【勝った里見女流王位のコメント】
――相振り飛車になりました。里見女流王位の中飛車から5六~6五と早めに銀を繰り出す珍しい構想だったと思います。
里見 考えてはいたんですけど、早々に離れてしまって。一手一手考えるような展開でした。
――▲9七角(31手目)と上がって真ん中のほうで力をためていきました。手応えはいかがでしたか。
里見 なかなかいける形ではないので。自玉もけっこう薄いですし、神経を使う将棋かなと思いました。
――△5二飛(32手目)と相中飛車で対抗されました。昼食休憩の直前で△3五歩と突っかけられたあたりはどう見ていましたか。
里見 △5二飛と回ってもらえて、こちらの主張が通ったかなと思っていました。難しいとは思うんですけど、指せるのかなと。もっと強気に指されてもと思っていました。
――後手が4筋に飛車を回る間に8筋の歩を伸ばして継ぎ歩攻めに出ました。そのあたりはいかがでしたか。
里見 ただ、こちらも矢倉というか、自然に指したつもりだったんですけど、進めてみると思わしくないのかなと。本譜がそうとう怖い順だったので、成算があって指せていたわけではないです。
――後手から△3四金(72手目)と上がられて4筋の飛車を通される形に。▲4七金左(73手目)は1時間14分の大長考になりました。
里見 こちらが1手勝っていると思って進めていたのですが、いざ読んでみると具体的に勝ちの順が見当たらなくて少し焦っていました。
――守ってから攻める展開になりました。
里見 こちらも▲3七歩(81手目)と打ったところは相手に委ねているようなところもあって。具体的にどう指されるか見えていなかったのですが、そうとう怖かったです。
――△2七歩(82手目)とたたかれてから△4九飛でした。
里見 何か寄せがあってもおかしくないと思っていたのですが、他の順では苦しくなってしまうかと思って。直前で切り合いに進むと思っていたのですが、後手に決め手があれば負けで仕方がないのかなと。
――▲7二歩(93手目)と打ったあたりはいかがですか。
里見 こちらの玉が詰まない形になったので勝ちになっていると思いました。
――連勝で福岡に行きます。第3局に向けて抱負をお願いします。
里見 先後が決まっているので、体調に気をつけてコンディションを整えたいと思います。
【敗れた山根女流二段のコメント】
――里見女流王位の作戦について、序盤戦をどう見ていましたか。
山根 △5二飛(32手目)と回ってしまったのがちょっと弱気だったかなと思って。作戦負けになったのかなと。
――△4一飛(52手目)~△4三金と慎重に時間を使うような駒組みでした。
山根 2歩切られて。こちらは1歩もないので、形勢が悪いと思っていて。指し手も難しかったですし、悪いのかなと思っていました。
――△3四金(72手目)と飛車先を通してさばき合いに出ました。切り合いになったあたりの形勢判断はどう見ていましたか。
山根 何かあるかなと思っていたのですが。▲3七歩(81手目)のところで、こちらも角を取られる順が残っているので、それを受けながら攻めるとなると手が限られてきてしまって。ちょっとよくわからなかったです。
――△2七歩(82手目)~△4九飛で追い詰める展開になったように見えましたが、いかがでしたか。
山根 こちらは元々が悪かったので仕方がないと思って指していて。最後もちょっと足りていなかったと思います。
――連敗で厳しい状況になりましたが、第3局に向けて抱負をお願いします。
山根 しっかり準備をして体調に気をつけて臨みたいと思います。
(琵琶)
101手で里見女流王位が勝ち、開幕2連勝。終局時刻は18時27分。消費時間は、▲里見女流王位3時間47分、△山根女流二段3時間50分。第3局は6月2日(水)福岡県飯塚市「旧伊藤伝右衛門邸」で行われます。
(吟)
1図から△9九飛成▲7二歩(2図)と進みました。1図で△3七同角成は▲同玉で寄せきれなかったようです。屋敷九段は2図の▲7二歩が厳しい一着と見ています。△7二同銀は▲同銀成△同金に▲5三角成が痛烈です。「先手玉も怖いですが、先手が勝勢になったようです」と屋敷九段は話しています。
(琵琶)
山根女流二段は1図で34分使って△2七歩と打ちました。以下▲同玉△4九飛に、▲8三銀△6一玉▲3一飛(2図)と進みました。山根女流二段は最後の1歩を△2七歩と使ったことで、2図で△4一歩の中合い(▲4一同飛成は△5一金で弾く意味)がなくなりました。屋敷九段は「微妙な利かしですが、△2七歩▲同玉と形を決めたほうが山根さんはいいと見たのでしょう」と解説しました。
2図から実戦は△5一銀▲3九金に△3七歩成▲同桂(3図)と進んでいます。以下△3七同角成▲同玉でどうか。屋敷九段は「先手玉も危険な格好ですし、いい勝負術だと思います」と話しています。残り時間は▲里見16分、△山根28分です。
(琵琶)
15時30分、局面が大きく動きました。先手の里見女流王位が8筋の継ぎ歩攻めで優位を築きました(1図)。対する山根女流二段は受けに回ることが難しく、攻め合いを選択しています。1図以下、△4五銀▲7六飛△2六歩▲同歩△2八歩▲同玉△4六銀▲同歩△3四金(2図)と進みました。「すごい展開になりましたね」と屋敷九段は驚いています。2図から▲8四歩とし、△4六角には▲同飛△同飛に▲8三角△8二玉▲6一角成(参考図)で後手玉に必至(△6一同金は▲8三銀で詰み)が掛かります。▲8四歩には△4六飛とぶつける手が予想されます。里見女流王位が2図で▲8四歩と取り込むかどうか注目です。
(琵琶)