第34期女流王位戦五番勝負第4局

2023年6月 7日 (水)

囲み取材

感想戦を終え、里見女流王位の囲み取材が行われました。

--シリーズ全体を通して。
 似たような形が多かったですが、細かいところで駆け引きがあり、充実していたかなと思います。

--黒星スタートとなった第1局の内容は。
 少しいい局面もありましたが、そこから距離感を誤ってしまい、1手でだめにしてしまった将棋だったので、反省点として捉えていました。

--第3局は持ち味が出た内容だった。
 第2局を踏まえて、決断よく指せた将棋でした。力を出しきれたと思います。

--これで5連覇(通算9期)という数字について。
 とても光栄なことです。北から南で対局させていただき、地方の新聞社の方の温かさを肌で実感する棋戦でもあるので、力になっている部分はあります。

--持ち時間(ストップウォッチ方式4時間)について。
 持ち時間が長いとしっかりと考えられるので、勝負とは違った楽しみもあります。

--挑戦者・伊藤沙恵女流四段について、印象に残る将棋は。
 独特な棋風ではあるのかなと思います。ただ、今シリーズはすごく本筋の将棋が多く、無理に踏み込まれない印象があるので、一手一手考えていくところで充実感がありました。第1局で仕掛けがいい具合に入ったかと思ったのですが、無理に動かされていたのがわかったので、そのあたりのつくりのうまさを感じていました。

--女流王位を獲得すると王位戦の出場や記念対局が決まる。
 王位戦の予選も持ち時間が長いですし、記念対局もモチベーションになります。

--これから将棋を始めてみようという方にエールを。
 将棋は無理にするのではなくて、楽に楽しく触れていただきたいと思います。ひとりで始めづらいのであれば、お友達やお知り合いの方と楽しくやっていただければと思います。

--徳島のファンにひとこと。
 移動中、景色がいいのでリラックスできますし、食べ物もおいしい土地で勝手に親近感が湧いているところです。

--里見女流王位に憧れる少女や女性が多い。
 勉強法で悩んでいる方が多いように思います。好きな方法を見つけて、楽しく取り組んでいただけたら伸びしろがあるのかなと思います。

--重要な対局が続く。これからのタイトル戦に向けての意気込みは。
 7月からはタイトル戦が続きます。体調に気をつけて、いい状態で力を出しきれるようにしたいです。

Img_9469(囲み取材の模様)
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Img_9454(笑顔で撮影に応じた)
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以上で、第34期女流王位戦五番勝負の中継ブログを終了します。里見女流王位が5連覇を達成して終了となりました。来期、里見女流王位に挑戦するのは誰なのか。第35期の女流王位戦にもご期待ください。

(武蔵)

感想戦

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(武蔵)

終局直後

Img_9403(終局直後、主催のインタビューが行われた)

Img_9406(勝った里見香奈女流王位)

□勝った里見女流王位のインタビュー

--第2局のような進行になりました。
 間合いが難しいところではありました。積極的に動いてどうだったかなと思いました。

--▲4五銀(43手目)とぶつけて後手が大長考となりました。
 受けづらいのかなと思っていました。

--中盤は飛車が成り込んでいく形になります。
 もう少し攻め合いの順を選ぶべきかなと思っていましたが、具体的にわからず、自陣に駒を埋める形になりました。一手一手難しいなと思いながら指していました。

--▲4一竜(73手目)あたり中盤の攻防は。
 本譜は何かありそうで見つけられない時間帯がありました。指している最中は難しいかなと思っていましたが、先に迫れているのでやや指せるのかなと。

--▲8一銀(81手目)からの寄せの手応えは。 
 こちらも結構怖いので、対局中は悩ましかったです。

--最終盤に至るまでの進行について。
 ▲4七竜(89手目)と角を取って、こちらの玉形が一瞬安泰になるので、攻めに専念できて指せるのかなと思いました。

--一局を振り返って。
 仕掛けてうまくいっているか、微妙かなとは思っていましたが、一手一手考えて力を出しきれたかなと思いますし、指していて充実感もありました。



Img_9411(敗れた伊藤沙恵女流四段)

■敗れた伊藤女流四段のインタビュー

--序盤を振り返って。
 第2局から変化して、端の交換をいれないでやってみたいと思い、本局のような手順にしました。

--仕掛けあたりの攻防について。
 △6三銀(34手目)と離れた瞬間に仕掛けられて、どのようになるのかは難しいと思っていました。

--▲4五桂(39手目)に対して87分の大長考でした。
 急所なのかなと思って、考えました。

--△8五桂(60手目)からの攻め合いについて。
 実戦的に先手にだけ竜ができているので、こちらの指し手が難しかったように思います。

--△4七角(72手目)が攻防打でした。形勢について。
 続く▲4一竜は見えていましたが、ほかに代わる手が見えませんでした。代わる手がいまは浮かびません。難しくてわからなかったです。

