第33期女流王位戦五番勝負第2局

2022年5月11日 (水)

感想戦

以上で第2局の中継を終わります。
ご観戦いただきまして、ありがとうございました。

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Dsc_4048(感想戦終了後、里見女流王位は屋敷九段としばし検討を続けた)

(牛蒡)

終局直後

Dsc_3906(里見女流王位は1勝1敗のタイに戻した)

――▲5五歩から▲5六銀(21手目)は予定の順でしたか。
里見 力戦なので、一手一手、考えながら指していました。

――駒組みの手応えは。
里見 端歩を受けていない分、早めに攻めの形を築きたいと思ったのですが、難しかったです。

――▲9五歩(57手目)と仕掛けたあたりは。
里見 考えがまとまらなくて……。でも、いちばん自然な手を選んだつもりではありました。

――▲7八歩(65手目)は辛抱の手だったでしょうか。
里見 実戦的に堅さを生かし、攻め合いに持ち込めればと思っていました。

――中盤戦について。
里見 △2四角(92手目)と出られたところで、もう少しいい手があった気がします。本譜の▲4四歩はあまり利いていませんでした。△8四歩(96手目)から粘られる形にもなったので、もう少し強気に駒をぶつける展開にすべきだったかもしれません。

――▲3七銀(103手目)で壁銀を解消したあたりは。
里見 難しいと思っていました。

――▲6四歩(113手目)のあたりは。
里見 手が広かったので……。すごく自信があったわけではないです。

――その後の形勢は。
里見 飛車角交換から▲3五馬(129手目)で手厚くなり、指しやすくなったと思いました。

――最後は鋭い寄せでした。
里見 (本譜のような)一直線の順は▲5四銀成(131手目)で、後手の入玉は難しいかなと思っていました。

――本局の総括。
里見 昼食休憩以降は難しく、途中はちょっとミスもあったと思います。でも崩れずに指せました

――第3局に向けて。
里見 日程は少し空くのですが、対局は続いていくので、コンディションを整えて頑張りたいと思います。

Dsc_3896(西山白玲・女王は連勝ならず)

――序盤について。
西山 手将棋になったと思いました。

――▲9五歩(57手目)のあたりについて。
西山 手が広いので、一手一手、方針を考えながらやっていました。

――▲7八歩(65手目)のあたりは。
西山 長い戦いになりやすいと思っていました。

――△7四金(74手目)から上部を厚くしました。手応えは。
西山 リスキーな手が続いていたので、自信があったわけではありませんでした。

――▲4四歩(93手目)のあたりは。
西山 こちらの方針次第だったかと思います。どうしようかと苦心して指していました。

――△8三玉(100手目)のあたりは息の長い将棋かと思われました。
西山 難解かなと思っていました。

――飛車角交換(129手目あたり)になったあたりは。
西山 自分のほうが手が広いので、間違えやすい局面ではあると思いました。

――どのあたりで均衡が崩れたでしょうか。
西山 △5三銀(118手目)と引いたあたりは予定変更でだったので、もうちょっと危機感を持つべきだったと思います。

――本局の総括。
西山 互いの玉が堅いので、手が難しかったと思います。

――第3局に向けて。
西山 コンディションを整えて、悔いなく挑めたらと思います。

Dsc_3925(終局後のインタビュー)

Dsc_3936(感想戦の前に大盤会場へ)

Dsc_3947(大盤会場で一言ずつ感想を述べた)

里見女流王位は「最後は集中して指せました」、西山白玲・女王は「もしかしたら持将棋もあるかと思いましたが、途中で方針を誤ってしまいました」と話していました。

(牛蒡)

里見女流王位が1勝目を挙げる

20220511a第33期女流王位戦五番勝負第2局は、161手で里見女流王位が制しました。終局時刻は18時39分。消費時間は▲里見3時間33分、△西山3時間48分。これにより、シリーズ成績は互いに1勝ずつのタイに。第3局は、5月25日(水)に福岡県飯塚市「旧伊藤伝右衛門邸」で行われます。

