(終局後、インタビューが行われた)
(鋭い寄せを見せた里見香奈女流王位)
【里見香奈女流王位インタビュー】
--仕掛けられたあたりの形勢はいかがでしたか。
難しいとは思っていました。
--竜を作られたところ(71手目▲2三飛成)はどう見ていましたか。
うまくいなせるかと思っていましたが、難しかったです。
--中央の戦いに持ち込んだあたり(78手目△5六歩)はいかがでしょうか。
もうちょっとゆっくりしたかったですけど、わからなくて強引な動きだったのであまり自信はなかったです。
--終盤戦はどうでしょう。
自信があるわけではなかったですけど、難しいと思っていました。△7九銀と掛けたところ(98手目)は勝ちになったと思いました。
(インタビューに応じる渡部愛女流二段)
【渡部愛女流二段インタビュー】
--仕掛けたあと、2筋・3筋の折衝はどう見ていましたか。
銀がポイントになるとは思ったのですが、竜を作ったあたり(71手目▲2三飛成)は大変だと思っていました。そのあと、中央の応酬で間違えてしまったかなと。
--▲7七桂打(83手目)の局面は。
大変だと思っていました。これから反省してみて、もっとがんばる手を見つけてみようと思います。
(翔)
第29期女流王位戦第2局は106手で里見香奈女流王位が勝ちました。これでシリーズ成績は1勝1敗となります。終局時刻は18時41分。消費時間は▲渡部3時間59分、△里見3時間42分(持ち時間各4時間)。
第3局は5月30日(水)に福岡県飯塚市「旧伊藤伝右衛門邸」で行われます。
(翔)
図は△8八銀成と、里見女流王位が金を取って王手した局面です。以下▲8八同玉に△8七歩と打てば後手が勝勢と見られています。
(翔)
上図は渡部女流二段が▲6二歩とたたいたのに対し、里見女流王位が△8七歩と王手したところです。
控室では、△8七歩に対する先手の対応が難しいと言われています。
(1)▲8七同玉には△7九銀。以下、▲6一歩成は△8八金▲9七玉に△6八銀不成(参考1図)と金を取れば、先手玉への詰めろになっています。
(2)▲8七同銀には△5九飛成▲6九金打に△7七角成があります。
参考2図以下、▲7七同金は△6九竜があります。▲7七同玉にも△6五桂が早そうです。
控室では「イナズマか」と声が上がります。その終盤力から「出雲のイナズマ」と呼ばれる里見女流王位の本領が発揮されつつあります。
(観戦記者の鈴木宏彦さんらが挟む継ぎ盤を、若松七段が見つめる)
(翔)
図は△5五同飛と、金交換しながら飛車を飛びだした局面です。少し前に△6八歩▲同金が入っていますので、△5五同飛は△5九飛成の先手になっています。ここで先手が▲5七歩と打てばお互いに早い攻めがなく、長期戦になると見られています。
(翔)
下図は16時過ぎの局面。2~3筋で攻防が続いていましたが、先手の銀が敵陣まで潜り込みました。
上図から▲2一歩成△同飛▲2二銀不成△5一飛▲2三飛成と進み、渡部女流二段は飛車を成ることができました。
当面の目標が達成できた先手ペースと見られています。
(翔)