▼勝った伊藤沙恵女流四段のコメント
── 本局は中飛車を受ける展開でした。控室では▲7七桂(53手目)に△3三桂と受けた手が評判よかったのですが、中盤辺り、どのように局面をご覧になっていましたか。
伊藤 受け止められるかどうか、というところだと思っていたのですけど、かなりそこが難しくて一手一手考えていく展開だったかなと思います。
── 押し引きの難しい中盤戦で、受ける展開をどのように見ていましたか。
伊藤 やっぱり玉形の差があるので、その辺り、気をつけていかないとすぐに倒れてしまう形かなと思っていました。
── △3六歩(62手目)から、こびんをこじ開けて、角筋を通したところは。
伊藤 こびん攻めがうるさいような気もしたのですが、ちょっと分かってはいなかったですね。
── 最終盤、寄せの構想は見えていたのでしょうか。
伊藤 カナ駒がたくさんあるので、寄せがあればと思ってはいました。
── 一局を振り返って。
伊藤 終始難しく、とても神経を使う将棋だったかなと思います。
── 最終戦に向けて。
伊藤 第5局を指せるのはうれしいので、精一杯頑張りたいなと思います。
▼敗れた福間香奈女流王位のコメント
── 中盤▲4五銀(51手目)に57分の長考でした。この辺りはどのように局面をご覧になっていましたか。
福間 一手一手難しいかなと思っていました。
── ねじり合いの展開で、▲4三歩(65手目)と垂らした辺りは。
福間 結構、嫌みをつけれてるのかなと思っていました。
── ▲7五角(73手目)と切って▲4二銀と迫った辺りは。
福間 ▲7八飛(69手目)と回った手がひどかったかなと。少し堅さを生かす展開にするべきだったかなと思います。
── 一局を振り返って。
福間 途中で一気に崩れてしまったので、その辺りは反省すべきところかなと思います。
── 最終戦に向けて。
福間 自分の全力を尽くせるように頑張りたいなと思います。
(夏芽)
第36期女流王位戦五番勝負第4局▲福間香奈女流王位-△伊藤沙恵女流四段は106手で伊藤女流四段が勝ちました。終局時刻は18時18分。消費時間は、▲福間3時間57分、△伊藤沙3時間33分(持ち時間各4時間)。
五番勝負の成績は両者2勝となり、最終局が行われます。最終局(第5局)は6月25日(水)に東京・将棋会館で行われます。
(翔)
第4局が行われている「樫野倶楽部」は、前期に続く2回目の開催。徳島県松茂町にある結婚式場で、主な建造物はすべて、江戸時代から大正時代に建てられたものを移築、改修したものです。
1873年に樫野藤蔵氏が石灰製造業を始め、その長男である恒太郎氏が事業を引き継いで拡大。「樫野邸」は今から100年前の1925年に建てられた樫野家の私邸で、1997年に阿南市から現在の場所に移築されました。迎賓館としての役割も担っており、1999年には国の有形文化財に登録されています。
(2階の廊下。いちばん奥の両側がそれぞれの控室になっている)
【樫野倶楽部】
徳島県板野郡松茂町広島字北川向四ノ越29-1
https://www.kashino.jp/
(夏芽)