(里見女流王位は1勝1敗のタイに戻した)
――▲5五歩から▲5六銀(21手目)は予定の順でしたか。
里見 力戦なので、一手一手、考えながら指していました。
――駒組みの手応えは。
里見 端歩を受けていない分、早めに攻めの形を築きたいと思ったのですが、難しかったです。
――▲9五歩(57手目)と仕掛けたあたりは。
里見 考えがまとまらなくて……。でも、いちばん自然な手を選んだつもりではありました。
――▲7八歩(65手目)は辛抱の手だったでしょうか。
里見 実戦的に堅さを生かし、攻め合いに持ち込めればと思っていました。
――中盤戦について。
里見 △2四角(92手目)と出られたところで、もう少しいい手があった気がします。本譜の▲4四歩はあまり利いていませんでした。△8四歩(96手目)から粘られる形にもなったので、もう少し強気に駒をぶつける展開にすべきだったかもしれません。
――▲3七銀(103手目)で壁銀を解消したあたりは。
里見 難しいと思っていました。
――▲6四歩(113手目)のあたりは。
里見 手が広かったので……。すごく自信があったわけではないです。
――その後の形勢は。
里見 飛車角交換から▲3五馬(129手目)で手厚くなり、指しやすくなったと思いました。
――最後は鋭い寄せでした。
里見 (本譜のような)一直線の順は▲5四銀成(131手目)で、後手の入玉は難しいかなと思っていました。
――本局の総括。
里見 昼食休憩以降は難しく、途中はちょっとミスもあったと思います。でも崩れずに指せました
――第3局に向けて。
里見 日程は少し空くのですが、対局は続いていくので、コンディションを整えて頑張りたいと思います。
(西山白玲・女王は連勝ならず)
――序盤について。
西山 手将棋になったと思いました。
――▲9五歩(57手目)のあたりについて。
西山 手が広いので、一手一手、方針を考えながらやっていました。
――▲7八歩(65手目)のあたりは。
西山 長い戦いになりやすいと思っていました。
――△7四金(74手目)から上部を厚くしました。手応えは。
西山 リスキーな手が続いていたので、自信があったわけではありませんでした。
――▲4四歩(93手目)のあたりは。
西山 こちらの方針次第だったかと思います。どうしようかと苦心して指していました。
――△8三玉(100手目)のあたりは息の長い将棋かと思われました。
西山 難解かなと思っていました。
――飛車角交換(129手目あたり)になったあたりは。
西山 自分のほうが手が広いので、間違えやすい局面ではあると思いました。
――どのあたりで均衡が崩れたでしょうか。
西山 △5三銀(118手目)と引いたあたりは予定変更でだったので、もうちょっと危機感を持つべきだったと思います。
――本局の総括。
西山 互いの玉が堅いので、手が難しかったと思います。
――第3局に向けて。
西山 コンディションを整えて、悔いなく挑めたらと思います。
(大盤会場で一言ずつ感想を述べた)
里見女流王位は「最後は集中して指せました」、西山白玲・女王は「もしかしたら持将棋もあるかと思いましたが、途中で方針を誤ってしまいました」と話していました。
(牛蒡)
第33期女流王位戦五番勝負第2局は、161手で里見女流王位が制しました。終局時刻は18時39分。消費時間は▲里見3時間33分、△西山3時間48分。これにより、シリーズ成績は互いに1勝ずつのタイに。第3局は、5月25日(水)に福岡県飯塚市「旧伊藤伝右衛門邸」で行われます。
(睡蓮)
120手台後半に大駒交換が行われて以降は、一気に局面が進みました。後手玉は上部に逃げたいのですが、9筋は香で封鎖され、7筋も先手の5八金がにらみを利かしています。先手の下から追いかける寄せが決まりそうです。
(牛蒡)
日本女子プロ将棋協会(LPSA)は5月で創立15周年を迎えました。創設時から女性の将棋普及に尽力しています。代表理事の中倉女流二段に話を聞きました。
――LPSAは女性の将棋大会をいくつも主催されていますね。
中倉 地方大会が増えれば、地方に住んでいる人たちの励みになると思い、LPSAは活動を続けています。6月26日には、「第16回小学生・第14回中学生女子将棋名人戦」の北海道大会を札幌で開催します。過去2回はオンライン大会でしたが、今回は久しぶりの現地開催になりました。
――将棋を指す女性は増えていますか。
中倉 増えていますし、レベルも上がっていると感じます。里見女流王位や西山白玲・女王の存在も大きいです。おふたりに憧れて将棋を頑張っている女性はたくさんいます。大会では「目指す女流棋士は?」というアンケートをとるのですが、おふたりがいつも1位2位です。
図は16時ごろの局面。じりじりとした戦いが続いています。屋敷九段は大盤解説会で「互いに認め合っていますね」と話していました。対戦成績は、ほぼ互角です。どちらも相手の力量を認め、無理気味な攻めは通らない、と考えているのでしょう。
形勢は互角とみられています。先手は自玉が堅いので、手を作れればよくなります。ただし、7八に歩を打たされているので、手作りが少し難しくなっています。逆に後手は押さえ込みが決まれば優勢になります。
△4二角(図)は△3三桂を含みに△6五歩を狙いにしています。先手は飛車を押さえ込まれてはいけないので▲4五歩。対して後手は△3三桂で▲2六飛に備えてどうか。このような戦いが予想されます。