【甲斐女流王位インタビュー】
―― 本局は受ける展開になりましたが、中盤の分かれはいかがでしたか。
「序盤で▲3六歩~▲5五歩(27手目)と突いていったのはちょっとリスクが高いかとも思ったのですが、やってみたかった手でした。本譜は△7五歩(36手目)を▲同歩と取ってから後手の攻めを呼び込んでしまう展開になって、そのあたりの指し方がおかしかったかなと思いながら指していました」
―― ▲1五歩(61手目)と反撃したあたりはいかがでしたか。
「そこまでずっと受けに回る展開でしたので、ちょっと足りないかなと思っていました」
―― どのあたりで手応えを感じましたか。
「▲8二飛(71手目)と打った局面で、はっきりした相手の勝ち筋が見えなかったので。その後△6二銀を見て、良くなったかなと思いました」
【清水女流六段インタビュー】
―― 攻める展開でしたが、仕掛けたあたりはいかがでしたか。
「後手番としては右桂がさばけたので、忙しいとは思いますがまずますかと。ただ、決めにいったんですが、ちょっとはっきりした手順が分からないまま指してしまったので……」
―― ▲1五歩と反撃されたあたりはいかがですか。
「その前に何か決めるところがなかったかと。端を突かれたところでは、大変になっていると思います」
(八雲)
甲斐智美女流王位に清水市代女流六段が挑戦する第25期女流王位戦五番勝負第3局は18時43分、93手で甲斐女流王位の勝ちとなりました。消費時間は▲甲斐3時間52分、△清水3時間59分。勝った甲斐女流王位は防衛に王手をかけました。第4局は6月4日(水)に兵庫県姫路市「夢乃井」で行われます。
時刻はまもなく18時を回ります。
先手苦戦と見られていましたが、図の▲7四角は好手と評判。後手は歩切れのため、次に▲8二飛が受けにくく大変な形勢のようです。
実戦は図から△2八飛と進んで、残り時間は▲甲斐30分、△清水13分となっています。
【Twitter解説】
斎藤慎太郎五段>後手陣は4二にいた銀が2二に移動して、端が強化されましたが中央が手薄になりました。そこで▲7四角と打って次の▲8二飛や▲5三歩△同銀▲4五桂を見せています。後手としては△2八飛が利くかどうかがポイントです。それには手抜いて▲8二飛でどうか。後手は歩切れが痛いです。▲7四角が良い位置で、局面は混沌としてきました。(形勢不明)
時刻はまもなく17時を回ります。
61手目の▲1五歩(左図)は、先手の狙い筋と言われていた手。しかし、ここに至るまでの損害が大きく、満を持しての攻めではなく、勝負手としての側面が強いようです。以下△8八と▲1四歩に△4六角と一気に攻め込む狙いもありましたが、清水女流六段は自重して△2二角と引きました。後手が有利と見られていますが、まだ大差がついたわけではなく、先手も踏ん張りどころのようです。
【Twitter解説】
斎藤慎太郎五段>△4六角の筋は決行しませんでした。私に誤算があったかもしれません。ただ△2二角と引かせて先手陣は少し楽になりました。▲2五桂とプレッシャーをかけてどうかです。(後手有利)
15時からのがみプレジデントホテルで大盤解説会が始まりました。開始直後から多くのお客様が詰めかけています。
「後手が攻勢に出ていますが、▲1五歩と角頭を攻める手が回ると先手が良くなりそうなので、ゆっくりはできません」と森下九段。
図は15時40分頃の局面。ここまでの消費時間は▲甲斐2時間24分、△清水2時間41分。
Twitter解説の斎藤五段は、後手有利と見ています。
【Twitter解説】(図の1手前、52手目△7七歩の解説)
斎藤慎太郎五段>取られそうな桂を活用する一手です。(1)▲同桂には△5八金▲同金△7七桂成▲同角△5五桂が狙い筋です。(2)▲6九銀には△5八金▲同金△8六飛と攻めていきます。しかし、そこで▲6八飛と打てば先手も頑張れますか。後手有利とはしていますが、甲斐さんの辛抱強い手順で後手も難しいところです。(後手有利)
(八雲)