時刻は17時30分、陽は長くなったが、気温はグッと下がってきた。
(吟)
「▲6八銀には△4八とで甲斐さんが優勢ですね」と言葉を残し、先崎八段は大盤解説会場へ向かった。
優勢な局面を築きあげた甲斐女流王位。あとは着地を決めるだけか。
【棋譜コメントより】大盤解説会場から戻ってきた先崎八段は、「気付いたら2時間しゃべっていました。△4九とでは△6六歩かと思いましたが。飛車を持っている状態で△6六歩と突くのが棋理に適っているでしょう。△4九とのあとでは、手抜かれる可能性もあります」。控え室へ戻り、さっそく検討を始める先崎八段。しばしの休憩のあと、再び大盤解説会場に向かう。
甲斐女流王位は普段と変わらぬ姿勢で読みを入れる。
里見女流三冠は腕まくりでヒジを脇息にのせる。
連続静止画
「△1四角に▲7二竜は守備の金をはがして筋がいいのですが、△同玉▲3三金△同桂▲4二角△4一飛▲3三角成(変化図)で次に▲4四馬と引けません。△3八とや△2八飛と打たれてどうか。本譜の▲3三金△3二角▲同金(図)は▲7二竜より筋は悪いのですが、確実に駒得する手でプロ好みの一着です。先手の金得で代償は3九のと金。後手はと金が金以上の働きをしなくては勝てません。強い人ほど駒得を好みます」と解説する先崎八段。(吟)
▲2二馬と馬をバサリ△同角に▲3二飛成で、先手は角・金交換の駒損ながら竜を作った。▲2二馬に使った時間は2分。決断の早さからも里見女流三冠は指せると感じているのだろう。
鋭く踏み込んだ里見女流三冠。
大盤解説会場で配られている北海道新聞の五番勝負特集。
開始直後から150人の来場者。
夕方にはさらにファンの方が詰め掛けることが予想される。
久津女流初段は大好きだと話す和服に着替えて登場。
午後のおやつ、甲斐女流王位の注文はガトーショコラとレモンティー。
里見女流三冠の注文は杏仁豆腐とミルクティー。15時に対局室に運ばれた。
大盤解説会でプレゼントされる色紙をサラサラと書き上げる先崎八段。
▲2二歩と里見女流三冠が打った局面。△同角は▲5三角成(△同飛なら▲3二飛成)の強襲が利きそうだ。△同金▲3一角成の進行が有力だろう。以下△3八と▲2一歩成△3七と▲同飛で先手だけと金が残る。先手ペースに見えるが果たして……。▲2二歩までの消費時間は▲里見女流三冠2時間9分、△甲斐女流王位1時間40分。
ここから先は激しい戦いに突入した対局室。