(睡蓮)

先手の寄せ

20220511149120手台後半に大駒交換が行われて以降は、一気に局面が進みました。後手玉は上部に逃げたいのですが、9筋は香で封鎖され、7筋も先手の5八金がにらみを利かしています。先手の下から追いかける寄せが決まりそうです。

(牛蒡)

決戦

20220511125125手目の局面(図)まで、歩以外の駒交換はありませんでした。難しい勝負ですが、先手の持ち歩7枚、後手の歩切れという差は気になります。
実戦は図から△8五歩。対して▲1三角成が踏み込んだ手で決戦になりました。△1三同香は▲3六飛があるので△8六歩の一手。以下▲3五馬△7六歩▲5四銀成まで進んでいます。先手が5筋を制圧したのは大きそうですが、後手玉も粘りが利くので簡単ではなさそうです。

Dsc_3290(西山白玲・女王)

(牛蒡)

女性の将棋普及-中倉女流二段-

日本女子プロ将棋協会(LPSA)は5月で創立15周年を迎えました。創設時から女性の将棋普及に尽力しています。代表理事の中倉女流二段に話を聞きました。

――LPSAは女性の将棋大会をいくつも主催されていますね。

中倉 地方大会が増えれば、地方に住んでいる人たちの励みになると思い、LPSAは活動を続けています。6月26日には、「第16回小学生・第14回中学生女子将棋名人戦」の北海道大会を札幌で開催します。過去2回はオンライン大会でしたが、今回は久しぶりの現地開催になりました。

――将棋を指す女性は増えていますか。

中倉 増えていますし、レベルも上がっていると感じます。里見女流王位や西山白玲・女王の存在も大きいです。おふたりに憧れて将棋を頑張っている女性はたくさんいます。大会では「目指す女流棋士は?」というアンケートをとるのですが、おふたりがいつも1位2位です。

Dsc_3852(中倉宏美女流二段)

(牛蒡)

残り1時間を切る

20220511096図は17時10分ごろの局面。残り時間は、▲里見54分、△西山48分です。
91手目▲3六歩は自身の玉頭から攻める決断の一手。3~5筋から手が作れろうという動きです。ただ、94手目△4六歩に▲同角が入ったことで、▲3五歩に△同銀が角当たりになります。後手も手順を尽くして踏みとどまっています。△8四歩(図)も大きな手で、後手玉が広くなりました。まだまだ予断を許しません。

Dsc_3690(後手の包囲網突破を目指す里見女流王位)

(牛蒡)

互角の範囲内

20220511076図は16時ごろの局面。じりじりとした戦いが続いています。屋敷九段は大盤解説会で「互いに認め合っていますね」と話していました。対戦成績は、ほぼ互角です。どちらも相手の力量を認め、無理気味な攻めは通らない、と考えているのでしょう。

形勢は互角とみられています。先手は自玉が堅いので、手を作れればよくなります。ただし、7八に歩を打たされているので、手作りが少し難しくなっています。逆に後手は押さえ込みが決まれば優勢になります。

△4二角(図)は△3三桂を含みに△6五歩を狙いにしています。先手は飛車を押さえ込まれてはいけないので▲4五歩。対して後手は△3三桂で▲2六飛に備えてどうか。このような戦いが予想されます。

Dsc_3520(午前中の屋敷九段。15時以降は大盤解説会に出演している)

(牛蒡)

現地解説会が始まる

現地の大盤解説会が始まりました。屋敷九段と久津女流二段は札幌出身です。

Dsc_3804(解説会は事前申込制。抽選で100人の方が選ばれた)

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(牛蒡)

午後のおやつ

15時、午後のおやつです。

里見 フルーツ盛り合わせ、オレンジジュース、アップルジュース
西山 バニラアイスクリーム、紅茶(レモン)

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Dsc_3800(西山白玲・女王の希望でアイスコーヒーは対局再開時に出された)

(牛蒡)

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