*第35期女流王位戦五番勝負第3局

2024年5月23日 (木)

囲み取材

感想戦終了後、福間女流王位への囲み取材が行われました。

囲み取材

── 改めて今シリーズを振り返って。

福間 先手番の第1局と第3局と同じ形になったのですが、早い段階で力戦に入り、見たことがあるようなないような定跡形で、一手一手が難しい将棋だったと思います。第2局は完全な力戦形で苦しい将棋でしたが、それを勝てていい流れを作れたのかなと思います。

── 「早い段階で力戦」というのは研究から外れたということですか。

福間 お互いに選択肢が多くて、第1局と同じ展開にするのか、それとも早い段階で手を変えるのか、という感じで何通りかは考えていたので、序盤は少考でしたけど時間を使って選択していました。

── 第3局の加藤女流四段の△8八歩成(52手目)は1時間32分の長考でした。どのようなことを考えていましたか。

福間 自然に指されての変化があまりよく分かっていなかったので、一緒に長考しているような感じでした。結構すぐに終盤に入りそうな段階だったので、ポイントなのかなと思っていました。

── 女流王位になると王位戦予選の出場、王位との記念対局などがあります。

福間 公式戦はものすごく得るものが多いですし、記念対局も普段できない経験なので、特別な対局ができることに関してはすごくうれしいです。女流棋戦は続いていますが、そういう対局を含めて一局一局大事に指せていけたらと思います。

福間女流王位

── 本日の終局時の心境は。

福間 まずは対局が終わってホッとしたという気持ちで、その次に勝負どころがどうだったのかな、という気持ちでいました。

── 今後も色んなタイトル戦を戦われると思いますが、どのような意気込みで臨まれますか。

福間 第1局、第2局と危ういところがあったので、今回のシリーズを反省して、次の対局に生かしていければと思います。

── 第3局では自陣の角が働いて、▲5七角(87手目)~▲7五角は立会人の中田功八段も「芸術的なさばきだった」とおっしゃっていました。

福間 こちらの自陣周りを気にする展開だったので、指しているときは本当に苦心しながら発見した感じでした。最後はうまく使えてよかったと思います。▲3三歩(75手目)とたたく前は変化も多いので慎重に時間を使いました。

── シリーズを通して印象に残った場面は。

福間 第2局が全体的に押され気味だったので反省点は残りますが、実戦的に迫れた点はよかったかなと。ただ、細かいところで正確な手が指せなかったので、その辺りを強化できたらと思っています。

── 序盤の指し手が早かったのは、想定内の局面で進んでいたということですか。

福間 ある程度は考えていましたが、ただ、実戦だと研究とは違った気になる変化が出てくるので、選択肢を決め兼ねているところは実戦で考えながら、自分の棋風と照らし合わせてやっていこうと思っていました。

── 今回の防衛で通算タイトル獲得数が58になりました。

福間 今回のシリーズも戦型選択とか考えるところがあったので、色んな形や幅広い指し方ができるように、今後もやっていけたらと思います。

福間香奈女流王位

以上で第35期女流王位戦五番勝負の中継を終了いたします。来期、福間女流王位に挑むのは誰になるのかお楽しみに。本日はご観戦ありがとうございました。

(夏芽)

感想戦

感想戦
(感想戦)

福間女流王位

加藤女流四段

福間女流王位

加藤女流四段

感想戦

(夏芽)

終局直後

終局直後
(終局直後の様子)

福間女流王位

■福間香奈女流王位へのインタビュー

── 昼食休憩の前後はどのように局面を感じていましたか。

福間 こちらがちょっと愚形で、変化がいくつかあって難しいと思っていました。

── 挑戦者の攻めを受ける中盤戦でした。

福間 ちょっとほかの順を考えていたので。本譜は自陣に角を1枚投入して、端攻めが厳しいのかなと思っていたのですが、何かあると一気に駄目になってしまいそうで、神経を使いながら指していました。

── ▲1九香(73手目)△7五歩のあと、先手が攻める展開になりました。

福間 端攻めはできましたが、こちらも薄い形なので、一手一手考えながら慎重に指していました。

── 歩を駆使して攻めの形を作っていきました。

福間 △7五歩を指されると、こちらもゆっくりはできないので、攻め合いでどうかなと思っていました。

── 本局を振り返って。

福間 昼食休憩の辺りは難しくて、読みきれていたわけではないのですが、それなりに一手一手考えて指せたかなと思います。

── シリーズを振り返って。

福間 第1局、第2局とも力戦で難しい将棋だったのですが、4時間という持ち時間を自分なりに要所で使えていたかなと思います。

加藤女流四段

■加藤桃子女流四段へのインタビュー

── △8八歩成(52手目)は1時間32分の大長考でした。この辺りの形勢判断を教えてください。

加藤 ▲7九角(51手目)と引かれて思い描いていた図にならなかったので。すでに苦しいまであるかなと思って、勝負になる順をと思っていたのですが、所々で読みにない手を指されてしまって。多分、形勢が悪いのでひどい将棋を指してしまったなという感じでした。

