第30期女流王位戦五番勝負第4局

2019年6月13日 (木)

午後のおやつ

15時、両対局者におやつが運ばれました。注文は、渡部女流王位が「和三盆ロール」と「すだちジュース」、里見女流四冠が「アイスカフェオレ」。

Img_8497_o01 (渡部女流王位の注文。すだちジュースは午前と連投)

Img_8503_o02 (里見女流四冠も午前と同じくアイスカフェオレ)

(虹)

辛抱

_61里見女流四冠の猛攻に対し、渡部女流王位は57手目▲7七桂打や、この▲6八銀など、持ち駒を自陣に投入して辛抱を続けています。▲7七桂打は控室でも一例として示されていた手で、駒損になる代わりに相手の攻めを遅くする狙いでした。

Img_8481_z2_wata (女流王位を守るには勝つしかない状況。ここをしのげるか)

(虹)

徳島市の街並み(1)

対局地である徳島市は、徳島県の東部に位置する県庁所在地。四国一の大河である吉野川とその支流が作った三角州上に発達しました。日本の著名な伝統芸能のひとつである阿波おどりは、江戸開府より約400年の歴史があります。8月のお盆期間に開催されますが、市のシンボルである眉山の麓に構える「阿波おどり会館」では年間を通じて展示、実演しています。

Img_7657_miti01 (街中には、阿波おどりに関するオブジェが多数存在する)

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Img_7771_miti02 (歩道には、横長になった阿波おどりイラスト)

Img_7879_miti03 (よく見ると、近くの鏡面円柱にスリムな姿が)

(虹)

強く踏み込む

_51武市七段が予想していた進行です。ここで△5七歩成▲同金直に△5六銀直と踏み込む筋が考えられ、「そうなると一気に終盤戦ですね」とのこと。13時50分、実際に△5七歩成まで進みました。果たして里見女流四冠は決戦策を採用するのでしょうか。また、Twitter解説の阿部健治郎七段はこの踏み込む筋があるということで、形勢判断を「後手優勢」に変えました。

Img_8313_z_sato (朝の里見女流四冠)

Img_8494_h1350 (継ぎ盤を動かす武市七段)

「進行の一例として、△5七歩成▲同金直△5六銀直▲同銀△同銀▲同金△同飛に▲4五銀(変化図)で粘ろうとするのは、以下△8八金▲6九玉に△7八銀から清算して後手の攻めが決まります。なので先手は、一直線には進められません」(武市七段)

02
(虹)

弁天山

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標高6.1メートル。国土地理院発行の地形図には、「自然の山」の中で日本一低い山として記載されています。当時は海に浮かぶ小島でしたが、室町時代に潮が引き、周囲が水田開発されたことで現在に至りました。

Img_7717_ben02 (頂上までの道は舗装されている)

Img_7719_ben03 (登頂まで10秒ほど)

(虹)

対局再開

_47対局再開の一着は▲6六角でした。自陣の角を移動して中央を手厚くしていますが、後手の攻め駒が当たりやすくもなっています。控室の武市七段は△5五銀打を候補手に挙げました。

Img_8455_hs01 (再開直前の渡部女流王位。里見女流四冠よりも先に対局室入り)

Img_8465_hs02 (昼食前に考慮を続けていた里見女流四冠は、12時50分に戻ってきた)

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Img_8477_hs05 (再開の様子を見守る武市七段)

Img_8485_hs03 (再開の合図から3分ほど読み直し、渡部女流王位が47手目▲6六角を着手した)

Twi_abeken_mini_2■Twitter解説■
阿部健治郎七段>▲6六角は当たりが強くなるので浮かびにくい手です。玉を広くしながら、端攻めを含みにしています。▲6六角に代えて、▲4五桂も普通の手でした。以下△同銀▲3三角成△同金▲4五銀(変化図)となりますが、駒と手番を渡すので指しにくそうです。(互角)

01
(虹)

昼食メニュー

Img_8448_hm03 (渡部女流王位が注文したメニューのメイン)

Img_8438_hm02 (白米は少なめとリクエストしている)

Img_8426_hm01 (里見女流四冠の注文)

(虹)

昼食休憩

_4612時、図の局面で渡部女流王位が10分考えて昼食休憩に入りました。消費時間は▲渡部1時間31分、△里見1時間10分。昼食の注文は渡部女流王位が「すだち鶏のロースト(白米小盛)」、里見女流四冠が「ビーフカレー」と「フルーツ盛合せ」と「アイスコーヒー」。対局は13時に再開します。

Img_8449_h_heya (昼食休憩に入ってから10分。里見女流四冠が盤から離れる気配はない)

(虹)

駒がぶつかる

_41直前の△5四桂で6六銀と4六銀の両取りを里見女流四冠が掛けたところ、渡部女流王位は14分の考慮で▲5五銀左とぶつけていきました。控室では下記のように、形勢判断が分かれています。

「先手は端歩を突き越しているのが主張ですが、ここで4六銀を取れば▲桂△銀の交換で後手が駒得になります。その駒得のほうが大きいと見ますね、後手を持ってみたい局面です」(武市七段)

「同じく、私も後手持ちです」(鹿野女流二段)

「私が居飛車党ということもありますが、▲桂△銀の交換はそれほど先手が損とは思いません。9筋の端歩のほうが大きなポイントと見て、先手を持ちたいですね」(清水女流六段)

Twi_abeken_mini■Twitter解説■
阿部健治郎七段>△5四桂は地味ながら駒得を狙った両取りです。ただ、この戦型では駒損でも居飛車が歓迎するケースがあります。銀が1枚盤上から消えることで、陣形が軽くなる意味があります。(40手目△5四桂での解説から抜粋)

Img_8417_h1100 (盤面モニターを見ながら記者に解説する武市七段)

Img_8421_h1135 (11時35分、里見女流四冠が40分以上の熟考に沈む。控室でも継ぎ盤が頻繁に動くようになった)

(虹)

10時30分頃の控室

Img_8409_h1020a (対局の進行が緩やかに。その頃、武市七段が揮毫していた。笑顔が多い棋士だが、いまは真剣な表情)

Img_8402_h1020b (こちらは主催の徳島新聞社から、今後のイベント用にと依頼された色紙。図面のため逆さにしている)

Img_8413_h1040_simi (日本将棋連盟常務理事として来訪している清水市代女流六段。女流王位獲得14期。5期以上のためクイーン王位の称号を所持している)

(虹)

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