終局直後の様子
【勝った藤井聡太棋聖インタビュー】
――先手番で得意の角換わりになりました。序盤の立ち上がり、午前の戦い方はいかがでしたか。
藤井 こちらがどう打開を目指すかという将棋で▲2六角(51手目)と打ったのですが、△5二金~△5五歩と柔らかく対応されて、打った角が働くか見通しが立たない展開になってしまったかなと思いました。
――手持ちの角を2六に打ちました。決断の角打ちという覚悟の手でしょうか。
藤井 ▲6八金上(49手目)と固めて、△5二金以外の手だったら動いていってから考えようと思っていたのですが、▲2六角か▲4五歩か、そのあとも難しい展開になるのかなという感じがしました。
――昼食休憩が明けて▲4四歩(57手目)と取り込みました。昼食休憩のときもかなり考えたのですか。そのあたりの心境はいかがですか。
藤井 △4一飛(56手目)に▲4六銀と出る手が利くかどうかを考えたのですが、△4七角で催促されてうまくいかないと判断して本譜を選びました。ただ、▲4六歩に△5三銀と引かれて、次に△4四歩が間に合ってしまうと2六角の働きを封じられてしまうので、依然として忙しい展開なのかなと感じていました。
――午後の流れはいかがでしたか。
藤井 やはり強く△5三銀(60手目)と引かれて、次に△4四歩と打たれてしまうと2六角が働くなって苦しくなってしまうと感じました。なにか動いていくしかないと考えてやっていました。
――午後からは構想通りに進んでいたのでしょうか。
藤井 ▲5六歩(61手目)△同歩▲同銀△4六飛と進むと本譜のような展開が考えられると思っていて。▲5八飛(67手目)の局面は1歩しかないので攻めが細い感じもしましたが、玉の堅さを生かせる展開に持ち込めたらと考えていましたか。
――終盤は速度を重視していきたい感じだったのでしょうか。
藤井 自玉に手がつく前に攻めの形を作れればと考えていました。
――自玉の堅さが生きましたか。
藤井 重たいですけど▲5五金(77手目)と打って、攻めが続く形になったと思いました。
――総括をお願いします。
藤井 全体的にこちらが細い攻めをつなげていけるかどうか。激しい変化も多くて、判断に悩む局面が多かったかなと感じており。
――3期連続でのストレート勝ちになります。感想をお願いします。
藤井 シリーズを通して集中して指すことができたと感じていますし、結果につながったことをうれしく思います。
――棋聖7連覇は大山康晴十五世名人と並んで歴代2位の記録です。
藤井 その点は意識していませんでしたが、幸運なことだと感じます。連覇は途切れると目指すのが難しくなりますので、少しでも長く続けられるように来期に向けて取り組んでいけたらと思います。
【敗れた服部慎一郎七段インタビュー】
――藤井棋聖得意の角換わりを受ける展開になりました。
服部 角換わりなら右玉でいこうと思っていました。
――午前中の流れはいかがでしたか。
服部 金をお互い動かして待ちながらという感じでした。▲2六角(51手目)と打たれてからも本譜は自然な対応だと思っていました。6八金型が堅いので、2六角の攻めがヒットしないようにと思っていたのですが、どこでバランスを崩したのかは今のところはわかっていないです。
――△4一飛(56手目)と回ったのは自然な流れだったのでしょうか。
服部 △5二金(52手目)に▲4五歩なら△5五歩と突いてから▲4七銀に△4一飛で軽くと思ったのですが、もしかしたら△4三金左と上がったほうがよかったのかもしれません。
――昼食休憩明け以降の流れはいかがでしたか。
服部 いつか▲5六歩と突かれるとは思っていたのですが……。△5三銀は△4四歩で角を止めて形だと思ったのですが、なかなかそういった展開にはならなかったので、△5三銀が危なかったのか。△4六飛も危なかったかもしれません。
――気になる指し手はありましたか。
服部 △4六飛(64手目)と走ると▲5八飛まで進むと思っていたので、できれば飛車は走りたくはなかったです。そこでなにか見つけられないかと考えていたのですが、読んでいくうちに6八金型が堅くて。次に▲6五歩や▲4五桂をからめて攻められるので、どう指せばよかったのかわかっていないです。
――一局を振り返って。
服部 △5五歩に▲4七銀(55手目)と引かせたところは、実戦的には自玉が薄いので大変かもしれないですが、難しい戦いぐらいはあったと思うので、方針を固めないといけなかったかもしれません。
――初タイトル戦を迎えていかがでしたか。
服部 貴重な経験。開幕する前の1ヶ月前から取り組んで、将棋漬けの日々でした。結果は残念でしたが、自分としては充実していたと思います。
――実力を発揮できなかったという考えでしょうか。
服部 100パーセントの力を出し切れなかったような感じもしますが、でもやっぱり力不足だったと感じております。また来期、頑張りたいと思っています。
(琵琶)