── 8筋は破って1筋の端攻めを食らう展開でしたが。

加藤 正直なところ(59手目▲7九角打に代えて)▲7九銀だと思っていて、本譜は角だったので、何かあるかなと思ったのですが見つけることができず、そもそも形勢が悪いかもしれなくて、受け止め方を色々と間違っていたように思います。

── △7五歩(74手目)のあと、相手の攻めを受ける展開になりました。

加藤 あそこはもう全然駄目だと思っていて、的確に△7五歩をとがめられてしまったと思います。

── 一局を振り返って。

加藤 序盤が不満なので、準備段階から甘かったと思います。

── シリーズを振り返って。

加藤 まず、第4局がなくて姫路の方に申し訳ない気持ちがあります。対局者として初めていく地が多く、女流王位戦ならではのストップウオッチ4時間という長い持ち時間で指せたことはよかったですが、ちょっと不甲斐ない将棋ばかりでした。その中でも第2局は、まだ救いようがある内容だったかもしれませんが、最後は残念だったので、全体的に課題が残ってしまったと思います。

(夏芽)

福間女流王位、3連勝で防衛

Joryuoui202405230101115▲福間-△加藤戦は16時14分、115手で福間女流王位が勝ち、3勝0敗でタイトルを防衛しました。消費時間は、▲福間2時間9分、△加藤3時間19分(持ち時間は各4時間)。福間女流王位は、女流王位通算10期、6連覇を達成しました。

(牛蒡)

大盤解説会

昨日、前夜祭が行われた「のがみプレジデントホテル」では、15時から大盤解説会が始まっています。

大和の間
(会場は4階・大和の間)

大盤解説会
(大勢のファンが来場している)

中田功八段
(解説の中田功八段)

田中女流1級と島井女流二段
(聞き手の田中女流1級とゲストで出演中の島井女流二段)

次の一手
(80手目△3四同金の局面で次の一手。▲1六香、▲5四飛、その他で出題された)

(夏芽)

午後のおやつ

15時、両対局者におやつが用意されました。午後のおやつは福間女流王位がフルーツ盛り合わせ、アイスティー、オレンジジュース。加藤桃女流四段が抹茶ムースとアイスティーです。

0523img_2080
(福間女流王位のおやつ。飲み物をふたつ頼んでいる)

加藤女流四段のおやつ
(加藤女流四段のおやつ)

(夏芽)

端攻め

▲1三歩成

59手目▲7九角打に△7八竜とかわしたあと、福間女流王位は▲1五歩と端から攻めていきました。先手は6八と7九にいる2枚の角が1三の地点に利いています。以下△3五歩▲1四歩△3六歩▲1三歩成(上図)が実戦の進行。激しい変化に突入しています。

▲1三歩成までの消費時間は▲福間女流王位1時間1分、△加藤女流四段2時間36分。残り時間は福間女流王位のほうが多く残しています。

福間女流王位
(1筋を突破した福間女流王位。一気に流れを引き寄せるか)

(夏芽)

観戦記情報

本局の観戦記は諏訪景子さんが担当。西日本新聞、北海道新聞、東京新聞、中日新聞、神戸新聞、徳島新聞の各紙上で7月23日(火)から掲載される予定です。そちらも是非ご覧ください。

本日の西日本新聞の朝刊には、伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦挑戦者決定リーグ▲羽生善治九段-△森内俊之九段戦の最終譜(相崎修司さん執筆)が掲載されています。

西日本新聞

(夏芽)

いい勝負

▲7九金打

加藤女流四段の再開後の一手は△8八歩成でした。以下▲同金△6六角▲同歩△6八銀▲同角△8八飛成▲7九角打と進んでいます。駒割りは角金交換で先手が駒得に立っていますが、後手は強力な竜を作っています。

先手は2枚の角を並べ、次に▲1五歩の端攻めが厳しそうですが、後手には△7八竜~△6九金で大駒を取り返しにいく筋があり、控室の中田功八段は「いい勝負」と話しています。

控室
(中田功八段の検討に耳を傾ける田中女流1級と島井女流二段)

(夏芽)

対局再開

対局室
(再開前の対局室。中田功八段と榊女流2級が待機している)

盤面
(昼食休憩時の局面)

庭園
(対局室からは、きれいな緑の庭園が見える)

福間女流王位
(12時54分、福間女流王位が先に戻った)

福間女流王位
(着席してハンドクリームを塗る)

加藤女流四段
(加藤女流四段の入室は12時57分だった)

加藤女流四段
(休憩前に大長考に沈んだ加藤女流四段)

榊女流2級
(13時、榊女流2級から「再開の時間になりました」と告げられた)

加藤女流四段
(加藤女流四段はすぐに指さず、悩まし気に下を向いた)

(夏芽)

カテゴリ

ブログ内検索

  • Loading
このサイト内に掲載の記事、写真などの一切の無断転載を禁じます。