--終盤は受ける展開になりました。
 手が入ってから角が質駒になっているので、▲8一銀で対応を間違えているかもしれませんが、思わしい受けが見えませんでした。終盤は少し足りなくなってしまったかと思います。

--一局を振り返って
 細かい微妙な違いが悩ましい一局でした。

--五番勝負を振り返って。
 自分の実力不足で最終局までもっていけなかったのが残念です。各地を回らせていただいて、どの場所でも気持ちよく対局に臨むことができてありがたく思っています。

(武蔵)

里見女流王位が5連覇達成

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第4局は121手で里見女流王位の勝ちとなりました。消費時間は▲里見3時間50分、△伊藤3時間58分。五番勝負は里見女流王位の3勝1敗となり、女流王位5連覇、9回目の戴冠を決めました。

(飛龍)

引くか寄るか

2023060781▲7三歩△同桂を利かして30分考えた里見女流王位は、▲8一銀と打ちました。控室では△7一金がしぶとい受けで、後手も戦えるのではないか、と見ていましたが、伊藤女流四段は△6二金と寄り、▲5四歩△4二銀▲7二歩△5一銀▲5三歩成と進みました。

2023060787先手玉の寄りはなく、里見女流王位が勝ちに近づいています。

Img_9396(モニターに映る▲5三歩成の局面)

(武蔵)

里見女流王位が優勢に

2023060779里見女流王位は残り時間が1時間になるまで考え、△7四歩の金取りを無視して▲7三歩と焦点の歩を放ちました。後手は玉と金、桂のいずれかで歩を取れますが、武市七段は続く▲8五桂打が厳しい継続手と見ており、「桂を打てば、読みきりかもしれません」と終局をほのめかしました。

Img_9372(里見女流王位は勝つと5連覇(通算9期)となる)

(武蔵)

眉山に登ってみた(3)

徳島県は多くの川に囲まれ、「水都」ともいわれます。
Img_9305_2 (奥に流れる吉野川は日本三大暴れ川のひとつとして数えられる。別名「四国三郎」)
Img_9315(タイミングがよければ、和歌山県まで一望できる)
Img_9310(鐘を鳴らしたら、幸せになれる……かも)

Img_9321(眉山公園の船王の歌碑)

眉山から見下ろす街並みは絶景です。徳島に訪れた際は、ぜひ足を運んでみてください。

(武蔵)

即詰みの変化

2023060773_2△4七角の攻防手に対して、里見女流王位は約30分を消費して▲4一竜と寄りました。△6九角成には▲4八竜の素抜きを用意しています。検討では当初、△6六角▲同歩△5六桂で後手も面白いといわれていましたが、そこで▲6一角(変化図)が発見され、形勢判断が一変しました。
2023060777以下△6八桂成は▲7二角成△同銀▲7一銀△7三玉▲8五桂△7四玉▲7五金△6三玉▲5五桂△5四玉▲4五金(詰み上がり図)が一例で、長手数の即詰みがあります。

2023060789終盤ならではの、複雑な変化手順が出始めました。読み勝っているのはどちらでしょうか。

(武蔵)

伊藤女流四段、残り時間が1時間を切る

2023060766検討が熱を帯びます。伊藤女流四段は△4二飛と回って、残り時間が1時間を切りました。
控室では上図で▲5三銀が有力視されています。以下△4八飛成▲5二銀不成△同銀▲7四桂△7三玉▲8一竜(変化図)の局面で、武市七段は「金が質駒になるので、先手が指せそうです」との感想を残しました。
2023060773△4二飛に里見女流王位は手を止め、▲5三歩成△同銀▲2一竜△4八飛成▲6六桂と進み、終盤戦に突入しました。▲6六桂は角の利きを止めつつ、次に▲7四桂打の王手を狙っています。
2023060771

Img_9375(本局に勝って、フルセットに持ち込めるか)

(武蔵)

眉山に登ってみた(2)

JR徳島駅から、阿波おどり会館までは徒歩で10分ほどで着きます。あとはロープウェイに乗り込めば、いよいよ頂上です。
Img_9293(阿波おどり会館は、提灯の形を模した建物)

Img_20230606_123309(目前の憩いの場の屋根は、笠をイメージしたもの)
Img_9324(1階は観光案内コーナーと販売コーナー)
Img_9326(徳島名産の藍染の品が並ぶ)

(武蔵)

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