記者会見
感想戦終了後、20時30分から記者会見が行われました。
―3連覇達成の率直な感想を
藤井 対局が終わったばかりなので、それについてはまだ実感がないのですが、今回、永瀬王座を挑戦者に迎えての番勝負で厳しい戦いになるかと思っていたので、その中で結果を出せたのはうれしく思います。
―10代のうちにタイトル獲得9期となり、上位はすべて永世称号を持っている中で歴代9番目となったことについて
藤井 (長考)いまの段階で意識するわけではないのですが、積み重ねていった先にそういうものが見えてくるのかなあと思います。今後はより精進して、そういうところを目指していけたらと思っています。
(15秒を超える長考もしばしば見られた。慎重に言葉を選ぶ)
―長年の研究パートナーの永瀬王座と初めてタイトル戦を戦った感想と得られたものは
藤井 本シリーズを振り返ると第1局は完敗で、第2局も早い段階でこちらが苦しくしてしまったという将棋だったので、まずは序盤の精度を上げなくてはいけないのかなと感じました。(長考)あとは第1局で2回千日手になって、自分にとっては初めてのことだったのですが、普段の対局以上に体力が求められるような展開になったと思います。そういったところも、もっと向上させなくてはいけないのかなと感じました。
―第2局までの厳しい戦いのあと、その反省をどのように生かせたか
藤井 第1、2局では作戦の面で差をつけられてしまったように思ったので、第3局からはより入念に準備が必要かと思って臨みました。
―本局、22手目△2三歩は事前の研究か
藤井 あの局面に進めば△2三歩は指そうと思っていたのですが、そのあと▲3五歩(25手目)の局面で方針が分からなくなってしまったので、局面に対する理解がもっと必要だったかと感じています。
―タイトル戦が続いてまとまった研究時間を取りづらいが、対策は
藤井 対局が少なかった時期に序盤について考え直したところもあります。ただ、そういう定跡よりも局面の理解が重要だと思うので、そういうところはよりしっかりしていきたいと思っています。
―地元愛知県でタイトル3連覇を決めたことについて
藤井 地元名古屋の万松寺様で対局場を用意していただいて、以前、見学には伺ったことはあったのですが、今回は対局で訪れることができてうれしく思いました。また、大盤解説会も今回開催していただいて、地元の方に多く対局を見ていただいた中で、こういった結果を出せたことはうれしく思っています。
―師匠からサプライズのケーキは初めてか
藤井 えーと? そうですね、師匠からケーキをいただいたのは初めてだと思います。師匠からは毎年お正月にお年玉をいただいていたのですが、多分、次からはないと思うので、その代わりに今回ケーキをいただいたのかなと思っています。
―20歳を迎えるに当たって新しくチャレンジしたいことは
藤井 いまは対局が続いているので、何か始めてみたいことはあまりないのです。20代になるに当たり、実力を高めていくために今後の数年は非常に大事な時期になってくると思うので、そういう意識を常に持って取り組んでいきたいと思っています。
―デビューから6年弱、ここまで重ねてきた実績をどのように感じているか
藤井 (長考)タイトル戦に初めて挑戦したのが2年前のこの棋聖戦ですが、それ以降もタイトル戦の機会を多く作ることができたのはよかったかと思っています。ただ、これからも実績よりは実力を高めていくことが大事だと思っているので、しっかり意識して取り組んでいけたらと思っています。
―10代最後のメッセージを
藤井 対局を見ていただき、ありがとうございました。今日も難しい将棋だったのですが、何とか防衛という結果を出すことができてうれしく思っています。明後日から20歳となりますが、対局は変わらず続くので、次の対局にもしっかりいい状態で臨めればと思っています。引き続き、よろしくお願いいたします。
以上で第93期ヒューリック杯棋聖戦の中継を終了いたします。ご観戦いただきましてありがとうございました。すでに第94期の一次予選も進行しています。また来期の五番勝負までの熱戦もお楽しみに。
(飛龍)