―― 本局を振り返っていかがでしたか。
伊藤 ちょっと最初のほうは、指しにくいのかなと思っていたのですが、おそらく途中はよくなったと感じていました。そのあとは負けになったと思います。
―― 最初の指しにくいというのは?
伊藤 ▲4八金引(47手目)としたあたりは、苦しいかなと思います。
―― 盛り返したと感じたのは?
伊藤 ▲5六角(83手目)から▲7五銀としたあたりは、少し盛り返した気がしたのですが、そのあとちょっと……。手がわからなかったです。
―― ▲8三歩から▲3三角成の寄せは。
伊藤 ほかの手がわからなかったので。ただあの順で寄せがないと、おそらく負けにしていますね。
―― 勝ちになったと思った局面は?
伊藤 △8三金(126手目)と(後手が)受けに回られたので、いけるんじゃないかと思いました。
―― 序盤の3筋の折衝はどうでしたか。
里見 押さえ込まれる展開にならなかったので、やや指しやすいかなと思っていました。
―― 飛車が横にいく感じになりました。
里見 ちょっと△3六歩(74手目)と取り込むところで、△5六歩を入れていればと思います。
―― きわどい終盤でしたが。
里見 途中はちょっとよくなったと思うのですが、勘違いしてしまったので。△7六同竜(120手目)が詰めろだと思っていたので……。
(吟)
里見女流王位は△5七角成から△4五桂と先手玉を寄せにいく。後手勝勢といわれていたが、控室は「事件か」とざわめく。先手玉に即詰みはない。これは急転直下、先手が逆転していてもおかしくない。
(吟)
▲6一飛成と金を取ったのが図の局面。後手玉には詰めろが掛かっているが、門倉五段解説の△3八飛の合駒請求が厳しい。合駒を使わせれば、後手玉の詰めろは消える。後手の里見女流王位が混戦を抜け出して、ゴールに向かっている。
■Twitter解説■
門倉啓太五段>現状、後手玉は詰めろですが、駒を1枚使うと詰まなくなりそうです。△3八飛で合駒を請求することができます。
△3八飛▲5八銀△8六角▲7七桂△5八角成▲同金△7五角がわかりやすいでしょうか。里見女流王位が腰を落として考えています。ここはしっかり勝ちを読みきりたいところです。(後手勝勢)
(吟)
△7六角と里見女流王位が出たのが左図の局面。▲8三歩△同玉に▲3三角成△同金(右図)で、後手玉が詰むかどうか。▲7五桂に△7四玉か△8二玉かも悩ましいがが、検討が進みどうやら即詰みはない。
ただし、先手はうまく上を押さえながら、詰めろを掛ければ勝ちがありそうだ。
■Twitter解説■
門倉啓太五段>▲6七銀が普通かと思いましたが、▲8三歩△同玉▲3三角成もありますね。以下△3三同金▲7五桂△8二玉▲8三銀△同銀▲6一飛成は後手玉が寄っているか非常にきわどいです。先ほどの手順中△8二玉に▲8四飛は△9三玉でギリギリしのいでいるか。ここで決めにいくかどうか、伊藤女流二段は勝負どころです。(先手やや有利)
(吟)