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2017年5月

2017年5月30日 (火)

前夜祭(8)

豊川七段と室谷女流二段が、明日の対局の見どころを話すコーナーです(以下、登場棋士の段位は省略します)。

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豊川 どうですか、室谷さん。展望の前に飯塚は? 初めて?

室谷 初めてです。

豊川 そんなこと、いい(ん)づか? (一同爆笑)

室谷 私、福岡県には来る機会が多いのですが、今回、空港からバスで1時間ぐらい乗りました。

豊川 近くないですよ。飯塚市は福岡県のほぼ真ん中。急所の3局目、ド真ん中を飯塚市ってすごい勝負。これ言いたかったんです、すいませんね(一同拍手)。

室谷 飯塚には何回か来られているのですか?

豊川 飯塚はもう、お世話になっていますよ。女流王位戦の開催が11年連続ですからね。

室谷 先ほど、私たちも検分に行かせていただきました。

豊川 旧伊藤伝右衛門邸は初めてだったんですよね。

室谷 初めてです。お庭は普段、芝生には入れないのですが、今日は特別に入らせていただきました。

豊川 実は島井理事も脇理事もフレッシュな。脇理事は昨日、棋士総会がありまして、正式に承認を得て理事になられました。

室谷 せっかくですので、前に出ていただいて。

豊川 そうですね。先生、島井理事もせっかくですので、4人で展望やれば当たるかもしれませんね。

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豊川 では、戦型予想を。

室谷 先に言ったほうが得ですよね。じゃあ、いいですか? 里見さんも伊藤さんも公式戦(女流棋戦)では指したことがありまして、対照的な棋風だなと感じています。里見さんは終盤型の、どちらかというと攻め将棋、伊藤さんはかなりの受け将棋で、普通の女流棋士とまた違った感覚を持った方かなという印象があります。

豊川 普通じゃない?

室谷 普通じゃないと。

豊川 変人?

室谷 変人って言ったら怒られますが(笑)、ちょっと独特ですよね。玉が上にいくのを苦手としない、手厚い将棋が多い印象があります。第1局、第2局を見ても里見さんが攻めて伊藤さんが受ける展開となって、展開的にはこの第3局もそうなると思っています。ふたりとも駆け引きが好きな印象があるんですね。端を突いて様子を見るようにも感じられるので分からないのですが、今回は里見女流王位が先手番で、第2局は相振り飛車だったので、里見女流王位の振り飛車に伊藤女流二段が居飛車で対抗すると見ています。戦型は難しいですが、里見女流王位の石田流三間飛車かなと思います。

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 それはかなり当たるのではないですかね。里見さんは振り飛車が得意ですが、オールラウンドプレーヤーでもあるんですね。居飛車も指せるのですが1勝1敗になりましたから、ここで負けてしまうとカド番に追い込まれてしまいますので、慣れた戦型の振り飛車をやるしかない。その中でも石田流はいちばんの得意戦法ですから、その可能性が高いのではないかと私も思います。室谷さんに1票。

豊川 僕は「予想はよそう」で。ふたりとも若いですが、棋歴がすごい。共通事項がありまして、2004年にプロの世界に入ったんです。2つ歳が違うのですが、片や里見女流王位は女流棋士、2004年に10歳の伊藤沙恵プロは男のプロの世界(奨励会)に6級で。伊藤さんは女流二段ですが、(どちらが勝つか)全然分かりません。対戦成績は2勝2敗で、里見さんが勝ち、負け、勝ち、負け。前局はすごい将棋だったんです。女流棋士に受けの将棋は少ないですが、伊藤さんが顔面で受けて勝って。伊藤さんはさっき、Smileの言っていましたよね、青春時代を……。それぐらい将棋に打ち込んでいるふたりの対戦なので本当に目が離せない。島井プロにいきます。

島井 予想は?

豊川 「予想はよそう」。「同歩」ということで。

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島井 私は振り飛車党で、女流棋士に振り飛車党は多いです。ふたりと指したこともありますが、両方とも相振り飛車だったので、相振り飛車かと思います。先手は三間飛車ですかね。

豊川 里見さんが先手です。四間飛車にはならないのでしょうか。

室谷 四間飛車は多分、ないと思います。戦型予想は難しいですよね。伊藤さんも居飛車も振り飛車も両方指されますし、人を見て戦型を変えられる方なので、序盤で駆け引きが行われた結果、相居飛車ということも。もしかしたら10%ぐらいですか、けっこうありますよね。

島井 5%ぐらいあるかもしれませんね。

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豊川 開けてびっくり玉手箱! 明日の解説会、ぜひ来てちょうだい、みたいな。

室谷 明日は午後3時(15時)から解説会なので。

豊川 ありますよ、解説会あります。

室谷 明日は先生のダジャレは聞けるんですか?

