前夜祭 対局者スピーチ
(両対局者には地元の小学生から花束が贈呈された。左から甲斐女流王位・帯広市立柏小学校5年生の山田絢華さん・幕別町立札内小学校2年生の永井千裕さん・清水女流六段)
■甲斐智美女流王位
このような盛大な前夜祭を開催していただきまして誠にありがとうございます。私は十勝を訪れるのは今回が初めてなんですけれども、どんなところなのかなとすごく楽しみにしてきました。実は今日飛行機が揺れまして、気分が悪かったんですけれども、空港から出てみますと見渡す限り平原が広がっていまして、心が解放されたような気持ちになりました。そのあと六花の森を案内していただいたんですけれども、初めて見るような、東京では見られないような花が咲いていまして、とても美しい森を見て、心が洗われるようでした。このような場所で対局をさせていただくのはすごく幸せなことだと感じました。
明日から第2局が始まりますが、清水さんとの五番勝負は今回が3度目のシリーズになります。清水さんは私にとってすごく厳しい相手なんですけれども、盤を挟んでいる中で新たな発見があったり、勉強になることがあったり、すごく充実した気持ちになることができます。明日以降、一局一局、今の自分の持てる力を出し切って、精一杯対局に臨めたらいいなと思っております。
■清水市代女流六段
改めまして皆さま、おばんでございます。挑戦者の清水市代でございます。ちょっと声が出にくくなっておりまして、聞き取りにくいところ申し訳ございません。北海道に着きましたら喉を痛めてしまいまして、声が出ないのはなぜかなと考えましたら、理由がしっかりございました。先ほど甲斐女流王位がおっしゃっていたように六花の森行かせていただいたのですが、あまりにきれいな自然で、声が出なくなってしまいました。
そしてこちら観月苑に着いた瞬間に、お部屋の方もそうなんですが、皆さま本当に温かいお出迎えをしていただきまして、言葉には尽くせないほどの歓迎をいただきました。そしてこの前夜祭、地元の皆さまにも歓迎していただき、はるばる遠くからいらしていただいた方も多くいらっしゃるということで、本当に嬉しくて、感謝の気持ちでいっぱいで、とても言葉では言い表せません。皆さまありがとうございます。こちら十勝には初めて来させていただくので大変楽しみに参りました……と思っておりましたら、風景を見ているうちに何か思い出があるというか、見たことがある。こういう美しい景色は初めてじゃないぞと思いましたら、なんと、19年前にこちらに来させていただいているということで。こちらの帯広の新鋭、渡部愛さんがまだ1歳のとき……生まれててよかったなと思うのですが、そう思うと長い間北海道新聞さんにお世話になってきたのだなと思います。
第2局ですが、二冠と充実していらっしゃいます甲斐女流王位との対戦、指すたびに甲斐女流王位のいいところをどんどん吸収させていただいております。そして愛着のある女流王位戦で自分らしい将棋がしっかり指せるように努めたいと思います。そして六花の森でいいことを聞きました。二輪草を見たんですが、二輪草といえば白いお花ですよね。その中で緑のお花を見つけるといいことがあるんですよ、と係の人に教えていただいて、目を凝らして探しましたら、ありました。見つけました、緑。いいことあるな、と思ったんですが、隣の甲斐女流王位も一緒に見つけていまして。明日は二人にとっていい将棋が指せるようにと思っております。皆さま明日以降も女流王位戦に注目していただきまして、ご声援たまわりたいと思います。ありがとうございました。