第22期女流王位戦五番勝負第5局

2011年8月20日 (土)

第22期女流王位 表彰式

8月18日、東京・日比谷「松本楼」にて第22期女流王位表彰式が行われました。
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(日比谷公園内にある「松本楼」)
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(高橋純二・北海道新聞東京支社支社長)
「甲斐さんは外見からすると、おっとり型のイメージがあるかもしれませんが、実際は強い精神力の持ち主。甲斐さんは女流棋界を背負って立つエースの一人です。今後も女流王位を維持していただければと思います」
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(米長邦雄・日本将棋連盟会長)
「甲斐さんに勝因は何だったの?と聞いたら「辛抱したことです。その甲斐がありました」とのことでした(笑)。今後も持ち味を発揮して、さらに精進していただき、プロらしい生き様や将棋を見せてほしいですね」

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(石橋幸緒・日本女子プロ将棋協会代表理事)
「第1局、第2局は中飛車でしたが、第3局でいきなり2手目△3二飛戦法をぶつけ、それ以降は三間飛車で通されて防衛されました。甲斐さんの研究熱心さは存じておりますが、それを番勝負でぶつけるのは勇気のいることで感心させられました。最終局は五番勝負で苦しさもあったと思いますが、その中でも学ばれたことを出し切っての防衛で感銘を受けました」

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(甲斐女流王位の師匠である中原誠十六世名人が祝辞を述べる)
「タイトル戦の2連勝3連敗は多く、私は5度くらい経験あります。甲斐さんが第4局で負けたときは流れが悪いと感じたので、第5局はよく勝ったなと思いました。
将棋に関してはうるさく言わないので、甲斐さんは私とは違って久保二冠に似た将棋を指されています。将棋は他人に言われて強くなるというわけではなく、自分で作っていかなければどうしようもないですから。自分で道を切り開いていくという心構えが一番大事ではないかと思います。タイトルを取り、防衛して一人前といいますが、いろんな経験を積んで頑張ってほしいですね」

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(謝辞を述べる甲斐智美女流王位)
「今期の五番勝負は前期に続いて清水さんとの対戦となりました。第1局、第2局で連勝できましたが、悪い将棋を終盤で逆転する拾い勝ちに近い内容でしたので、第3局の前にいろいろと考えてしまいました。清水さんとの対局では、気が付かないうちに隙を突かれて形勢を損ねてしまう内容が多いので、第3局以降はどうしたら主導権を取れるのか、先に攻められるのかを強く意識しましたし、そこが自分にとっての課題だと思いました。しかし、思うように指させてもらえず、気が付いたら最終局を迎えている感じでした。
短い間に清水さんを前にして対戦すると、盤上だけでなく精神の強さを感じ、あらためて清水さんはすばらしい方だと思いました。最終局は勝てる自信はまるでなかったのですが、持っている力を出し切って精一杯指すしかないという気持ちになれました。そして、第5局では課題だった自分から先に攻める将棋を指せて、勝てたときはうれしかったです。
盤に向かえばまだまだ勉強不足だと感じる毎日ですが、自分なりに焦らずにできることをして一歩一歩努力したいです」

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(谷川浩司・日本将棋連盟専務理事が乾杯の音頭を取った)
「地位や逆境が人を成長させるということがあります。今期の五番勝負で甲斐さんは防衛することの難しさや調子の悪い中での戦い方について経験されていたかと思います。
女流棋界の中で一番精神力が強いのは清水さんかと思いますが、2年連続で清水さんとタイトル戦を戦ったことは甲斐さんにとって貴重な経験です。これからは甲斐さん自身が強くなることで、女流棋界のレベルアップに努めて、女流棋界を引っ張ってもらいたいと思います」

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(日本将棋連盟と日本女子プロ将棋協会の表彰状)
(銀杏)

2011年6月29日 (水)

ご観戦ありがとうございました

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(本局の棋譜)

本局の中継はこれで終了いたします。
ご観戦、誠にありがとうございました。

(八雲)

【Twitter解説】本局の総評

佐藤和俊>皆さんお疲れ様でした。22手目△2四歩から積極的に仕掛けた甲斐さんの緩急自在の指し回しが光った一局でした。清水さんは本局では勝ちづらい将棋の作りになってしまったと思います。

佐藤紳哉>一局を通して、甲斐さんの指し回しは安定していました。途中少し攻め急ぎはありましたが、全体的に見てカイ勝と言えるのではないでしょうか。カイ心の将棋だったと思います。防衛おめでとうございます。

門倉啓太>最終局にふさわしい大熱戦でした。清水さんが追い上げて逆転ムードもあったのですが、全体的に甲斐さんの落ち着いた指し手が印象に残りました。

村田智弘>お疲れ様でした。甲斐さんが終始攻めの姿勢で戦っていたのが印象的でした。清水さんはやや駒がちぐはぐになってしまい残念でしたが、最後の追い込みは見事でした。決着局にふさわしい見ごたえのある将棋でした。