豊川 いや、あの、開けてびっくり。

室谷 楽しみにしています。明日の一局は勝ったほうが女流王位にあと1勝に迫る一番になりますので、ぜひ皆様に注目していただければと思います。ありがとうございました。

(書き起こし:飛龍記者/写真:夏芽)

前夜祭(7)

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(石田慎二・飯塚市企業局企業管理者から記念品の贈呈)

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(西大輔・飯塚市教育委員会教育長とSmile河野花凛さんから花束の贈呈)

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(花束を手に持ち、両対局者はここで退場した)

(夏芽)

前夜祭(6)

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■里見香奈女流王位の挨拶

「皆様、こんばんは。里見香奈です。本日は多くの方々にお集まりいただき、このような温かい前夜祭を開いていただきまして、ありがとうございます。私が飯塚市に来るのは今回で……、多分、4回目ぐらいだと思うのですが、毎回、本当に温かくお出迎えいただいています。また、対局場の風景がとても好きで、真横にお庭が見えるのですが、癒されながら対局できることがとてもうれしいです。今回の女流王位戦は伊藤さんが挑戦者ですが、私も自分の力が出しきれるように頑張っていきたいと思っております。皆様方がご協力してくださいまして、女流王位戦第3局を迎えることは、本当にうれしく思います。私自身は力が出しきれるように、明日は持ち時間が4時間ありますのでゆっくり考え、自分のペースで指していきたいと思います。今日、明日と本当にお世話になりますが、よろしくお願いいたします。本日は本当にありがとうございました」

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■伊藤沙恵女流二段の挨拶

「皆様、こんばんは。女流王位戦が多くの方々に支えられて戦えることをうれしく思っております。ありがとうございます。私が福岡に来るのは初めてですが、本当に福岡はおいしい食べ物がたくさんあって、私はラーメンとイチゴが好きです。ここの女流王位戦はもちろん、対局に集中して一生懸命臨むのですが、そういう部分も楽しみにやってまいりました。先ほどアイドルグループのSmileの皆様の歌とダンスを見て、私もああいう時代があったのかなと思い返してみたのですが、ちょっとどこかに置き忘れてきてしまったようで、うらやましいなと思いながら見ていました。若い方々の元気をもらいました。対局場もとても落ち着いた雰囲気のある場所で、先ほど里見さんからもお話がありましたが、とても素敵なお庭が対局室から見えまして、そのような場所で対局できることはなかなかない機会ですし、光栄なことだと思っております。明日の対局、全力を尽くして頑張っていきたいと思います。本日はどうもありがとうございました」

(書き起こし:飛龍記者/写真:夏芽)

前夜祭(5)

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(筑豊のご当地アイドル「Smile」によるミニライブ)

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(「年下の男の子」と「Love Is In The Air」の2曲を熱唱)

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(途中はステージを降りて元気いっぱい盛り上げてくれました)

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(夏芽)

前夜祭(4)

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(ブリーアボカドサラダ)

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(刺身盛り)

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(天ぷら)

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(なす味噌チーズ)

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(レッドカレー)

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(ごま団子と小桃まんじゅう)

(夏芽)

前夜祭(3)

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(対局者、対局関係者の紹介)

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【将棋関係者挨拶】脇謙二・日本将棋連盟常務理事

「昨夜、棋士総会で承認されまして、新体制がスタートとなりました。佐藤会長(康光九段)、森内専務(俊之九段)を中心に、一同頑張っていきますので、これまでどおりのご支援のほどをよろしくお願いいたします。飯塚市に来させていただいたのは初めてでございます。お昼間に対局場、旧伊藤伝右衛門邸に行ってまいりました。すばらしい会場で、11年も連続して対局させていただいている。非常にありがたいことだなと感激いたしました。明日からの女流王位戦第3局ですが、これまでが1勝1敗。ともに持ち味を発揮しての戦いになり、内容のほうもものすごい熱戦が繰り広げられております。第3局もすばらしい名局になるように期待しております」

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【将棋関係者挨拶】島井咲緒里・LPSA理事

「女流王位戦では、新聞三社連合様と日本将棋連盟様と名を連ねさせていただいておりますが、日本女子プロ将棋協会、まだまだとても小さな団体です。実はちょうど今日、5月30日が当協会の設立記念日で、2007年の設立から10年がちょうどたったことになります。設立記念日を「女子将棋の日」と制定しまして、女の子や女性への普及を第一に取り組んでまいりました。この記念すべき日に、女流王位戦という歴史あるタイトル戦の対局の場に携わることができまして、とてもうれしく思っております」

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(藤浦誠一・飯塚市議会議長による乾杯の挨拶)

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(乾杯!)

