「全体を通しての感想ですが、清水女流王位が▲9三香打(81手目)と打ち込んだ局面や甲斐女王が△7七香(94手目)と打ち込んだ局面が印象に残りました。まるで歩のように香を使うスピード感あふれる一手でした。途中△6八と、と銀を取れる局面もありましたが一歩も渡せないため結局取れなかったというのが、本局の難解さを物語る一コマだと思いました。▲9三香と打ち込んだ局面は『最強の矛対最強の盾』と呼ぶのにふさわしい局面ではないかと思いました。名局だったといます」(村田顕弘)。
ご観戦の皆様、本日は1日ありがとうございました。
(吟)
接戦を落とした清水、棋譜をじっと見ている
神吉七段のトークに両対局者も、この表情
両対局者も疲労困憊のはずだが、ファンの前に笑顔で登場した
「と金を作って指しやすくなったかなと思いましたが、竜が働いてなかったので・・・。△5七竜(96手目)と馬を取って勝ちになったと感じました」(甲斐)
「87手目で▲9三同馬と切って寄っていれば・・・。そのつもりで行ったのですが・・・。最後は読みが甘かったのが残念です」(清水)
122手で甲斐が混戦を制して連勝で女流王位奪取へ、あと1勝とした。
終局は19時8分。消費時間はともに3時間59分。第3局は6月2日、福岡県飯塚市「旧伊藤伝右衛門邸」にて行われます。
△6五角成と馬を作って甲斐が勝勢の局面となった
清水が▲5七馬とと金を払って、一歩を入手した局面。次に▲9四歩と打てれば面白いが、手番は甲斐に。控え室では△1七竜や△6五桂が検討されている。(吟)
△9三同香と甲斐が香を取った局面。9筋で清算しての▲9九香や△7一玉と逃げた時の▲4四馬の飛び出しもあり、先手優勢との評判に、控え室の声も変わった(吟)
△9一香と打った手に対して、▲9二香成△同香▲9五香△9一香を繰り返せば千日手になる。しかし清水が▲9三香打(下図)としたことで、千日手はなくなった。9筋で香がぶつかりあう珍しい形である。
「▲9三香打!!長く将棋やってきましたが、ここまで香が密集した珍形は初めて見ました」。(村田顕弘四段)
甲斐の△5七とに手抜きで▲9五香と走った。控え室では、先手が苦しいと見られていたが、▲9五香の勝負手に「ええ~」と驚きの声が響いた。悪いながらも▲5七同馬が検討された矢先のことであった