感想戦が終わった後、場所を移して共同記者会見が行われました。20時30分からじっくり30分ほど渡辺竜王に各社の記者から質問が飛びました。
(渡辺竜王。表情が硬い)
(質問に答える渡辺竜王)
(二十数社、50人ほどが参加) 
(会見の終盤は笑顔も)
30分に及ぶ共同記者会見の一部をご紹介します。
--それでは記者会見をはじめさせていただきたいと思います。最初に渡辺さんから何かありますか?
渡辺「え? 特にありません」
--初代の永世竜王です。
渡辺「名誉なことで、ほんとにうれしいです」
--3連敗から4連勝を達成されましたが、シリーズ中は苦しみもあったのでは?
渡辺「3局目までは内容が悪くて申し訳ないという気持ちでした。4局目からはいい意味で開き直れた。3局目よりはいい将棋を指そうという気持ちで戦いました。4局目は終盤際どい、ラッキーな勝ち方でしたけれども、その将棋を一局勝ててホッとしました」
--開き直ったとは具体的に。
渡辺「開き直るとは諦めると紙一重なので難しいのですが、
今回は開き直ると諦めるのギリギリのラインをうまく戦えました。
3連敗したときに自分のなかで将棋を振り返って、指し手や封じ手を含めて消極的な戦い方と感じた。
相手が羽生さんということもあって引き気味に戦ってしまったなと。
4局目からは相手を恐れずに積極的に行こうと、迷ったら積極的にと決めました。
--羽生さんの将棋を研究していた?
渡辺「羽生さんとのタイトル戦は久々なので開幕前はどれぐらい戦えるか不安もあった。
永世竜王が懸かったシリーズで注目されていましたが3連敗して。
内容も全然ダメで、届かないと思ったんですが、まだもう1局、4局目があったので何とかいい将棋を見せたいという気持ちでした。
4局目は内容もラッキーだったんですが、いい将棋をひとつ見せられたことで
5局目6局目は伸び伸び指せました」
--今シリーズの調子の波や流れは?
渡辺「結果的に4局目が大きくて、そこから連勝することができました。
6局目まで3連勝して自信にもなりました。何とか今日の7局目までこの調子が続いてほしいと祈るような気持ちでした」
--羽生名人について。
渡辺「こちらがやれると思っていた局面がそうではないことも多かった。局面をある程度前から認識する力、大局観ではまだまだかなわないと感じます。
4局目も7局目も1分将棋で自分でも分からないまま指していたので、その中で勝てたのは運がよかったなと思います。
諦めずに食らいつけたことで、1分将棋で最後にいい方向に手が行ってくれた、という感じです」
--今年の有馬記念は気分よくのぞめますね。
渡辺「(笑)。今年はのんびり行きたいですね」
--シリーズ中ご家族とはどんな話をされましたか?
渡辺「妻は基本的には何も言いません。一局一局言われるのも困りますが(笑)。
陰ながら応援してくれているなと。家では自分が将棋に集中できるようにしてもらっています。大変感謝しています。
子供もテレビは見ているので3局目のあと家に帰ったら「お父さん、負けたんだね」と言われました」
(桜木@天童)
(佐藤棋王から羽生名人投了が伝えられ、場内からは拍手が起こった)
(△2四角の局面まで並べる佐藤棋王と清水女流王将)
佐藤棋王「この将棋は渡辺さんは負けを覚悟していたと思う。そこであきらめないで気持ちを切らさず指したことが羽生名人のミスを誘った。歴史に残る将棋でしたね。二転三転したと思いますが、並べているだけで両者の想いが伝わる。劇的な幕切れで、互いに実力、運、執念、気力などあらゆるすべてのものを取り入れた結果、渡辺さんが4勝3敗の僅差で防衛しましたね。おめでとうございます。すごい将棋、すごいシリーズでしたね。私もまた頑張りたいと思います」
清水女流王将「七番勝負を振り返っていかがでしたか」
佐藤棋王「渡辺さんが3連敗をしたときは、どうなるかなと逆の心配をしていましたが…、しかし、やはりすごいですね。ただ感嘆するよりないですね。すごいの一言以外に言葉が出てこないですね。普段、人の将棋で寝付けないというのはないが、今日は興奮して眠れないかもしれない」
(感想を述べる佐藤棋王)
(清水市代女流王将)
(銀杏@東京)
--永世竜王ですが。
渡辺「そうですね。非常にうれしいです」
--最初3連敗と追い込まれました。
渡辺「かなり出だし悪かったので、そのあと思いきり指したのがよかったと思います」
--シリーズ後半は渡辺竜王らしい将棋でした。
渡辺「4局目からは悔いが残らないように思いっきりやろうと思ったので、それが結果的にいい方向に出たと思います」
--5連覇で永世竜王になりました。
渡辺「今回のシリーズはかなり出だしが悪かったので、今は信じられないです」
羽生名人の話
--本局を振り返って。
羽生「分からなかったですね。チャンスは、たぶんあったと思うんですが」
--シリーズを振り返って。
羽生「4局目もこの将棋も、チャンスのある将棋を勝ちきれなかったので、やむを得ないと思います」
--永世竜王が懸かっていたが。
羽生「力いっぱいやったので、仕方ないです」