(書き起こし:飛龍記者/写真:夏芽)

前夜祭(2)

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【主催者挨拶】梶原善充・飯塚市副市長

「女流王位戦の6大タイトルの女流王位戦を11年連続で飯塚市で開催しております。今回の対局の舞台となる旧伊藤伝右衛門邸をはじめ、近代化産業遺産を核とした観光を振興しており、現在は外国人観光客の誘致にも積極的に取り組んでいるところです。今年の女流王位戦は3連覇を目指す里見女流王位と、初タイトルを狙う伊藤女流二段が第3局を迎え、タイトルの行方を左右する大事な一戦と認識しております。本市としましても、この大事な一戦を迎え、両対局者に集中して対局に臨んでいただきますよう、最大の努力をしてまいりたいと思っております」

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【主催者挨拶】柴田建哉・西日本新聞社代表取締役社長

「1勝1敗で迎える第3局、今回の流れを決する重要な局面を当地飯塚で開くことができ、歴史に残るというと大げさですが、非常な名勝負を我々としても期待したいと思っております。昨今、将棋ブームといわれていると伺っております。AI(人工知能)と人間の対決、史上最年少の男性プロ棋士ですが、藤井さん(聡太四段)が連勝を続けていること、いろいろな意味で将棋が我々メディアをにぎわしている点は、将棋ファンにとって大変喜ばしいと思っております。将棋はもちろん、日本の伝統文化ではありますが、新しい技術や若手の台頭などの流れを受けて、発展することを期待したいと思っております。弊社は西南戦争の年に創刊して以来、今年で140周年を迎えることができました。本業は報道であります。同時に地元の新聞社として文化やスポーツをいかに振興するかも大きな役割です。日本の伝統文化の将棋を含め、いろいろな文化を支えていきたいと思っております」

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【来賓挨拶】瀧上秀人・日本将棋連盟飯塚支部長

「支部の活動報告からまいります。毎年盛大に前夜祭、女流王位戦という伝統あるタイトル戦が行われる恩恵を受けまして、飯塚支部は盛況に活動を行っております。毎月第2、第4日曜日、飯塚市枝国にございます穂波福祉総合センターで午後1時から5時まで、主にトーナメントを含めまして定例会を行っております。自薦他薦は問いませんので、腕に覚えのある方、初心者の方、これから将棋を始めてみようと思っている方、学生さん、どなたでも構いませんので一度会場に見学がてら遊びにいらっしゃってください。心優しい愉快な仲間たちが皆様をお待ちしておりますので、どうかよろしくお願いいたします。私も第1局、第2局を盤上に並べながらコメントを拝読しました。少しでも興味を持たれた方は盤に並べていただきますよう、お願いいたします。里見先生の鋭い攻めに伊藤先生の二枚腰の受け、それが如実に反映された2局だったのではないでしょうか。明日は実力伯仲のおふたり、熱戦が期待されると思いますが、明日の対局がおふたりにとって、またこの会場にお集まりの大勢の皆様方にとって、そして日本全国に散らばる1,000万の将棋ファンにとって最高の一局、心に残る一局、後々まで語り継がれる名局、好局となることを祈りまして私の挨拶とさせていただきます」

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【協賛社挨拶】岩崎和人・九州通信ネットワーク株式会社代表取締役社長

「この飯塚で11年連続、すばらしいですね。ありがとうございます。私は昔からの将棋ファンで、九州電力グループの将棋部の副部長を永らくやっておりました。いま、部長は貫正義・九電会長というご縁もありまして、ささやかな協賛をさせていただいているところです。いま、将棋ブームが来ていますね。5月5日にQTNet杯こども将棋名人戦を開催しました。去年は230人で「すごいね」と言っていたのですが、今年は310人を超えました。4割アップです。AI将棋の活躍、九州ですと佐藤(天彦)新名人の誕生、藤井先生(聡太四段)の大活躍と、ものすごく盛り上がっていますね。その前からずっと飯塚の地で女流王位戦をやってきた賜物でもあると思っております。九州の研修会は1年5ヵ月前に13、14人で始めたのが、倍の28人います。その中には女性もいらっしゃる。卒業した女性もいらっしゃるし、現在も研修会の女性もいらっしゃり、中心は小中学生です。その中から、今日のふたりにさきざき挑戦するような子も出るのが楽しみだと思っております」

(書き起こし:飛龍記者/写真:夏芽)

前夜祭(1)

18時から「のがみプレジデントホテル」で前夜祭が行われました。そちらの模様をお伝えします。

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(前夜祭会場ののがみプレジデントホテル)

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(会場の中央には数多くの料理が並ぶ)

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(里見香奈女流王位と伊藤沙恵女流二段)

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(左から豊川孝弘七段、池永天志三段、室谷由紀女流二段)

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(脇謙二八段と島井咲緒里女流二段)

(夏芽)

検分(2)

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(その後、対局室の環境を確認し、検分は5分ほどで終了した)


検分が終わって、次は色紙への揮毫です。

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(里見女流王位は大志、伊藤女流二段は前進)

(夏芽)

検分(1)

記念撮影のあと、16時40分頃から検分が行われました。

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(里見女流王位がいくつかの駒を取り出す)

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(立会人の豊川孝弘七段)

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(本局で使われる駒は児玉龍兒師作、鵞堂書)

(夏芽)

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