インタビュー後、両対局者が大盤解説会場でファンの前に姿を見せました。
以下は中座七段、久津女流初段をまじえての感想です。
里見「序盤は攻める展開にならず、失敗したと思いました」
甲斐「△4四角から気持ちよく攻められそうと思いました」
里見「中盤はこちらの攻めが細く難しいと思いました。▲3四角では▲6五歩としたかったのですが、△3七歩のときが分かりませんでした。本譜は角桂交換になって、だいぶ思わしくないと感じました」
甲斐「△4四歩と受けたあたりで、もう少し攻めたかったです。▲8九飛で攻めにくくなりました。長考しましたが、攻めをうまくつなぐ手が見えなくて失敗したと思いました」
里見「終盤は少し指しやすいと思いましたが、△6八歩成(120手目)に距離感が分からなくなりました」
甲斐「苦心の順で苦しい時間が続きました」
里見「△6八歩成は▲4七金上とできるのですが、△2五桂が厳しいです。△7八馬で△7六馬なら▲6三銀成△同玉▲8四飛で、これならいけそうと思ったのですが」
甲斐「▲6三歩(127手目)のときにいい手が浮かびませんでした。△7四同銀(122手目)と取らずに△2五桂と攻め合うのだったと対局中に思っていました」
(2連勝の里見女流名人)
里見「序盤は攻める形にならず、失敗したかと思いました。中盤で攻める展開になって、少し指しやすいのかなと思いましたが、その後に差が縮まったかなと思います。▲3四角で攻めていきたかったが、反動が…。角桂交換にしたが、あのあたりがおかしかったかもしれません。▲4五桂と打ったあたりは、手がかりがない格好で攻めが薄いので何とも言えませんでした。終盤はいいのかなと思ったのですがが、自玉の距離感が分からなかったです。どちらが勝っていたか分からないですね。△5二金打に▲3四銀からの寄せがあったので勝ちと思いましたが、その前は分からなかったです」
(敗れた甲斐女流王位)
甲斐「角を切ったあたりは少しいいと思っていましたが▲8九飛を見落として…。▲6四歩にすぐ2九の桂を取る手も考えていたが、本譜は▲8九飛と引かれて、桂を取るタイミングを逃してしまいました。そこから受ける展開になりました。△2二飛と辛抱しましたが、少し苦しいかなと思いました。その後、思ったよりもこちらの玉が広くて、寄せにくそうでした。大変になったかなとも思いましたが、具体的に攻めるか受けるかの方針がはっきりしませんでした。△7四同銀(112手目)▲同銀△6三銀の受けがどうだったかと思います」
甲斐智美女流王位に里見香奈女流名人が挑戦する第26期女流王位戦五番勝負第2局は、19時8分に139手で里見女流名人の勝ちとなりました。消費時間は▲里見3時間54分、△甲斐3時間59分。
里見女流名人が2連勝で女流王位復位にあと1勝としました。第3局は27日に福岡県飯塚市「旧伊藤伝右衛門邸」で行われます。(銀杏)
自陣で隠居していた先手の飛車が世に出ました。控室で検討する青野九段は先手勝ち筋の見解。後手はどこかで△2五桂のように反撃したかったとのことです。(銀杏)
攻めたり受けたりのねじり合いが続いています。106手目△8四歩は懐を広げた一手で、ここは甲斐女流王位が受けています。「▲8五歩△同歩▲8四歩を狙うのは▲8五歩の瞬間が甘いので打ちにくいです」と大盤解説会の中座七段。ただし、▲8五歩以下△2五桂▲8四歩△3七桂成▲同桂の進展は▲6四桂の王手も厳しいので難しいようです。
実戦は図で▲7四歩、里見女流名人は後手の玉頭を攻めかかりました。「後手は先手側に手が向かっていないのが痛いです」と控室の青野九段。
(銀杏)