがえってくる。


 「しかしここまで大局観が割れることも珍しいなあ」とは、「将棋世界」観戦記担当の小暮さん。

 そして羽生棋聖は一手パスのような手を指し、指し手が70手目までの現段階で、局面は膠着状態に入ったのだろうか。

 対局者二人は果たしてどんな大局観を持っていることだろう。


 検討を進める藤井九段は、先手に絶対の自信を持っているようだ。「勝ちはもう三種類出た」と断言している。渡辺竜王と電話で話そうというような冗談まで出ている。

 深浦王位は、まったく納得していない。



(追記)

 藤井九段の構想通りの▲3五歩を木村挑戦者が指したのを見て、「新しい木村の誕生だ、攻める木村だ!」と、藤井九段。

(追記の追記)
 30分の真摯な検討の末、藤井「互角だ……バランスがとれている」。

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