長岡裕也>清水さんの押さえ込みに対して、甲斐さんがうまく捌いた一局でした。先手も終盤追い込んだように見えましたが、甲斐さんは冷静でしたね。初防衛おめでとうございます。

(八雲)

感想戦

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(八雲)

終局直後

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(終局直後、主催紙の担当者から両者にインタビューが行われました)

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(ほっとした表情を見せる甲斐女流王位)

甲斐智美女流王位インタビュー

――この1局を振り返っていかがでしたか
「序盤から、こちらが攻めて行く展開になったので、駒損だったのですが少しいいのかなと。ただずっと難しかったので、わずかにいいのかなと」

――どのあたりで勝ちを意識されましたか
「最後の最後で…(102手目)△7八竜と回った局面で、勝ちかなと」

――五番勝負を振り返っていかがでしたか
「ほんとに1局1局、悪い将棋が多くて。自分なりに悩みながら五番勝負を指してきたのですけど、いろいろと勉強になることがあったと思います」

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(インタビューにハキハキと答える清水女流六段)

清水市代女流六段インタビュー

――この1局を振り返っていかがでしたか
「序盤で少し得をしたので、その良さを広げようと思って、動きすぎてしまった気がします」

――終盤はどのような感じで見ていましたか
「終盤は、少し足りないと思っていました」

――五番勝負を振り返っていかがでしたか
「そうですね……。5局、いろんな将棋が指せたので、そういう意味では収穫の多いシリーズでした。全国を転戦することもできたので、それは良かったなと思います。結果は凄く残念ではありますが、自分の中で課題は見つけられましたので、来期に生かしたいと思います」

(八雲)

甲斐女流王位初防衛!

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△8七竜で清水が投了。甲斐が女流王位を3勝2敗で初防衛を決めた。
投了以下▲8七同玉△7八銀打▲8六玉△8七飛▲7五銀△6四銀▲
同角△同金までの即詰み。終局は19時11分、消費時間はともに3時間
59分。

刀折れ矢尽きるまで

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「先手に指す手がない」控室でそういわれた局面から、清水女流六段は持ち駒の全てを投入して受け続けています。最終局、投了した瞬間に全てが終わります。刀折れ、矢尽きるまで戦い抜く覚悟のようです。

(八雲)

終局間近

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控室では後手勝ちと見て、検討が打ち切られました。終局が近いようです。

【Twitter解説】
村田智弘>92手目△7九と、勝ちを読み切った一手ですね。後手玉は詰みがないので、甲斐さんの勝ちになりました。

佐藤紳哉>94手目△6二金打手堅いです。攻めても勝ちだったと思いますが間違いのない手です。

(八雲)

残り時間わずか

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18時40分、ここまでの残り時間は▲清水9分、△甲斐7分。

控室で検討されていたのは、図から▲4五竜△6八と▲7四桂△9二玉。そこで▲9五歩、▲5四竜、▲4一竜の3通りの手段が検討されていた。そして▲4一竜が最も難しいのではないか、と検討が進みかけたところで、清水女流六段は▲5二同竜の強手。

控室ではまったく検討されていなかった手。慌てて検討が開始されました。

【Twitter解説】
長岡裕也>大激戦になっていますね。89手目▲7四銀ですが、△6八とに対して後手玉に詰めろが掛けづらい。▲6一銀には△7九と▲8三香成△同銀▲同銀成△同玉▲7二銀打△8四玉で詰みません。

門倉啓太>87手目は▲4五竜の方が優ったと思います。90手目の局面は後手玉にうまい詰めろがかかりません。甲斐さんが勝ちになったのではないのでしょうか。

佐藤紳哉>90手目△6八とで後手勝ちとみます。▲6一銀が勝負手ですが冷静に対処されると足りないです。

(八雲)

18時15分頃の控室

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難解な最終盤を迎え、控室には米長邦雄永世棋聖、田中寅彦九段らが来訪。検討が続けられていますが、結論は出ていません。
「難しい。大変な勝負です。どちらが勝ちかわかりません」(米長永世棋聖)

【Twitter解説】
佐藤紳哉>80手目、やはりまだまだ大変かもしれません。ここから先手は▲4五竜から▲5五角をねらうか▲8五香から玉頭をねらうか、迷うところです。

佐藤和俊>紛れてきているように思います。佐々木五段の指摘と一緒で金銀をあっさり取らせたのはどうだったのでしょうか。80手目の局面ですが▲4五竜として先手も楽しみがありそうです。

実戦は80手目(左図)から▲5五角△6九銀不成▲7七玉(右図)と進み控室では「これも難しい」といわれています。

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門倉啓太>83手目の局面ですが、形勢不明になっていると思います。先手は次に▲7四銀と出る手があります。その後▲8五香から玉頭を殺到する狙いです。

佐藤和俊>83手目▲7七玉の局面ですが△5八とで少し後手が余せるとみます。

(八雲)

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