女流王位戦中継Blog

76手目△２四歩以下▲１三歩成△同銀▲１五歩△１七銀と進みました。最後の銀の打ち込みが、１六歩型を生かした攻め。加藤女流三段は、この変化に期待し、本譜の順を選んだのでしょうか。玉頭戦らしく、互いに玉が危ない形になってきました。加藤女流三段は、この△１七銀でリードを奪えるでしょうか。

（夏芽）

実戦は69手目▲１五歩以下、△４四飛▲１四歩△１六歩▲１三歩成△同桂▲１四香△２四歩と進みました。この進行について、控室では「先手が得をした」との意見があります。

仮に後手が△４四飛と角を取るところで、△１五同歩▲１四歩△４四飛を進めていれば、以下▲１三歩成△同桂▲１四香△２四歩で、下の変化図になっていました。この上下２つの図の違いは、持ち駒の歩の枚数と１筋の歩の位置。後手にとっては、変化図を選んだほうがよかったのではないか、という意味です。

しかし、まだ形勢にはっきり差がついたわけではなく、このあとも難しい攻防が続きそうです。△２四歩までの消費時間は▲里見女流王位２時間８分、△加藤女流三段２時間14分。

（関西将棋会館から南に徒歩10分の場所にある堂島川）

（夏芽）

休憩明けの△１二玉のあと、▲４四銀△同金▲同角△５四飛▲１五歩と進みました。最後手の▲１五歩が角を逃げない強気な一手。△４四飛に▲１四歩で攻め合う姿勢です。果たして、この端攻めが決まるかどうか。今度は加藤女流三段の対応に悩む番です。

（控室の先崎九段は△１五同歩▲１四歩△４四飛の変化を考えている）

（日本将棋連盟専務理事の脇謙二八段は△４四飛▲１四歩△同香の順を挙げた）

（夏芽）

昼食休憩明けに指された△１二玉に対し、里見女流王位が30分を超える長考に沈んでいます。この玉上がりは６六の角のラインを避け、▲４四銀△同金▲同角が王手にならないようにした価値があります。振り飛車は攻め続けたい局面ですが、自玉が薄く、反動が大きくなるぶん簡単にはいかないようです。控室は「後手を持ちたい」との声が多く、里見女流王位の次の一手に注目です。

（控室では鹿野圭生女流二段が訪れ、検討に加わった）

（夏芽）

（両対局者とも、12時50分の時点で席に戻っていた）

（13時、記録係の室田女流二段が「時間になりました」と告げる）

（加藤女流三段は、少し間を置いて△１二玉と上がった）

（夏芽）

休憩時、両対局者の控室には昼食のほか、おやつが運ばれています。おやつは、ケーキハウスツマガリのクッキー各種、神戸一番館のチョコレート「ポームダムール」、そして千鳥屋宗家の「鮎」です。

（ケーキハウスツマガリのクッキー各種）

（神戸一番館のチョコレート「ポームダムール」）

（千鳥屋宗家の「鮎」）

■ケーキハウス　ツマガリ
https://www.tsumagari.co.jp/
■神戸・元町　チョコレートの一番館
https://www.ichibankan.co.jp/
■千鳥屋宗家
https://www.chidoriya.jp/

（夏芽）

（里見女流王位の昼食は、海老フライ＆クリームコロッケ盛合せ）

（加藤女流三段の昼食は、特上うな重）

（夏芽）

12時、63手目▲２六歩の局面で昼食休憩に入りました。ここまでの消費時間は▲里見女流王位51分、△加藤女流三段１時間41分。昼食の注文は、里見女流王位がサービスセットの「海老フライ＆クリームコロッケ盛合せ（白米半分）」（レストランイレブン）、加藤女流三段が「特上うな重（白米半分）」（ふな定）。対局は13時に再開します。

（夏芽）

11時30分頃、控室に先崎学九段が来訪し、早速、継ぎ盤を使って本局の検討を始めています。

（スマートフォンを使い、初手から並べ直す先崎九段）

「互いにあいかわらずといった激しい将棋ですね。57手目▲１四歩の端攻めは一般的には早いとされているんですよ。ただ代えて（１）▲５四歩だと△３五歩▲同歩の突き捨てが入って、将来的に後手に３筋で手を作られてしまいます。そうされる前に動いたのが本譜です。また（２）▲４五歩だと△２四角の味がよすぎます。里見さんは穴熊の堅陣を残されたまま好き放題されるのが嫌なんです。そういう棋風ですね」

（夏芽）

時刻は10時50分を過ぎ、59手目▲１三歩まで進んでいます。すでに中盤の勝負どころで、里見女流王位は穴熊攻略に向かって端攻めに出ました。互いに我が道をいくような早指しの応酬。昼食休憩の12時まで、どれだけ進むのでしょうか。

▲１三歩までの消費時間は▲里見女流王位34分、△加藤女流三段50分です。

（早くも中盤戦。加藤女流三段は穴熊の堅陣を生かせるか）

（夏芽）